古書の聖地 (シリーズ愛書・探書・蔵書)

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制作 : 中尾 真理 
  • 晶文社 (2005年2月5日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794926654

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古書の聖地 (シリーズ愛書・探書・蔵書)の感想・レビュー・書評

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  • 読み途中で断念。
    サンフランシスコからイギリスの古書の街、ヘイオンワイに移住を計画し、引っ越す経緯を書いたエッセイ。
    話が本に関することだけでなく、徒然なるままに、という感じ。
    つまらないわけではないけど、一気に読むタイプの本でもなく、図書館の返却期限内に読み終わらなかったのでそのまま延長せず返却。

  • ピ-ター・メイルの『南仏プロヴァンスの12ヶ月』が売れたせいで、プロヴァンスに観光客が押し寄せるようになり、当のメイル本人が騒がしさに耐えきれなくなってせっかく苦労して手に入れた新居を手放すことになったのは皮肉な話だ。異国の地で暮らすことになった外国人が、家を手に入れる顛末と地元の人々との交流を絡めて一冊の本にしたという点で、この本も前述の本と同工異曲である。ただ、風光明媚で美味しいものに溢れた南仏の町と、本屋と火事で焼けた姿をそのままさらす城しかない英国の町では、条件がちがう。作家が町を去るに至った理由は別にあった。

    ポール・コリンズはこの時点ではまだ処女作を出版していなかった。失敗した者の事例ばかりを集めたその本の出版は、ヘイ・オン・ワイと呼ばれる古書の町を離れ、アメリカに帰国してすぐのことだからだ。古書の町での家探しのあれこれと、城の持ち主であるリチャード・ブースの書店での仕事、それに子育てと本が出版されるまでの手続きを気の向くままに書きとめたような、エッセイとも紀行文とも私小説ともつかぬ奇妙な本だが、読み始めてみると引き込まれてしまう。

    ヘイ・オン・ワイはウェールズとイングランドの州境に位置する人口千五百人ほどの小さな町である。60年代までは単なる市場町だったが、物流の時代にバターと卵の市でやっていけるはずもなく町はジリ貧状態であった。その町を英国屈指の本の町にしたのがブースである。彼は城を買い、古い消防署や映画館を買い取ると、世界中からコンテナで送られてくる古書を売る本屋に変えていった。今では教会が五つ、食料品店が四軒の町に、古書店が40軒、築百年以上を誇る建造物の中に数百万冊の古書が隠れる「古書の聖地」になってしまった。

    奇書や古書に目がないポールは、以前に二度ほどこの町を訪れ、隠退するならこんな町がいいと思い定めていた。サンフランシスコでこれ以上やっていけなくなった若い夫婦が、子育てにもいいだろうと引っ越し先に決めたのが、ヘイ・オン・ワイだった。本屋の二階にあるアパートに腰を落ち着けた二人は、一日も早く引っ越せるよう家を探すのだったが、気に入った古い家は、高価すぎたり、奇妙な条件が付いていたり、古くて修理代がかかりすぎたりとどれもうまく話がまとまらない。アメリカとは違うイギリス流の不動産売買の仕組みに関するやんわりとした批評もあって、憧れの英国での暮らしはすんなりとは始まる気配がない。

    そのうちに、迷い込んだ書店の倉庫で、アメリカ文学に強いところを認められ、大量に積み上げられた古書の仕分けを受け持つことになる。その店主が「本の国の王様」ブースだった。貴族の血を引くブースは、城を買い取るとパスポートを発行し、ヘイ・オン・ワイを独立国扱いするなど、数々の奇行で知られていたが、最近では手堅い古書店を経営するライヴァルが現れ、城下の書店も次々と買収されるなど苦境に陥っていた。

    しかし、ポールは有名な稀覯本を扱う整然としたその店よりも、アナーキーなブースの店が気に入っていた。なぜなら、ブースの店にはどうしようもない本も多い代わりにここでしか見つけられない掘り出し物に出会う可能性もあるからだ。真の本好きが、自分の知っている本しか置いていない店より、何が隠れているか知れないブースの本屋の方に興味を持つのは当然だろう。

    ブースの店でアメリカ文学の棚を整理しながら、次から次へと古書の蘊蓄を披瀝してゆくあたり、あるいはアパートの大家で古書の町唯一の新刊本を扱うペンバートン書店のオーナー、ダイアナとブースのヘイ・フェスティバルをめぐる確執、と本を取り巻く話題満載で、本好きにはたまらない一冊である。

    因みにヘイ・フェスティバルは、かつてはヘイ文学フェスティバルと呼ばれ、カズオ・イシグロはじめノーマン・メイラーなど錚々たる作家がやってくる一大文学フェスティバルなのだが、ヘイの町の書店がスポンサーにもなっているこの行事にブースは参加しない。なぜなら、それで利益が出るのは町でたった一軒の新刊本書店であるダイアナの店だけだからという理由で。もとはアンティークショップだったダイアナの書店には、ブルース・チャトウィンやマーガレット・アトウッドなどの本がたくさん置いてあるのと逆に、当然あってしかるべき本がないという個人の書棚を拡大したようなところのある店らしい。チェーン店の書店が増えている中で、こんな本屋が続けていられるというのはなんだかうれしい。

    ひとつ気になるのは翻訳の文章である。キイボードの打ちまちがいかも知れないが「だ褐色」だの「ディジェスティブビスケット」だのという耳慣れない語句が頻出する。初版であるので、次の版では訂正されることになると思うが、本を扱った作品だけに洒落にならない。固有名詞については「インターネットで検索すればまず大抵のものは調べられた。便利な世の中になったものである」と訳者あとがきにあるが、辞書を引くという不便を避けるようなことはなかったのだろうか。もって他山の石としたい。

  • 【閲覧係より】
    ■古書コレクターのエッセイ
    普通の人には理解できない??古書コレクターの苦しみと喜びを描いたエッセイを集めました。

    古書好きが高じて移住までしてしまった著者とその家族の物語
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    所在番号:936||COP
    資料番号:20085642
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古書の聖地 (シリーズ愛書・探書・蔵書)に関連する談話室の質問

古書の聖地 (シリーズ愛書・探書・蔵書)の作品紹介

英国はウェールズの小さな田舎町ヘイ・オン・ワイ。住民1500人。古本屋40軒。数百万冊の本で埋めつくされた「愛書家の聖地」。古書マニアで、自ら第一作を書き上げたばかりのアメリカの若い作家が、サンフランシスコを離れ、妻と一歳半の息子とともにこの地に移り住んだ。ほこりまみれの書棚で珠玉の奇書を見つける至福。史上初めて古書で町を再生させた「本の国の王様」リチャード・ブースの素顔。古城を中心に築百年以上の建物しかない不思議な石造りの町並み…。本っていったい何だろう。読者の手を放れたあともなお生きつづける本とは?世界中から愉快な人々が集う古書の楽園での日々をユーモアたっぷりに綴る。

古書の聖地 (シリーズ愛書・探書・蔵書)はこんな本です

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