海を失った男 (晶文社ミステリ)

  • 晶文社
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本棚登録 : 114
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794927378

作品紹介・あらすじ

白痴の少女の美しい手に魅入られた青年ランは、その手を我が物とするために少女の家に移り住むが…エロスとタナトスの極致ともいうべき異形の愛をえがいた絶品「ビアンカの手」、頭と左腕を残して砂に埋まった男の内的世界を追求して圧倒的な「海を失った男」、交通事故で妻を亡くした男が、墓地で出会った不思議な男に墓を"読む"術を習う「墓読み」の三大傑作に、本邦初紹介の力作中篇「成熟」「三の法則」「そして私のおそれはつのる」、さらに名短篇集『一角獣・多角獣』から「シジジイじゃない」「ミュージック」を収録。めくるめく思考のスリルと異様な感動に満ちた不滅のスタージョン・クラシックス。

感想・レビュー・書評

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  • 短篇「成熟」おすすめ

    「白痴の少女の美しい手に魅入られた青年ランは、その手を我が物とするために少女の家に移り住むが…エロスとタナトスの極致ともいうべき異形の愛をえがいた絶品「ビアンカの手」、頭と左腕を残して砂に埋まった男の内的世界を追求して圧倒的な「海を失った男」、交通事故で妻を亡くした男が、墓地で出会った不思議な男に墓を“読む”術を習う「墓読み」の三大傑作に、本邦初紹介の力作中篇「成熟」「三の法則」「そして私のおそれはつのる」、さらに名短篇集『一角獣・多角獣』から「シジジイじゃない」「ミュージック」を収録。めくるめく思考のスリルと異様な感動に満ちた不滅のスタージョン・クラシックス。」

  •  ファンタジー短中編集。う~ん、いま一つピンとこない。惹きこまれるものがない。中ではちょっとアルジャーノンを思わせる「成熟」が面白かったけど、あとはおしなべて退屈だった。ぼくにはこういうのを受け入れる想像力や感受性が欠如しているのかもしれない。すみません。

  • 万陽

  • ゆっくりと静かに酔っぱらいたい一冊。

    SF幻想の巨匠と呼ばれながらも長いこと異色作家の枠にくくられてきたシオドア・スタージョンに、ここに来て再評価の動きが! スタージョンフリークには嬉しい流れだ。この本で初めての衝撃を受ける人がうらやましいな。変な先入観がないほうが、楽しむには有利だもの。
    一方、この作家は根強いファンを持つことで知られているわけだが(私もその一人かもしれない)、そういう固定ファンも再び鮮烈な印象を受け、この作家への認識をあらためる必要を感じるはず。「シオドア・スタージョン=読みづらい」という通説が覆る時が来た。『海を失った男』はストレートに面白い作品集で、もはや異色作家とは呼びたくない。広く読まれて当然になったのだ。うわー、大変に喜ばしいですよ。

    ★『ビアンカの手』は噂に違わぬ絶品。
    ★『成熟』これを前にしたら、さすがの『アルジャーノンに花束を』も色褪せますね。
    ★ 『そして私のおそれはつのる』は、『成熟』と交互に読み返すとじわじわきく。
    ★『墓読み』はまっとうな話。落ち着いた印象が、この短編集にあっては逆に意表をつく。
    ★そして『海を失った男』。何度噛んでも味が出る。ラストは噛みしめがいがある!

    どの作品でも、スタージョンにしか書けない世界を見せてくれる。誰に似ているとたとえることなどできない。独特の文体。暗い影、狂気の色を帯びている。

    やはり、滅法面白い。読んですぐにばんばん太鼓判を量産したくなるような質の高い作品が集まっている。スタージョンという人が、短篇でこそ存分に本領を発揮する作家だからだろう。

    出会えたことをひとしきり喜んだところで、あとはゆっくり静かに酔っぱらいたい一冊です。
    それにしても、大森望氏のコメントの熱いことよ!

  • 「三の法則」が一番好きかも。SFだなって感じ。

  • ミュージックが凄く好きです。こんな歌劇を見たいです。
    後は表題作、ただ圧倒されます。

  • 成熟や墓読みが好み。

  • 09年5月5日開始
    09年5月16日読了

     スタージョンの短編集。「成熟」が一番印象に残った。

  • 「成熟」と「シジジイじゃない」が好き。「シジジイじゃない」はちょっとマトリックスぽいなぁって思った。「海を失った男」は表題作だというのによく意味が分かんなくてそれが残念。うう…若島さんのあとがきの中の「『人間的』SF」という言葉に「なるほど」と腑に落ちた。

  • 若林正編纂による短篇集。再読。
    「ビアンカの手」以外、どんな話か忘れてしまっていた。読み進めるうちにそうだった、そうだったと思い出し。
    「ビアンカの手」では、彼女の手のなまめかしさもさることながら、彼女の母の存在が憐れでならなかった。「成熟」では、ペグのロビンに傾ける想いが切なかったし。ドタバタ喜劇っぽい「三の法則」では、異星人に憑依されたお茶目で威勢のいいおばあさん二人が楽しい。「そして私のおそれはつのる」は、言葉の獲得による成長と愛の勝利のお話。そして表題作。砂に埋もれた宇宙服姿の男性の回想が、徐々に徐々に彼のおかれた状況の真相に迫っていく緊迫感がたまらない。どうしてこんなにインパクトの強い作品を忘れていたんだろう。大丈夫か、私。
    ――Short Story Collection by Theodore Sturgeon

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著者プロフィール

シオドア・スタージョン(Theodore Sturgeon):1918年ニューヨーク生まれ。1950年に、第一長篇である本書を刊行。『人間以上』(1953年)で国際幻想文学大賞受賞。短篇「時間のかかる彫刻」(1970年)はヒューゴー、ネビュラ両賞に輝いた。1985年没。

「2023年 『夢みる宝石』 で使われていた紹介文から引用しています。」

シオドア・スタージョンの作品

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