四日間の奇蹟 (宝島社文庫)

  • 4720人登録
  • 3.39評価
    • (331)
    • (663)
    • (1385)
    • (205)
    • (46)
  • 733レビュー
著者 : 浅倉卓弥
  • 宝島社 (2004年1月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (508ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796638432

四日間の奇蹟 (宝島社文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 第1回このミステリーがすごい!大賞の受賞作。

    評価は色々あるようですが、個人的には、とても引き込まれました。面白いです。音楽用語や脳医学用語が多用されているにも関わらず、情景が目に浮かぶくらいグイグイ読ませてくれます。

    また、主人公の敬輔や、真理子の言葉で語られる「捨てきれない理想への執着」、「自己犠牲の精神とその葛藤」といった心の動きにとても共感しますね。

    軸となる出来事も描かれるテーマ
    も、1つ1つはよくあると言えばよくあります。ただ、それら多くのテーマが物語の中にしっかりと織り込まれ、終盤に向かうにつれ、テーマに対する作者の主張、答えが明確になっていく(しっかり回収されていく)。それを読ませる文章力、構成力が素晴らしいと思います。

    視点によっては、このような作りが寄せ集めに見えたり、目新しさを感じなかったりするので、評価が割れるんでしょうね。あと「ミステリー」という括り方の問題。本作は決して推理小説ではないので、そこは注意です。

  • いいんだけど、似たようなストーリーのゲームやったことあって「似てるなぁ」って思いながら読んでた。惜しい!

  • 知的障害を持つ少女と事故で指が一本欠けてしまったピアニストの心温まる奇跡の話。

    作品のテーマとして「心」とは脳が作り出すものか?それとも体という入れ物に宿るものなのか?といったことを考えさせられる。

    ストーリーとしてはどこかで読んだことあるような、3ページぐらい先の展開が読めてしまうようなものだった。しかし、ハッピーエンドというか心温まる締めくくりだった。

    音楽に感動できるということが羨ましいと感じた。千織をとても愛おしく感じた。

  • 第1回「このミス」大賞受賞作とのことだけど、ミステリというよりもファンタジーに近い印象を持った。これは自分が”ミステリ”というものについての思い込みがあったのだろうか。事件が起こって、謎解きをして…この作品は全くそれに当たらない。研究所と施設が出てきたときは、(ここで殺人か)と思ったくらい。しかしながら大きな出来事が起こっているわけでもないのに不思議とグイグイ読ませてくれる。そして”奇蹟”が起こったときは、なぜかとてもピュアな空気が流れているような、読書をしながら静謐な空間にいるような気持ちになった。描かれている音楽よりも漂う空気感が力を持っている、不思議な力を持った一冊だった。
    (ただ正直言って岩村真理子のような人はちょっと苦手。)

  • ミステリーと思って挑んだので、イメージとはだいぶ違う内容だったけど、とても読み応えのある本だった!情景や人物描写がすごく自然に描かれていて読みやすかった。人の心、人間のあり方について考えさせらる。
    映画化もされてて配役もぴったりそうなので、見てみたい!

  • 何の予備知識も無く読み始めて、最後は泣くほど感動。
    これが「新人賞」を取ったデビュー作とは
    とても思えないクオリティの高さ(えらそーですが)。

    何を勘違いしたか、ミステリのつもりで読み始めて、
    「中々人が死なないな〜」などと思っていたが、
    逆にこれほど「死」と、その裏返しとして「生きる」こと、
    家族や人とのつながりなどを考えさせられる作品は無い、
    とも言えるのでは無かろうか。

    緩急がはっきりした文体で、特に前半は
    ものすごく贅沢に紙面を割いて主人公の心象を
    丁寧に丁寧に描写していく。
    ヘタをすれば冗長と取られかねない手法だが、
    ダレることなく読ませるのは作者の力量かと。

    また本当にちょっとした伏線もきちんと回収するので、
    もはや「心地よい」レベルと言えるかと(^o^

    特に秀逸なのは、登場する音楽の描写と、
    死を目前にした人間の目まぐるしい心境の変化。
    作者は一度死んだことがあるんじゃないか!?(^ ^;

    ストーリーに関することは...
    何を書いてもネタバレになるので(^ ^;

  • たった4日間の奇跡。それは、旅立つ者と残される者双方にとって、残酷なひとときであり、またかけがえのない救いでもありました。
    セリフをはじめ、描写がとても濃密で、主だった登場人物の心情で全編が満ちあふれています。
    作品の背景となる音楽、脳科学、医療施設の実態などがリアルに描かれているので、たとえどんなに不思議な出来事であっても全否定できないような気持ちにさせられました。

  • <内容紹介>
     指を失ったピアニストの青年と、精神遅滞の少女が、国立脳科学研究所病院付属医療法人長期加療者療養センターで遭遇する奇蹟の物語。

     ミステリーともファンタジーとも紹介される本書。でも、私にはどちらとも思えなかった。脳や音楽を基軸に人間をえがいた物語。
     読む人の興味や関心によって、様々な読み方ができる物語に感じる。そういう意味で、すごい小説だと思った。

     脳の話として読むと、少女の脳には活動していない部位がある。左半球の前頭連合野の44野。ブローカ野とも呼ばれる言語を扱う部位を中心に一帯の連合野の活動が止まっている。そんな彼女の脳にどんな変化が起こるのか…
     1章を中心に脳の話は要所要所で解説もされている。

     音楽の話として読むと、ピアノ曲はこの話の構成を助けている。作曲する事やピアノで演奏するという事について、いろいろ考えさせてくれる。

     心の話としても読める。脳についての話を読み飛ばしても、人の心という事を十分に感じさせてくれる物語だと思う。

     ただ最終的に作者が扱っているのは、人間だと思う。
     私にとっては、人が人として生きる事、人の力を感じさせてくれる物語だった。


    <感想> ※ネタばれあり
     自分の中にいる他者、他者の中にいる自分という事を考えた。
     人は人と影響しあいながら生きている。
     そして、タイミングや場面や状況など様々な条件がそろったとき、特別なある人との出会いや経験が、人生をかえるような大きなものになる事がある。
     それは、奇蹟的なものなのかもしれないと思った。千織の脳に起こったような。

     千織の脳に起こった変化は奇蹟的で、この物語をファンタジーと考えるのは当然の事だと思う。
     だけど私は、作中の倉野医師の乖離という考えを支持したい。
     冷たいようだけど…

     でも、それでも、千織の乖離した人格が統合されていく過程で、登場人物たちは救われたんだ。真理子も如月も千織自身も、周囲の他の人々も…
     そして、千織の人格の統合は、登場人物たちが自分自身を受け入れていった、自分自身の人生を肯定していった象徴なのだと思う。

     人は人によって救われる。
     だけど、自分自身がそれを望み受け入れていかなければ、奇蹟は起こらない。
     どんな事があっても、自分自身が諦めず、そして他者と向き合っていく事ができれば、人は変わる事ができる。それが、救いなのだと思う。


     私は脳に興味があるし、勉強したいとも思っている。
     だけど、人の心を脳科学で理解できる日はこないと信じている。

     人は人。
     人を理解するのに、脳科学で切り刻むような事はしたくない。
     脳科学でも他のどんな理論でも、人を理解したと思いたくない。
     科学や理論で説明できるのは、あくまでもその人の一部。それだって完全とは言えないのではないか?
     なぜなら、人は1人1人違う心を持った存在だから。その個別性を理論で説明しきれる日がくるとは思いたくない。

     でも、芸術は違う。言葉で説明する事のできない芸術は、人間を表現する事ができるような気がする。音楽も美術も文学も…その他の芸術も…

     だから私は文学と音楽が好きです。
     そして、音楽と文学の融合「4日間の奇蹟」は私にとって素敵な物語です。

  • 物語に惹き込まれ、残り4分の3はあっという間に読破しました。

    登場人物が魅力的だなぁ。
    真理子さん、いっぱいいっぱい大変なことがあって、
    頑張ったところは認められずに、たったひとつのことで嫁の資格を剥奪され、
    恨み嫉みを持つ自分に相対面しないよう、気持ちをプラス思考に転換させていたけど、
    肉体の死を目前にしたとき本心が出ましたね。

    それでいいと思いました。

    人って良い感情ばかりじゃない。
    知りたくなかった自分のドス黒い感情に愕然とするときもあるけど、
    そういう経験があるからこそ、みんなのために尽くせるし、信頼されるんだと思います。

    病室に施設のみーんなが一目見たいと押し寄せたのがその証ですね。
    元旦那さん、その妹、さらにはそのご両親まで、
    真理子さんのお人柄がよく表れていた最期でした。

    "死"は避けられないことでしたが、前向きな未来を想像できる終わり方はとても良かったです(*^^*)
    私も頑張らなきゃー!

  • 人が死んだらどうなるのかなんて、誰もわからないし、そのこと自体に意味はないのだろうと思う。でも、今生きている、関わりのある人に気持ちを尽くして、自分自身も精いっぱい生きるってことは、すごく大事なことなんだと思う。

    自分が死ぬ日が明確にわかったら、どうだろうか。どういう気持ちで、どういう行動をとるのだろうか。

    人の分まで想いをもって、自分は生きていきたい。

全733件中 1 - 10件を表示

浅倉卓弥の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

四日間の奇蹟 (宝島社文庫)を本棚に「読みたい」で登録しているひと

四日間の奇蹟 (宝島社文庫)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

四日間の奇蹟 (宝島社文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

ツイートする