男子劣化社会

  • 晶文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794969682

感想・レビュー・書評

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  • 「ただ男だからというだけの理由で、何もしなくても相手から何かをしてもらえる権利があるなどと思っていては、どんな恋愛も続かない」
    「男子生徒五〇万人と女子生徒六〇万人を対象とした研究のメタ分析によると、世界中ですでに数十年も前から、全科目で女子は男子より成績がよい」
    「アメリカでは、一三、四歳で作文や読解において熟達レベルに達している男子は四分の一にも満たないが、女子は四一パーセントが作文で、三四パーセントが読解で達している」
    「学校が渡す成績表の最低点の七〇パーセントを男子生徒が占めていた。こういった男女間の成績格差に関する報告は、世界中から寄せられている」
    「OECDの調査によると、男子は女子より成績が悪く、落第する生徒も多く、卒業試験の合格率でも低い」
    「女子は男子より生徒会や優等生協会、部活動などに多く参加し、宿題もきちんとやり、多くの本を読み、美術や音楽の分野でもより高い能力を発揮している。その間に、より多くの男子が停学になったり、次の学年に進めなくなったりしている。要するに女子のほうがより真面目に学業に取り組んでいるのだ」
    「学校を中退する率も男子は女子よりはるかに高い。(中略)中退者の健康状態は非中退者のそれより劣ると報告されている。(中略)納める税金の少なさ、高い犯罪率、社会保障への高い依存度その他を含めると(中略)国の経済に約二四万ドルの負担増になる」
    「特別支援学級では生徒の三分の二が男子だ。IQの問題ではない。単に男子が努力をしていない」
    「今、男子が学業で十分な成果を上げていないすべての国が、明らかに警鐘を鳴らす時期に来ている。(中略)彼らやその家族だけでなく、彼らの属するコミュニティや国家さえもが、悲劇的な末路を迎えかねない」
    「多くの男たちがママとパパのもとに、または結婚や同棲の中に、長期の避難場所を求めている。驚くほど大量の男たちが働いて家計を助けるどころか、自分たちの居住空間を片付いた状態に保つといった最低限の家事すらしたがらない」
    「離婚後の男性の自殺率は女性のそれより一〇倍も高い。これはもともと男性のほうが結婚からより大きな恩恵を受けていて、女性の側はむしろ、結婚により子育てやさまざまな用事の大半を背負わされていると感じていたことを示している」
    「もし私たちが導かなければ、男の子たちは村を焼き落とすだろう——アフリカの諺」
    「父親がいる子さえ、学童期の少年を例にとると、一週間に平均半時間しか父親と一対一の会話をしていない」
    「イギリスでは、中等教育修了試験で女子のほぼ四分の三がAスター[Aよりさらにいい最高グレード]〜Cのグレード[C以上が合格とみなされる]を取得するが、男子では三分の二にも満たない。(中略)この現象は人種や社会経済ステイタスに関係なく、あらゆる層の少年に起きている」
    「視聴数が最も多い動画のうち、コンドームが使用されたのは、レズビアンのカップルが擬似ペニスに装着した一本のみだ。多くの動画で、男性は女性からフェラチオを受けたあとに膣への挿入をし、次に女性の肛門に挿入し、それから女性の口またはふたたび膣へと挿入している。これは女性を性感染症だけでなく、尿路感染症のような細菌感染症にかかる大きなリスクにさらしている」
    「ポルノ動画はたいてい男性の射精直後に終わるが、それはあくまで男性の射精がセックスの頂点であり、他のすべては副次的なものであるとみなされているからだ」
    「要するに、ポルノは愛の営みどころかセックスでもなく、主に男性視聴者の視覚に訴える"ファック"にすぎない。女性も人がセックスするところを見るのを楽しまないわけではないし、実際、多くの女性がポルノを見ている。要するに、女性の場合は、なんのストーリーもなしにただぶつかり合う身体のパーツの接写を次から次へと見せられることを楽しまないだけなのだ」
    「インターネット、ギャンブル、オンラインポルノの三つの依存症については脳の研究が九〇以上あるが、これらの依存症のすべてにおいて、脳内に薬物依存症に見られるものと同様の変化が起きている」
    「なぜ若い男性が自分は何かを手に入れるのが当然だと感じているかというと、彼らの大半が、まわりに当たり前のようにあるものを実際に作ったり手入れしたりするプロセスに加わっていないからだ」
    「若者の道徳観に関する調査では、女子の二八パーセントに比較し男子の四五パーセントが「成功するためには、ときには嘘をついたり不正なことをしなくてはならない」に「同意する」または「強く同意する」を選んだ。さらに、女子の二倍の男子が「他の誰もがやっていたら、それは不正行為ではない」に同じく「同意する」または「強く同意する」を選んだ」
    「黎明期の農業は古代中近東で女性が野生の穀物を栽培したことで発展していったそうだが(中略)農業がいったん根付くと、男性が社会で優位に立ち、そしてそれが男性たちに将来にわたって家族、労働、経済、文化、宗教の分野で支配することを許したという」
    こういった「不都合な真実」を、数々のデータを駆使してガンガン暴いていくp200までは星5つ。

    しかし、p201以降は読む価値ゼロ。
    「女性差別社会は女性優遇社会でもある。警察や軍隊などの危険な職場が『男の世界』なのは男性差別」などといったインセルミソヲタそっくりの妄言を、まさか高名な学者様がのたまうとは。こういった世界に入りたくても入れてもらえず、門をこじ開けて入ってもセクハラモラハラパワハラに晒されまくっている女性たちの悲劇を、まさか知らないとでも言うつもりなのか。
    しょせん男か。「チンよし(おチンチンよしよし)なくして女の解放なし」ってか。
    ふざけんな! と言いたい。

    2020/2/22読了

  • 社会のある側面を鋭く提示してくれているように思え、興味深く読んだ。後半はやや説教臭さが鼻に付いたが。日本でも青少年の男子が直面する問題点を誰か書いてくれないものか。

  • タイトルどおり、男子が劣化しているという趣旨の本。

    女性の社会進出とデジタル社会の進歩が男子から男らしさを取り上げたという内容。
    デジタル世界では、リアルと異なりイージーに様々なものを獲得できる。そのため男子はバーチャルにハマりやすい。
    バーチャル世界での王様は、リアルワールドでは冴えない男子だ。だからますますデジタルにのめり込む、ということらしい。

    全体としては、Twitterでよく目にする言論だ。この本がネタ元なのかもしれない。

著者プロフィール

スタンフォード大学心理学名誉教授。エール大学、ニューヨーク大学、コロンビア大学でも教鞭をとる。米国心理学会会長、スタンフォード対テロリズム総合政策教育研究センター所長を歴任。『ルシファー・エフェクト』(2015年、海と月社、ウィリアム・ジェイムズ・ブック賞)、『迷いの晴れる時間術』(2009年、ポプラ社)などがある。

「2017年 『男子劣化社会』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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