月と菓子パン

著者 :
  • 晶文社
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本棚登録 : 384
感想 : 63
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794966186

作品紹介・あらすじ

とうふや巡礼・猫みちあるき・春雨泥棒・出もどり猫・アキバ植物園・相席日和・お好み花見・くちあけさん・カレー散歩・弁当大尽・ロゼッタ博士の散歩・富士メガネ・壁をみる日etc.エッセイ界の新しい風-待望の石田千の第一作。

感想・レビュー・書評

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  • とても美味しそうで楽しいエッセイでした~♪

    出戻り猫のチャーちゃんの話は、クスッとしたり、ホロリとさせられたり、忙しかったけど。

    家の近くに”猫みち”。
    なんて羨ましい!
    賞味期限を気にせずに喜んで食べてくれる、シブい舌の持ち主の知り合い(笑)
    石田さんの猫ちゃんとのふれあいに、ほっこり。
    その猫たちを町内全体で飼っているかのような温かさも。

    昭和のかおりのする下町。ご近所さん、お豆腐屋さん、お風呂屋さん…
    晩ご飯の支度の匂いが本の中からしてくるみたい。

    私も同じく大好物のオムライスは、断然真っ赤なケチャップ派。

    普通に歩いていたら、きっと気づかずに通り過ぎてしまう様な風景が、優しく丁寧に描写されていて、私も散歩してみたくなりました。

    とりたてて特別なわけでもない、ありふれた毎日を楽しむって、こんなに素敵なことなんだと教えてくれた一冊。

  • 陽が昇れば一日がはじまって、
    陽が沈めば一日がおわる。

    だいたいそんな感じで
    区切られた一日が重なって、
    なんだか
    がっちり固まっちゃって、
    ほんとうは
    いくつもあったはずの(ちいさな物語)は、
    もう
    取り出せない、
    平いらな地層のいちぶと化してしまったんだなあ、
    と、いうことに
    読書中、気付いてショックだった。

    著者の日々にも
    始まっては終わる、ちいさな物語がぎゅぎゅっと、たくさん詰まっていた。
    それは、
    あたたかくなれば、花が咲く。
    …事と、おなじくらい、見落としがちなありふれた日常ではあったが、
    なんとも手触りの良い柔らかな出来事を
    ひとめひとめ縫い上げて仕上げたストールのように
    羽織心地が最高で、
    いつまでも包まっていたいよな、温もりを感じてしまった。


    観覧車とおなじ高さでとぶ鳥を指差す子供の風景が好きだったなぁ。(^^♪

  • 東京下町に住んでいる石田千さんが、ノンビリご近所を散歩しながら優しく語りかけてくれるようなエッセイ集。
    ご近所のお馴染みさん達との交流はとてもゆるゆるで温か。
    ふらりと立ち寄る飲み屋に銭湯に豆腐屋におでん屋等々は、温かく迎え入れてくれる上に色々なことを教えてくれる「先生」のような存在。
    また地域全体で飼っている、ビジンさんにぶすこちゃんに器量よしのチャチャ姐さんといった野良猫達とのホンワカした触れあいもいい。

    石田さんはかなりの飲んべえらしく、出てくる食べ物は素朴で懐かしい酒の肴のようなものが多い。
    飲み仲間で集まると各種「奉行」が仕切ってくれるのも頼もしい。
    石田さんのお仲間に私も混ぜてもらって楽しく飲んでみたくなる。

    とてもほのぼのとした心地好いエッセイだった。
    山本容子さん作の表紙もとても素敵。

  • お菓子のようなエッセイ集です。芥川賞ざんねんでした。文体がここちよかったんだけどなあ。おしいっす。

  • やっぱ食べる系の話はすきだw
    桜紅葉にもんじゃお好み焼き、おでんの出汁のにおい、夕方の街角から漂ってくるカレーのにおい…すきだなぁw

    人が生きてるって感じがする

  • 声に出して読みたくなるような、
    美しい日本語。

  • たぶん私がいちばん心地良いと思える文章を書く石田さん。
    短いエッセイがたくさん、一日一話を眠る前に読んでます。

  • なんども読みすぎてボロボロになり買い換えた初の本。
    もはやバイブルです。

    読んでると、豆を煮たくなる。近所を散歩したくなる。お酒を飲みたくなる。
    ささやかなことをじっくり観察したくなる。
    特に何も起きてない日々の生活に目を向けていて
    いろんな気づきを与えてくれます。

    俳句か詩を読んでるような気分になる文体から、
    まるで武士のような暮らしぶりを連想してしまうことも。

    「女ひとりも、結構、楽しい」ていう帯の文句には疑問です。
    よくあるライフスタイルエッセイとか、’おひとりさま’推奨系の本であるかのような印象を与えて、いま売れてる路線に寄せていこうという戦略は、商売としては理解する。
    だけど、この作家のことをわかってない…ってもどかしくなります。

  • 何も考えたくない、ゆったりした気持ちになりたいと思いながら表紙の絵とタイトルに惹かれて手に取った。少しだらしないけど(笑)、人間味の溢れる作者のほっこり日常エッセイ。日曜日の昼間から夕方にかけて読みたい感じ。

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著者プロフィール

石田千(いしだ・せん)
福島県生まれ、東京都育ち。國學院大學文学部卒業。2001年、『大踏切書店のこと』で第1回古本小説大賞を受賞。「あめりかむら」、「きなりの雲」、「家へ」の各作品で、芥川賞候補。16年、『家へ』(講談社)にて第3回鉄犬ヘテロトピア文学賞受賞。16年より東海大学文学部文芸創作学科教授。著書に『月と菓子パン』(新潮文庫)、『唄めぐり』(新潮社)、『ヲトメノイノリ』(筑摩書房)、『屋上がえり』(ちくま文庫)、『バスを待って』(小学館文庫)、『夜明けのラジオ』(講談社)、『からだとはなす、ことばとおどる』(白水社)、『窓辺のこと』(港の人)他多数があり、牧野伊三夫氏との共著に『月金帳』(港の人)がある。

「2022年 『箸もてば』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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