- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784796645188
作品紹介・あらすじ
阪神・中越・スマトラ沖…人は何を考えどう行動したのか。数々の災害現場を見た著者が分析する。災害時の心理がわかる。
感想・レビュー・書評
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防災心理学の観点から、なぜ人は災害時に危険な行動を取ってしまうのか、実際の災害で起きた死亡例に基づいて解説している本。非常ベルが鳴っても「火事が起きるはずがない」と思い込んで逃げずに死んでしまった人とか、館内放送で「次の指示を待ってください」と言われてそのまま待ち続けて死んでしまった人とか、「誰も逃げないから」と自分も逃げずに死んでしまった人とか…。確かに、どれも緊急時に起こりそうな心理的な罠である。結果的には何も起きなかったとしても、とっさの判断としてはとにかく逃げなくてはならない。
日本のように便利で安全な世の中に慣れてしまうと、防災に対する危機意識を持ち続けることは難しいのだが、今回の震災を機にさっそく色々と見直してみた。水と非常食の備蓄を3日分から1週間分に増やした。停電になっても情報が得られるよう携帯ラジオを購入した。使用期限の切れていた乾電池を買い替えた。心理学の理論からすると、この気持ちを何年も持続させるのは難しいのかもしれないが、それでも1年に1度は災害用品の見直しを忘れないようにしたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「想定してない天災とは、出来るのに想定しなかったことによる人災」。集団心理、専門家バイアスなど、行動心理から安全神話にメスを入れる一冊。過去の災害における実例が豊富で面白い。
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防災の日を前に、読書。
人間は様々なバイアスによって、本当に身に危険が迫っているのに、逃げない(逃げられない?)、ということを理解しました。
韓国地下鉄の事故が悲惨ですね。
乗務員が「小さな火災ですから、そのままお待ち下さい」
とアナウンスして、乗客はじっと車内で待っていたら、そのまま死んでしまったのですから。
乗務員はドアを締め切ったまま、自分だけさっさと逃げてしまったとか・・・。
9.11のときも、防災センターが「ビルの中に留まってください」といったアナウンスをしたようですし。
結局、有事のときに現場に居ない人のアドバイスなど参考にならないということです。
今後は自分を信じて、逃げるときは逃げる! という行動を取ろうと思います。
この本に出合えてよかった。 -
▼福島大学附属図書館の貸出状況
https://www.lib.fukushima-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/TB90237076
(推薦者:人間発達文化学類 昼田 源四郎先生) -
摂南大学図書館OPACへ⇒
https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB00114676 -
防災心理学から見た災害時対応の要点をわかりやすくまとめてある本。危険なのに逃げようとしなかったり、たとえば地震が起きたら机の下にもぐるといったことが必ずしも適応しない状況もあるといった知識が入ってくる。東日本大震災時の津波が押し寄せる映像や沈みゆくセウォル号の船内映像とか、「どうしてそっちへ行くの?」「なぜ動かないの?」といったことがあるけど、そこにはいろんな心理が混ざっていて、自分だって同じことをやりかねないと思った。タイトルなんかまさにで、何となくそう思っている自分なんだけど、まったく根拠がないし、そもそもそう思い込むことで対策をこうじるのを怠けていることを認識した(だけだけど)。
本論とはあまり関係ないんだけど、1984年の子どもたちはプロ野球選手、宇宙飛行士、スチュワーデス、ピアニストといった将来やってみたい仕事を平均8つ挙げていたのに対し、2003年には平均4つになり、全日本のサッカー選手、アナウンサー、TVプロデューサー、フリーターなど具体的な職業が挙がっていたと。2003年の子たちはたくさんの情報が得られるなかで将来の可能性をカットしてしまい、自分に関係ないものに背を向け無関心になってしまうというのが、なるほどなーと思った。 -
【由来】
・ダイヤモンド
【期待したもの】
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※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。
【要約】
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【ノート】
・ニーモシネ
【目次】 -
東日本大震災を経てアップデートした「新」が出ているが、まずは旧を読んでからで読んでみた。
ヒューリスティック、バイアス、認知的不協和、アンカリングといった認知の視点から、災害が起きた時に「人はどう行動するのか」を捉える視点はとにかく素晴らしい上に、読みやすく理解しやすい本当の防災本。
自然災害の危険が常にある日本に住むのなら『ファスト・アンド・スロー』ではなくてこっちを先に読むべきだろう。生き残るための最高の一冊。
「新」への期待が高まる。