浅草最終出口: 浅草芸人・深見千三郎伝

著者 :
  • 晶文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794960856

作品紹介・あらすじ

永井荷風の愛した戦前の浅草。ストリップブームに湧く昭和20年代の浅草。渥美清、萩本欽一をはじめ、すぐれた喜劇人を次々と育てた浅草。移りゆく時代の変転を背景に、浅草でなければ生きられなかった一人の芸人の生涯を綿密に追跡、浅草という土地の神話をつむぎだした気鋭のノンフィクション力作。

感想・レビュー・書評

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  • 青山ブックセンターで見つけて、あわてるようにして買った。出版直後に買おうとして一瞬待ったのがいけなかった。晶文社の本はどうも置いてあるタイミングが悪い。で、今さら読んだ。
    精介さんとは一度、しかも、きっちり深く、お会いしている。岐阜のバー中西の30周年記念パーティの夜だった。あの晩、私は中西の店主である福島初栄さんに手を引かれ、その30年を通い続けた方々の前を歩いたのだ。丁度その時私が30歳だったということがあったのだけれど、「一番最後の常連」が本当の常連さんたちの前に出た訳だ。そのパーティはホテルで開かれ、青山のバーラジオの尾崎さんもそこにいた。尾崎さんは福島さんのことを深く尊敬していたことはその頃すでに知っていた。その晩、福島さんの「孫」として連れ歩かれたのは私にとって大きな勲章だ。その晩にホテルで鏡開きされた樽の名も「初孫」。その役は私だったのだ。
    二次会の場にも招かれた形で行く。なんせ孫なんだから。そこで精介さんに知り合った。だから、彼は私のお父さん役でないといけない。
    でも、精介さんは本当の飲んべえである。初回にそこまで見せてもらったのはとてつもなく楽しかった。精介さんの奥さんと一緒にホテルまで彼を担いで帰った。
    その精介さんの本である。これがやはり面白い。構成なんてはっきり言ってどうでもいい。面白いのだ。文章が彼そのものだ。だめなところ? いくらでもある。でも。憎めない。精介さんはそういう人だ。それが文章に表れている。浅草と精介さん。これは確かに見事なマッチング。
    本のサブタイトル「浅草芸人・深見千三郎伝」は不要だったと思う。この本に書かれているのはそれだけではないことが最初から明らかなのだ。晶文社の本にはよくあるのだが、サブタイトルがまずい。深見さんという人がすごいだけに、このタイトルはよくなかった。帯にも「ある芸人の物語」とある。おいおい、この本は「浅草に生きた芸人たちの物語」だよ。

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