背徳のマリア (下) (ガッシュ文庫)

著者 :
  • 海王社
4.15
  • (17)
  • (11)
  • (11)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 120
感想 : 19
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796401777

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ここまでしなければならんのか、と言うくらいに彰の愛情は業が深い。結城と和己の兄弟も業が深い。一人浮世離れしているのが早坂で、安藤も豪快に境界線を越える。だが、BLを読み慣れていると「男同志でもいいじゃない」が当たり前になってしまっている自分の脳内を再確認させられた。いつの間にか気付かないうちに「BLなので普通ではあり得ないとしても間違いなく男同士が愛し合う」と疑いなく思い込んで読んでいるな…と。それでも男でなければならない事が書いてあった。BLとして成り立っているのが当り前じゃないんだ…

  • こんなに後味悪く終わるとは思ってなかった…。これを後味悪いと感じるかは人それぞれだと思うけど、少なくとも今までのBLの基準で考えると一瞬呆然とすると思う。

    安藤先生が意外なほど最後までいい人(笑)

  • 同性カプにとって永遠に叶わぬであろう夢を実現させようとする男たちの暴走。どちらも深過ぎる愛ゆえというのは理解できるのだけど、結城にしろ彰にしろ自己完結してしまってはいないだろうか。彼らの出した結論に相手の意思や想いは含まれていないから。子供こそが愛の証と思い込んでしまうのもそれが不可能である男同士だからというのであればなおさら悲しみが増す。書き下ろしを読むと「背徳のマリア」の物語は完結していないと思えてるのでその後がとても気になってしょうがない。

  • 背徳のマリア上 から続き

    自我を壊さなければならないほどの愛が2つ
    どちらも産声を待っている

    混沌とした闇でも必ず光を感じる
    そんな世界観です

    何が正しいとか何が過ちとか、そんな事はどうでもいいのです。愛する人が幸せを微笑みで伝えてくれていれば。

    根底に深い愛があって、言葉にしない、表に出さないけれど、深い深いただ幸せを祈る愛があるから悲惨にならないのだと思いました。
    ただ穏やかに、やっと穏やかに。
    いつまでもと祈る気持ちが沸いてきます。とても愛しい作品になりました。

  • 5年ぶりの再読。
    今回は落ち着いて読めた。
    初読のときはガクブルしたもん。

    やっぱり安藤の存在は大きいね。
    このムサい男がいなかったらこの物語は痛過ぎてつらい。

    それにしても、黒崎結城のマッドさには恐れ入るなあ。
    愛し合ってるのに一方通行だったもんなー。

  • 上巻の面白さに驚愕し、続けざまに下巻を読んだ。

    冒頭から衝撃の短編で幕開ける。医者の兄が実の弟に胎児を孕ませる話だ。それがまた波乱を呼び「背徳のマリア」という物語を背徳の激しい渦の中に巻き込んでいく。

    「龍と竜」もシリーズ通して読んだ事があるので、こう繋がっているのか…とラストにまた感嘆した。

    BL、NLを超えた素晴らしい小説だった。一生本棚に置いて大事にしたい本がまた出来ました。

  • 圭介と彰編のラストを読んでその展開に衝撃を覚えてしまいました。救いがないわけではないけど、それでもやりきれなさが募ったりして…。
    でも読み進めていくうちに、この展開で良かったんだと思えました。
    成功しても失敗しても、みんな笑顔でチャンチャン、というラストこそ釈然としなさそうなので。みんな笑顔だけど、あのラストだからこその笑顔だと思うので。
    いろいろと考えさせられるシリーズでした。

  • 衝撃的すぎて、読了してから呆然……。
    当時だから発表できたようなもので、今の業界事情だったら完全スルーどころか下手したら発禁ものだと思う。
    ヤンデレなんて可愛い表現すっとばして、もはや妄執とよべるベレル。

    表題作の兄弟よりも、個人的には医者カップルの方が好みです。
    というか、これダブル主人公で、安藤を通して互いにリンクしてる話ですよね……。
    受がどちらとも自分で腹をかっ捌くとか、もうどうかしてるとしか。
    病み度が尋常じゃない感じで、読んでてしんどいのに、結末を知りたくてもつれそうになる勢いで文字を追ってしまいました。

    どちらのカップルの話も、片方のひとりよがりな行動が目立つ。
    勝手に勘違いして、勝手に恐怖して、相手の気持ちや言葉を信じられずに、ひとり疑心暗鬼になって……というか、ここまで考えてそれってその時点でもう病気だよね……。
    両想いなのに一方通行という図式は、相手の方が本当は辛いんだよなー……と思うので。
    兄弟なら弟が不憫。医者なら攻が不憫。
    作中、唯一のオアシス的役割というか、良心的役割を果たしていた(良心というか、不屈の精神力?)安藤が、受を不憫だ不憫だと言いますが、全然不憫には見えないというか、むしろ攻の気持ちを考えると、この自分勝手な受の横っ面張り倒してやりたい。

    救いのないラストにも見えますが、見方によっては幸せにも見える。
    というか、受にとっては幸せなんだろうという感じ。
    ふたりとも幸せには見えないので、読後感は砂を噛んだ感じです。
    それでもテーマが深く読ませるだけのものがあったので、評価高め。

  • 上下巻一気に読み終え本を閉じた瞬間深ーいため息。
    今はただこの狂った世界から解放された事が嬉しい。

  • これはもう狂気としか言いようがないと思う。
    上巻も重かったけれど、下巻はさらに思いと感じました。
    狂ってしまう描写や、呆けてしまう描写は変にリアリティがあって寒気がしました。執着心が恐ろしかったです。
    後日談として、また少し続きが読みたいと思いました。綺月先生、いつか書いてくださればいいののにな。

    ですが、読み終わるとどっと疲れがきます。精神的にも肉体的にも余裕がる時に読むのが一番良いと思いますよ。

全19件中 1 - 10件を表示

綺月陣の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×