ギリシャ語の時間 (韓国文学のオクリモノ)

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著者 : ハン・ガン
制作 : 斎藤 真理子 
  • 晶文社 (2017年10月11日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794969774

ギリシャ語の時間 (韓国文学のオクリモノ)の感想・レビュー・書評

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  • 薄緑色のデザインが美しい装丁。
    読書会の課題本でした。

    ある日突然
    言葉を話せなくなった女。
    すこしずつ視力を失っていく男。

    詩的でとつとつと物語は紡がれる。
    わたしには最後まで2人の、顔が見えてこなかったけど、美しくなく汚い部分も読み取っていた人もいて。

    そんなに簡単なことではありませぬ。か。

  • ────────
    八年前に彼女が産み、今はもう育てることができなくなった子供が初めて言葉を覚えようとしていた頃、彼女は、人間のすべての言語が圧縮されたような一つの単語を夢に見たことがある。背中が汗でびっしょり濡れるほど生々しい悪夢だった。とてつもない密度と重量で堅く打ち固められた一つの単語。誰かが発音したらその瞬間に、太初の物質さながらに爆発し、膨張していくだろう。夜泣きのひどかった子供を寝かしつけながら一瞬うとうとするたび、途方もなく重いその言語の結晶が、彼女の熱い心臓に、脈打つ心室の真ん中に、冷え切った爆薬のように装填される夢を見た。


    小学生のころに作った万華鏡を彼女は思い出す。鏡屋が長方形に切って持ってきた三枚の鏡面板をつなぎ合わせて三角柱を作り、その中に小さく切った色とりどりの色紙を入れた。片方の目を当てて万華鏡を揺らすたびに広がる不思議な世界に、彼女はたちどころに魅了された。
    言葉をなくしてから、ときどき彼女の目の前にはあの世界が折り重なって浮かび上がることがある。今のようにくたくたになって、バスに身を任せて暗い、堅固な森のような夜の町を揺られていくとき。カルチャースクールの建物の暗く狭い階段を上がっていくとき。教室に続く長い廊下を歩いて行くとき。午後の日差しと静寂と樹木、葉ずれ、その間の黄色い模様を眺めているとき。今にも爆発しそうなネオンサインと色電球の下をとぼとぼと歩いて行くとき。
    言葉をなくしてみると、それらのすべての風景はばらばらの鮮やかな破片になった。万華鏡の中でついに黙り込んだままだった無数の冷たい花びらのように、いっせいに模様を変えてみせた、あの色紙のように。


    すべての事物は自らの内に自らを損なうものを持っていると論証する箇所でですね。目の炎症が目を破壊して見えなくさせ、錆が鉄を破壊して完全に粉々にしてしまうことを例にとって説明していますが、そうであれば人間の魂はなぜ、内なる愚かな、悪しき属性によって破壊されないのでしょうか?


    文学を読むなんて耐えられなかった。感覚とイメージが、感情と思索とがぶざまに手を組んで揺れている、そんな世界を決して信じたくなかった。


    暗闇にはイデアがない。ただの闇だ、マイナスだ。簡単にいえばゼロ以下の世界にはイデアがないんだよ。どんなに微弱でもいいから、光が必要だ。かすかな光でも存在しないところにイデアはない。ほんとうに、わからない?どんないにかすかな美しさでも崇高さでも、プラスの光がなくては成り立たないんだ。死と消滅のイデアなんて!君は今、丸い三角形について語っているんだぜ。


    人間の体は悲しいものだということ。へこんだところ、やわらかいところ、傷つきやすいところでいっぱいな人間の体は。腕は。脇の下は。胸は。股は。誰かを抱きしめるために、抱きしめたいと思うように生まれついている、あの、体というものは。
    あの季節が終わる前に君を、一度でいいから、壊れるぐらいに、真正面から抱きしめなくてはいけなかったのに。
    それは決して僕を傷つけはしなかったろうに。
    僕が倒れも、死にもしなかったろうに。

  • 書籍についてこういった公開の場に書くと、身近なところからクレームが入るので、読後記は控えさせていただきます。

    http://www.rockfield.net/wordpress/?p=10489

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ギリシャ語の時間 (韓国文学のオクリモノ)の作品紹介

ある日突然言葉を話せなくなった女。
すこしずつ視力を失っていく男。

女は失われた言葉を取り戻すため
古典ギリシャ語を習い始める。
ギリシャ語講師の男は
彼女の ”沈黙” に関心をよせていく。

ふたりの出会いと対話を通じて、
人間が失った本質とは何かを問いかける。

★『菜食主義者』でアジア人作家として初めて英国のブッカー国際賞を受賞したハン・ガンの長編小説

★「この本は、生きていくということに対する、私の最も明るい答え」――ハン・ガン

ギリシャ語の時間 (韓国文学のオクリモノ)はこんな本です

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