バスラの図書館員―イラクで本当にあった話

  • 晶文社
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  • / ISBN・EAN: 9784794920423

感想・レビュー・書評

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  • イラクの古都バスラの中央図書館で、図書館員をしていたアリアさんというひとりの女性が、戦火から本を守り抜いた話。

    本を安全な場所に移したいと政府に掛け合ったもののあえなく却下され、仕事を終えた後ひとり車に積んで家まで運ぶ作業が始まる。
    「そして、うわさされていたことが、現実のこととなりました。
    ・・はげしい爆撃と砲撃で、町はあかあかと燃え上がりました。」
    誰も彼もが逃げ出し、図書館にはアリアさんだけが残ることになる・・

    有名人でもないごく普通の女性が自ら行動をおこし、ついには周りの人たちまで巻きこんで本を運び出す。それもいつ果てるともしれない戦火の中だ。
    車もなく台車などというものもなく、夜を徹しての手作業。
    どれほどの恐怖だったことだろう。
    それでも3万冊も運び出したというから大変な成果だ。5,6冊だってじゅうぶん重いのに、だ。

    「本は私たちの歴史と文化」「本は大切にしなければ」と、口で言うのはたやすい。
    だが、この状況で果たして自分も同じ行動をとれるだろうかと、考えてしまう。

    この実話を、初めに採りあげたのはニューヨークタイムズ紙らしい。
    図書館は焼失してしまったというが、「アリアさんはのぞみをすてず、新しい自由の時がくると信じています」。
    和訳は詩人の長田弘さん。
    鮮やかな色彩の挿絵と静かなテキストで伝える、ひとりの女性の勇気ある行動。
    約5分と短いので、小さな子からでもOKかと。
    お話会のサブや少し時間の余ったときなどに読んで、本の大切さを伝えたい。
    不安材料もなく本が読めるということは、なんと平和なことだろう。

  • 帯に、
    図書館の本を救おう!
    本を愛する人は未来への望みを捨てません。
    とありました。
    世界の絵本を読んでいて図書館でこの本と出会いました。
    世界情勢が不安定な今、こういった志を一人一人が持ち続けることが大事だなと思いました。

  • いままでも、災害や戦争から本を守ろうとした人はたくさんいて、アリアさんはそのひとりだけど、本を守ろうとした人に共通する大きな勇気を持っていると思う。
    「本をまもりたいの。手伝ってくれない?」何気ないセリフだけど、それが好き。
    アリアさんを手伝う人たちも考えるより先に体が動いてますね。

    人ごとじゃない。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「疎開した40万冊の図書」と言う映画を観に行きたいと思っていたのですが、都合がつかず、、、
      http://nyankomaru.tumbl...
      「疎開した40万冊の図書」と言う映画を観に行きたいと思っていたのですが、都合がつかず、、、
      http://nyankomaru.tumblr.com/post/76629076350/40
      2014/03/12
  • このままむざむざと、戦火と言うばかげた炎に大切な図書館の本を燃やし尽くされてなるものかっ!

    と、イラクの図書館員さんは、全ての蔵書を運び出そうとする。
    すぐそこまで炎は迫っても、
    人々が逃げ惑っていても、
    こんな大事なものを、
    黄金にも勝る宝を、
    置いて逃げるなんて出来ない。

    絶対に嫌だ…。

    この図書館員さんの気持が痛いほど良く伝わった。
    彼女が全ての本を運び出した数日後、
    図書館は戦火に包まれ、崩壊して行った…。

    本当にあったお話しだそうです。

  • 読み聞かせ。7分。
    バスラで実際にあったお話。図書館員が戦争から3万冊の本を守るため運び出す。絵が綺麗。文章は読みづらい。

  • 息子さんのジョナ・ウインターさんと一緒に作られた
    『この計画はひみつです』
    https://booklog.jp/item/1/4790253562
    を読んで(8/10読了)、
    以前からみかけていた本書と同じ作者さんだと知り手に取りました。
    正方形の額縁の中に描かれている構図、同じです。
    図書館の本にはイラクの人たちの歴史が全部つまっていて
    その歴史のつまった図書も破壊の対象となる
    「アリアさんはのぞみをすてません」の次頁からの背景色の水色の穏やかさ
    アリアさんの絵の穏やかな顔
    最後の頁の図書を守るアリアさんの凛とした顔・・・
    印象深かったです。
    地球上から戦争がなくなって、穏やかな水色の世界が広がればと思います。

    訳は長田弘さん。

    【覚書】
    2003年春、イラク侵攻が、バスラの街にまで達します。バスラの中央図書館には、700年も前のムハンマドの伝記をはじめ貴重な本が沢山あり
    司書責任者だったアリア・ムハンマド・バクルさんは、図書を安全な場所にうつしてほしいと当局にもとめましたが、断られます。
    そこで、友だちのアニスさんやアニスさんの兄弟、アニスさんのレストラン(ザ・ハムダン)で働く人たち、近所の人たちで、蔵書の70%にあたる3万冊の本を安全な場所に移し守ります。イラクで本当にあった話し

  • 5分くらい。
    イラクであった本当の話。
    戦火から図書館の本を守ろうと、図書館員のアリアさんが、本を図書館から移動させます。

    この本を読んだ後、たまたまニュースで、東京でも戦時中本を疎開させていて、それが映画になったというのを見た。

  • イラクの図書館員が戦火から本を守ったという実話を題材にした絵本。淡々とした言葉とエキゾチックで見やすい絵の中に、平和に本を守っていけることの有難味を感じさせる。

    この図書館の蔵書がすごい。
    700年前の本とかある。
    それはもう、「黄金より価値があるもの」で間違いない。
    そして、そんな価値あるものを一瞬で焼きつくすから、戦争は恐ろしいのだと改めて思った。命と同様、長い歴史を経て、多くの人に読まれ、愛されてきた本は、失われると取り返しがつかないのだから。

  • 21世紀初頭のイラク侵攻の際、バスラの図書館蔵書をめぐる実話の絵本です。
    その図書館の司書アリア・ムハンマド・バクルさんという女性が主役です。
    戦火から蔵書を守るために役所と掛け合うが失敗し、実際に図書館が燃えてしまう前に多くの助けを借りて蔵書の70%程度を近場のレストランに隠して守りきりました。
    司書は古代から続く仕事の一つです。
    歴史や文化を伝えるために生み出された書物が燃えるのをただ見ているわけにはいかない。
    アリアさんの家には助かった蔵書で溢れているそうです。
    図書館が復活するそのときまで守り続けるでしょう。

  • 読み聞かせ 5分

    「イラク最大の港町バスラ。ここの図書館は、本を愛するイラクの人々が集まってくる場所です。2003年、イラクへの侵攻が町に達したとき、一人の女性図書館員のアリアさんは蔵書を守ろうと決意し、3万冊の本を自宅に運びます。アリアさんは今も図書館再建への望みを胸に自宅の戸棚、床、冷蔵庫の中まで本に埋もれながら蔵書を守り続けています。やまねこ翻訳大賞絵本部門受賞。厚生労働省児童福祉文化財選定図書。
    ◇全国学校図書館協議会選定図書」

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著者プロフィール

ジャネット・ウィンター
アメリカの絵本作家。伝記絵本や、『アフガニスタンのひみつの学校 ほんとうにあったおはなし』(さ・え・ら書房)、『マララとイクバル パキスタンのゆうかんな子どもたち』(岩崎書店)、『わたしたちの家が火事です 地球を救おうとよびかけるグレタ・トゥーンベリ』(鈴木出版)など、実際にあったことにもとづいた絵本を数多く出版し高い評価を得ている。息子ジョナとの共作にはほかに『この計画はひみつです』(鈴木出版)などがある。ニューヨーク市在住。

「2022年 『ちいさいフクロウとクリスマスツリー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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