果てしなき渇き

著者 :
  • 宝島社
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本棚登録 : 596
感想 : 110
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  • Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796644600

感想・レビュー・書評

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  •  この小説を語ると、読者の男性と女性では議論が対立すると思います。

     藤島秋弘(主人公)は、身の破滅を顧みず行動する粗暴で激情型です。

     物語は、妻(桐子)の浮気相手を殴って離婚されヤメ刑事となり、警備会社に勤務していた。ある日、桐子から娘の加奈子が行方不明になったと連絡があり元自宅へと向かった。

     てがかりを求めて加奈子の部屋を調べると違法ドラッグと接種具を発見した。離婚した妻が藤島を呼び寄せたのは、それを知っていたからだ。藤島は娘の失踪なら「警察に通報しろ」と言っていたが、ドラッグを見つけてからは「俺が加奈子を捜す。警察には言うな」と元妻を脅し、仕事を放棄して加奈子を捜すことになる。

     警察官の仕事柄幾日も帰れない、家庭を蔑ろにしていたわけではなく、幸せな生活を夢見たはずで、娘と妻を愛するのは父親として理解できます。加奈子の同級生やかかりつけ医とかを辿って居場所を突き止めようとする。
     しかしここからがエグイのです。元刑事さながら聞き込みをして、段々と加奈子の知られざる側面が見えてくる。中学校の元担任によると、純愛の彼氏(緒方)がいた。その彼氏は虐められていて、虐めが収まったかと思ったらドラッグを飲まされ変態ジジィに犯され、ショックで自殺した。暴力団と繫がっている不良グループ(アポカリプス)からクスリを仕入れ転売する。更に若い女の子たちを集めて売春組織を作るといった具合だ。

     かなり異常です。顧客は大物政治家、警察幹部、医者、その中には加奈子の主治医もいた。加奈子は、おぞましい行為の写真を隠し撮りしていたのだ。加奈子の存在に不都合な者達と父親藤島は、血眼になって捜しているが、姿が見えない。以上があらすじです。

     物語上で、藤島元夫婦の道義上の問題と道徳上の問題、妻桐子は、離婚を画策して加奈子を生贄にしたのではないかと思っていた。しかし、加奈子は両親を恨んでいたかについては何も語っていない。二つの物語が交錯して、最後は驚愕の事実が語られている。

     読書は楽しい。かなりグロいけど!

  • 妻の浮気相手に対して暴力事件を起こして警察を退職した元刑事が元妻の依頼で失踪した娘を探す話。娘は真面目な優等生という表の顔以外に覚醒剤を大量に所持し、ヤクザに繋がる不良グループと接触しており、売春組織まで作り上げていたことという裏の顔を持つことが分かった。娘は何処にいるか、何が娘をそうさせたかを探っていく。

    実際のプチエンジェル事件を元に作られたと言われている話で「このミステリーが凄い」にも選ばれ、映画化もされた小説。
    読後感が悪いことも知っていたが、想像以上に悪かった。誰も救われないし、共感できる人がいない。主人公の藤島は自己中心的で無責任で刹那的。娘が残していた覚醒剤を使用するところは全く理解出来ない。「三年前」のボクである瀬岡が気の毒で気の毒で…。加奈子みたいにクールに理性的に壊れていく人を私は見たことがない。現実離れしていて、プチエンジェル事件には、こんな裏話はなさそう…と思ってしまった(当たり前だが)。

    悪くても突き抜けたものがあれば、ある意味、爽快な気持ちになるかと思っていたが、グロテスクだとそうならないことが分かった。

  • グロいのが、苦手なわけではない。
    けど、後味悪。誉田さんの「月光」読んだ後の感じに似ている。
    主人公のおっさんに何一つ共感できないまま、読み終ってしまった。
    加奈子ちゃん、主人公の方が良かったんじゃないかなー、と独り言。

  • 私からしたらめちゃくちゃな話だった。
    こんな事が同じ現代にある事なのか。まだ若い子達があんな苦痛に脅かされる事があるのか。
    藤島は最悪。狂ってる。
    読んでて最悪なんだけど、怖いもの見たさでたまにこういう本を読みたくなってしまう。

  • 最近本を購入することはほとんどないのだが、ちとしたエアポケットで手元の本がなくなり、緊急避難(笑)的に手にとつたもの。
    「このミス」大賞受賞作とのことで安心して買つたが、読んでみて後悔。全くもつて救ひのない話。
    「このミス」とか「本屋大賞」はとりあへず信用してるんだけど、その信用を揺るがすダメ本。
    いやあ、失敗したなあ。

  • 元刑事の父親を含む登場人物がクズばかり。失踪した加奈子の心理描写が物足りない気がする。

  • 結末が気になって一気読み。登場人物みんなが狂ってた。感情が壊れてた。壊れちゃって無感覚・無反応が一番狂気だな。映画化したけど、映画は見たくないな。おぞましい。

  • 最悪な終わり方。
    出て来る人みんな悪人。
    気分悪くなる。

  • 中嶋哲也監督が映画化するくらいだから、余程面白い小説かと期待したが、実におどろおどろしい物語であった。登場人物にひとりもまともな人間がおらず、主人公である父親が一番の事件の元凶であり、どうにも救いようのない話だ。このミス大賞を同時受賞した「サウスポー・キラー」は読んでいたのだが、装丁が陰気な本書はずっとほったらかしになっており、今回やっと読むことになったが、次作を期待したくなるような作家ではないことは確かだ。映画もかなりえげつないものになっているのだろうか。

  • 5/29

    はじめから最後まで暴力やおぞましいできごとばかりで、読み終えた後のなんともいえない気持ち。
    これが大賞をとる真意がやっぱりわからない。

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著者プロフィール

1975年山形県生まれ。2004年『果てしなき渇き』で第3回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー。同作は14年『渇き。』として映画化、話題となる。11年『アウトバーン』に始まる「八神瑛子」シリーズが40万部を突破。著書に『卑怯者の流儀』『探偵は女手ひとつ』など多数。

「2022年 『天国の修羅たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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