誰でもない男の裁判 (晶文社ミステリ)

  • 晶文社
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本棚登録 : 70
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794927422

感想・レビュー・書評

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  • 収録されているのはさまざまなタイプの短編。本格からサスペンス、心温まる話などなどカーの魅力が隅から隅まで詰まった作品集だと思う。どれもおもしろいのだけど、個人的な趣味を挙げるなら表題作の「誰でもない男の裁判」と「ジメルマンのソース」「姓名判断殺人事件」かな。特に「誰でもない男の裁判」は最後まで全く気が抜けず、また最後のあのシーンが心に焼き付いている。

  • 洒落た面白いミステリを書く作家だ。有名な表題作「誰でもない男の裁判」は無神論者の作家が講演中に「もし神がいるのなら、俺を殺してみろ!」と叫んだ途端に銃声がなり、彼は銃弾に倒れた。犯人は名前もわからぬ記憶喪失の男で「声」に命じられたと証言する。現場に居合わせたミラード神父は事件の調査委員長にまつりあげられるが、世論はこの事件を神の奇跡と結びつける。しかし神父はおかしなことに気づき…。事件も奇跡も最後のどんでん返しが素晴らしい。「猫探し」と「姓名判断殺人事件」はラストがロマンチックで好き。そんな中短編8篇収録。

  • 最近何故か昔の推理小説を読む機会がちょこちょこあるような気がするけど、たまたまなのか、驚くほど時代を感じさせない。確かに今は使われなくなった機械とかあるんだけども、でも80年代の小説でも今は見ないな、みたいなものがあるわけで、後は小説として面白いかどうかとか、それって概ね人がどうやって描かれてるかとかによるわけで、そういう意味じゃあまり変わってないんだよな、きっと。といっても100年程度前の小説なので、そりゃ大して変わらんのだろうけど。まぁそんな前振りもなくても面白いわけで、でもって思うのは、昔の小説もちゃんと現代人に読みやすい口語調にしてほしいって事だったりするわけでした。翻訳も大事なんかな。

  • カーはカーでもJ.D.ならぬA.H.Z.カーの短篇集。シリアスなものやコミカルなもの、本格もの、心理サスペンス、リドルストーリーとバラエティに富んだ内容。
    中でも表題作、神に導かれたと主張する殺人犯と神父の対決という特異な設定、シニカルな結末が素晴らしい。
    娘の愛猫を踏み殺してしまった牧師の苦悩を描いた「黒い子猫」もお気に入り。

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