- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784796657549
感想・レビュー・書評
-
これも実写版を先に見たのだけれど、あれだけ華々しく描写された「戦場」のシーンは淡々とした文章に感じた。前作に引き続きAiが登場しているけれど、なにか思い入れがあるのかね。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
海堂 尊 『ジェネラル・ルージュの凱旋』
(2007年4月・宝島社)
桜宮市にある東城大学医学部付属病院に、伝説の歌姫が大量吐血で緊急入院した頃、不定愁訴外来の万年講師・田口公平の元には、一枚の怪文書が届いていた。
それは救命救急センター部長の速水晃一が特定業者と癒着しているという、匿名の内部告発文書だった。病院長・高階から依頼を受けた田口は事実の調査に乗り出すが、倫理問題審査会(エシックス・コミティ)委員長・沼田による嫌味な介入や、ドジな新人看護師・姫宮と厚生労働省の"火喰い鳥"白鳥の登場で、さらに複雑な事態に突入していく。
将軍(ジェネラル・ルージュ)の異名をとる速水の悲願、桜宮市へのドクター・ヘリ導入を目前にして速水は病院を追われてしまうのか…。そして、さらなる大惨事が桜宮市と病院を直撃する。
『螺鈿迷宮』『夢見る黄金地球儀』『医学のたまご』と消化不良な印象が強く、多作ゆえの弊害なのかと半ばあきらめていたのだが、この一作でその不信を払拭してくれた。
医療ミス、カルテの改竄隠蔽、企業癒着に派閥争い―――。
閉じられた社会である医学界を描くときにこれらの題材は確かに避けて通れないものだろう。
それは百も承知であるのだがしかし、海堂尊にはもっと違うものを期待していた。
ジャーナリストでもルポライターでもなく、現役の医師だからこそ書ける医療の現場を、そこにある空気を、決断を、葛藤を、書いて欲しかったのだ。
孤高を貫く速水を表現するのに用いられる数々の描写。
ややもすればキザで浮いた印象を与えかねないそれらの描写が、必要不可欠なものとして存在している。
(潜水艦に乗ったり翼が生えたり、鯨になったり虎になったり、とかなり忙しそうではあったが)
ラスト数十頁の速水の姿に、涙が溢れて止まらなかった。
神から彼にのみ許された権限を、一瞬の躊躇いもなく乱暴に揮うその姿は、崇高ですらあった。
田口や白鳥に再び会えたことは嬉しかったが、この速水の物語を読めたことに無上の喜びを感じた。
当たり外れがあることはもう判っているので、ハズレをひいても気にせず、またこのような傑作に出会えると信じて、海堂尊の次作をのんびり待つとしよう。
90点(100点満点)。 -
ナイチンゲールの沈黙と同時進行の話。
もともとは一冊にしようとした話らしく、大分重複してるけど、
上手くまとめてます。
ただまあ、作者の最初の意図どおり、一冊にしちゃった方が
深みが出たのかもしれませんね。 -
医療ものって難しいかと思ったけど、すごく読みやすかった。
神が降りる瞬間。いい。 -
ジェネラル速見が大暴れ。
最大の緊急事態で本領が発揮される!
花房さんとのコンビもいい感じだと思った。 -
久々に、痛快で文句なく面白いエンタメ作品を読んだ感じ。しかもそのストーリーの中に、医療に関する問題点を論理的に提示しているのがすごい。やや劇画過ぎる部分もあるが、それを上回る爽快さとジェネラルのかっこ良さ!
-
シリーズ第3段!
前回は、ちょっと面白くなかったんですが、時系列で言うと同じ時期で、舞台は救命救急センター。
今の医療の問題点なのが描かれていて、物語だと分かっていても、実際こういった闇の部分があるんじゃないかなぁ~って感じました。孤高の将軍・速水先生の理想と現実に悩みながらも、自分の信念を曲げない精神力はすごいなぁ~と。
もしかしたら、救命救急の病院で、速水先生のように戦っている医師がいるのかも。病院にお世話になる側は、あまり知らない世界だし…。
今回、田口先生・白鳥さんなど御馴染みのキャラもいい動きをしていて、面白かったです♪ -
映画化もされたチームバチスタシリーズ第3作。
今回主人公となる医師の行動の是非が問われる、読んでいる側もうなってしまう医療現場の実態?を描いた興味深い1冊でした。 -
バチスタが、あまり合わなかったので、読むのが延び延びになっていたのですが、この作品は面白く一気に読みきれました♪
嫌味な権力を持った重鎮を、使命に燃える現場の代表が痛快にやり込めるという、有りがちな流れですが、その展開にきれいにはまっていて、すっきり良い気分で読み終われました。