紙の空から

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制作 : 柴田 元幸 
  • 晶文社 (2006年12月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794967046

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紙の空からの感想・レビュー・書評

  • 粒ぞろいの短編ばかりでとても楽しく読書させてもらった。良い本と出会えたと感じる。「夜走る人々」「夢博物館」が印象に残った。

  • (柴田元幸編訳)
    ジュディ・バドニッツ『道順』
    これは好き。人生は地図となり、地図製作者のえがきだす/見つめるそれは、たがいに交差し(または平行線をたどり)進む。
    福永信『星座からみた地球』を思い出す。あちらは、ささやかな言葉(時間も含む。仮)を共通する何人かが、その「ささやか」「を共通」のとらえ方で、「よく似た」ようにも、「まったく似ていない」にも見えた。「ささやか」「共通」の基準としての、星座だった、と思う。

    『道順』には、マスターマップと地図製作者がいるけれど、彼もまた眠り、(道を必要としない)花に手をのばしまったく未知のものに書き換えられてしまう。未知の道。ところでその書き換えはまた、夢のなかの出来事にすぎないという見方もできる。地図製作者と名乗る小説家が、登場人物を思うまま(ときに「キャラクターが勝手に」)動かしているとも言える。
    …この「〜とも」の振れ幅こそが、「星座的」な微差、同一とみなす近似値(なんていうんだろう?)のようだ。

    ジェーン・ガーダム『すすり泣く子供』
    村上春樹の編訳作品が好きな人はこれ大好きだと思う。

    スティーヴン・ミルハウザー『空飛ぶ絨毯』
    子ども時代の終わり。これを読む今、ちょうど夏が終わりつつあって、そのことは共感にひと役買っている。

    マグナス・ミルズ『夜走る人々』
    訳の愛嬌も大きいが、それにしても愛らしい運転手とその助手、それに「ただ進むだけ」なのもいい。これは快作!

  • 「すべての物語は何らかの意味で旅の物語であり、どんなに現実的で日常的な情景が描かれていようと、それはいわゆる現実や日常とはどこか違った<もう一つの国>なのだし、そもそも読み手にしてみれば、物語を読むという営み自体、どんな物語であれ、一種旅に出るようなものだと言うことができるだろう。」

    「訳者あとがき」からの引用だが、あらためて言われるまでもなく、私たちは書斎の中であれ、移動中の電車の中であれ、物語を読んでいるときは、現実に自分が生きている世界とは違った時間、違った場所に生きている。問題は文句なしに別世界に行ける作品と、そうすんなりとは行かしてくれない作品があって、私たちは、どうにかして、今まで見たこともないような<もう一つの国>にまちがいなく行ける切符を手にする機会はないものかとつねに本屋や図書館の棚、ウェブサイトの中をうろつき回っているということなのだ。

    手がかりになるのは読み巧者が見つけてくる情報なのだが、外国文学の場合、翻訳者が水先案内人であることが多い。優れた訳者は下手な作家より、よっぽど鋭い感性を持っている。そういう翻訳者を何人か知っていれば、見知らぬ国の作家が描き出す<もう一つの国>への切符はなかば手に入ったようなものだ。柴田元幸氏は、その中でも第一人者である。

    いつの頃よりか、これはと思った外国文学の訳者が多く柴田氏であることに気がついた。それからは、訳者が柴田氏であれば、作家の名前は知らなくとも、まずは読んでみることにしている。そして、ほとんど期待が裏切られたことはない。今回の作品は英語で書かれた旅にまつわる短編小説のアンソロジーである。

    冒頭に置かれた「ブレシアの飛行機」はガイ・ダヴェンポートの作品。友人のマックス・ブロートとイタリアの航空ショーを見に行った事実をカフカが書いた短い文章をもとにした同名の架空の旅行記である。現実と虚構が綯い交ぜになった記述に眩暈に似た感覚を覚えるが、その裡に知らぬ間に別世界に飛ばされてしまっている自分に気がつく。

    訳者お気に入りのスティーヴン・ミルハウザーの手になる「空飛ぶ絨毯」は、子どもの頃の夏休みに寄せる思い、少年の成長と引き替えにもたらされる喪失感を、独特の超現実主義的技巧でもって鮮やかに描ききった佳作。まさに紙上フライトの感あり。

    50年代のシカゴの下町を描かせたらこの人の右に出る者はいないというスチュアート・ダイベックが書いたのは、「パラツキーマン」。パラツキーとは、ウェハース二枚を蜂蜜で貼り合わせたもの。屑拾いや行商人の後をつけたがる子どもは洋の東西を問わず多いらしい。異世界への通り道を見つけてしまった兄弟の不思議な体験を描いた幻想的な作品。

    影の薄い町の住人が、丘の上に買った敷地に塀を建て始めた。中国人の職人を使い、その中で何をやっているのか町の人たちはいぶかしがるが、やがて当人は死ぬ。未亡人が指揮して塀を取り壊すとそこには…。アイロニーに満ちた奇妙な味わいを漂わせる、ピーター・ケアリーによる「アメリカン・ドリームズ」。

    ほかに、『コーネルの箱』で知られるジョゼフ・コーネルの作品に霊感を受けて書かれたというロバート・クーヴァーの「グランドホテル夜の旅」、「グランドホテル・ペニーアーケード」。ハワード・ネメロフの「夢博物館」は自分の夢を蒐集した博物館を建てた男の話。掉尾を飾るカズオ・イシグロの「日の暮れた村」など。どれも瞬時の裡に<もう一つの国>にあなたを連れ去ってくれることまちがいなしの逸品ぞろい。できれば、夜更け、静かな部屋で独り読んでいただきたい。

  • あとがき、挿絵。もう一度。さみ

  • アメリカ文学翻訳者である「柴田元幸」氏が選んだ、旅にまつわる海外短編を集めたアンソロジー。

    スティーブンミルハウザー、バリーユアグロー、スチュアートダイベック、カズオイシグロなど錚々たるメンツの短編が、きれいな挿絵とともにおしげもなく盛り込まれている。

    個人的には既読の短編もあったため、少し物足りない感はあるものの、海外短編好きにはたまらない内容になっていると思う。

  • 345.初、並、カバスレ、帯なし。
    2011.11.9.白子BF。

  • 「ブレシアの飛行機」ガイ・ダヴェンポート
    「道順」ジュディ・バドニッツ
    「すすり泣く子供」ジェーン・ガーダム
    「空飛ぶ絨毯」スティーヴン・ミルハウザー
    「がっかりする人は多い」V・S・プリチェット
    「恐ろしい楽園」チャールズ・シミック
    「ヨナ」ロジャー・パルバース
    「パラツキーマン」スチュアート・ダイベック
    「ツリーハウス」「『僕の友だちビル』」バリー・ユアグロー
    「夜走る人々」マグナス・ミルズ
    「アメリカン・ドリームズ」ピーター・ケアリー
    「グランドホテル夜の旅」「グランドホテル・ペニーアーケード」ロバート・クーヴァー
    「夢博物館」ハワード・ネメロフ
    「日の暮れた村」カズオ・イシグロ
    が読めます。

    こういうアンソロジーは知らない作家がたくさん知れて嬉しい。
    とっても面白かったのは
    「夜走る人々」
    「夢博物館」
    の二編。「空飛ぶ絨毯」はなんかこー、いい感じに切なくて、何度も読み返したくなる不思議作品。
    奇妙な世界観。やっぱりこういうのたくさん読もう。

    私はコーネルの作品が好きだけれど、コーネルに影響を受けて本を書いている人がたくさんいるのだな。
    やっぱりきちんと美術館へ行こう。

  • 読み始めて、そうか、旅に出たかったんかなあ。と思ったりしました。どれも、いろんな意味で旅のはなし。自分でも気づかずに手に取った本がぴったりくることもある、そういうことなのかも。
    「道順」も好きだけど、一番は「パラツキーマン」です。でも、どれもハズレはないです。

  • 柴田元幸が編訳した短編集だ。
    テーマは「旅」らしい。
    様々な作家が取り上げられていて、作風は多岐に渡りながら、どことなく皮肉な匂いがどの編にも共通して流れている。編者の趣味だろうか。
    いまいち面白みに欠けるものもあればニヤリとしたくなるようなものもあり、この辺は完全に個人の好みによると思う。
    空飛ぶ絨毯の話や模型の町の話なんか、好きだな。
    翻訳者の力なのか、もともとの物語の力なのか、あるいは海外小説に自分が不慣れなせいか、全体的に雰囲気が洒落ている気がした。

  • かなり読みづらい!
    途中で飽きてしまって、読み捨て。ゆえに同じ本を2冊も買ってしまった。で、やっぱり面白みがない。

  • 面白くてわかりやすい作品、ちょっと難しい作品、いろいろな海外文学を楽しむことができます。

  • 粒ぞろい。柴田さん崇拝の念は深まるばかりである。ミルハウザーの「空飛ぶ絨毯」がかなり良い。

  • 旅にかかわる短編小説集。14人の海外作家の作品が柴田元幸の編訳で収められている。14人目の作家、カズオ・イシグロの『日の暮れた村』は、記憶の世界への帰還とそれからの出発が幻想的に描かれていてとてもよかった。

  • 複数の作家による短篇集を読む楽しみとしてはこれまで読まなかったような作家に行き当たることがあるということが挙げられると思うけど、編者のテーストを好んでいる場合は尚更で、そのために読む、と言ってもいい位。
    でもまあ、それを切欠に読み継いでいきたいと思える作家に出会えるかどうかというと確率は高くは無いようにも思う。
    最近柴田さんの日本語を読むたびに思うことは、本人の紡ぐ日本語はもう翻訳の枠には収まりきれないんじゃないのかな、ということ。
    余程の個性がある作品以外は、何となく同じような色彩感が印象として残ってしまうので、結局、柴田元幸の翻訳モノを読むっていう表現がもっとも適切な表し方になってしまう読書に。
    もう少し積極的に言うと、翻訳する柴田さんの世界がオリジナルの世界を塗り替えているんじゃないかなと思うようなことが多い気がする。
    そんな中で、最後に置かれたカズオ・イシグロはさすがです。
    それと、個人的には、2番目に置かれているジュディ・ブヅニッツは、これまで読んだことが無かったけれど、読み始めた直ぐに「この人の書く世界感は好きだ」と感じたことが一番の収穫。
    あとがきを読んだら、この作家が岸本さんの訳に繋がっていることが判って、余計にんまり。

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