アメリカ「対日感情」紀行

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  • 情報センター出版局
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784795840423

作品紹介・あらすじ

「私たちと同じ目線で日々を暮らしている市井のアメリカ人」に日本はどう映っているのか? その答えを求めて、アメリカ全50州の人々の話を聞くために彼は独り爆走した。

感想・レビュー・書評

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  • 「日本人はどこまでアメリカのことを理解しているだろうか」

    90年代初頭、バブルが弾けるかどうかの日本最盛期。アメリカとの貿易不均衡が原因となりジャパン・バッシングも最盛期であったこの頃、アメリカに留学をした著者は、国同士のピリピリとした関係が嘘のような温かい歓迎を現地で受ける。
    そんな経験から、著者は等身大のアメリカ人を知ろうと、アメリカ全50州を車で旅して回ろうと、そこで生の声を聞こうと思い立つ。
    その旅の履歴がこの一冊である。

    これを書いたのは横田増生氏。以前読んだ同氏の作品『アマゾン・ドット・コムの光と影』が予想以上に面白かったため、手にとってみた。おそらく、横田氏の作品というつながりがなければ一生手にすることのないタイトルだろう。

    人と会話をするというのは楽しい。
    そう感じられることはすばらしい事と思う。
    ネットという文化が根付き始め、人と人とのつながりが希薄になりがちな世の中では尚更ではないか。
    本書の中で著者はアメリカの各州でとにかく人と出会い、インタビューを敢行している。
    インタビューだけでなく、合間には紀行文のように、途中経過や旅での珍事も盛り込んでいるためテンポ良く読める。
    訪問先はネットを通じて

    「好きでも嫌いでもいいから日本との結びつきを二時間くらい話してくれる人」
    「実名で話を聞かせてくれる人」

    など、という条件で募集したので、当然なのかもしれないが、本書に登場するアメリカ人達はすべて日本寄りである。
    そのため、読んでいてプラスの意見だけなので、どこか物足りなさも感じはするが、
    ・過去に日本の居酒屋でバイトをしていた女性
    ・アニメ好きの少年
    ・「フリーズ」の単語を聞き違え銃で撃たれ亡くなった留学生服部さんのホストファミリー
    ・パールハーバー奇襲を生き延びた元アメリカ兵
    などなど、とにかく富んでいる。

    日本に住んでいると気が付かないアメリカとのつながり。
    それはアニメであり経済であり戦争であり、いたるところにある。
    そして、一見忌み嫌うような日本の風習も見方をちょっと変えるだけで、美点として見えてくるから面白い。

    ところで、旅の途中で出てくる信じられないような、アメリカのサービスの悪さ。
    それはケータイ電話会社からレストランに至るまで。
    今度はその真相も知りたいところである。

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著者プロフィール

横田増生

一九六五年、福岡県生まれ。関西学院大学を卒業後、予備校講師を経て、アメリカ・アイオワ大学ジャーナリズム学部で修士号を取得。九三年に帰国後、物流業界紙『輸送経済』の記者、編集長を務める。九九年よりフリーランスとして活躍。二〇二〇年、『潜入ルポ amazon帝国』で第一九回新潮ドキュメント賞を受賞。著書に『ユニクロ潜入一年』『「トランプ信者」潜入一年』など。

「2022年 『評伝 ナンシー関』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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