格差が遺伝する! ~子どもの下流化を防ぐには~ (宝島社新書 231)

著者 :
  • 宝島社
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本棚登録 : 210
感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796658348

作品紹介・あらすじ

すべての親と教育関係者が震撼する!衝撃の「格差再生産」最新レポート。

感想・レビュー・書評

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  • 2007年時点での内容ではあるが、分かりきったことを並べているだけ、という印象。
    データをもとに分析しているんだけど、著者のバイアスもだいぶかかってそう。
    母親の4タイプとこどもの成績、というところがかなり乱暴で、のび太・スネ夫・ジャイアン・しずかちゃんのママに類型化されている。4タイプに分けるところまでは良いけどこの4タイプって全体から見ると偏ってる。しかもそれぞれのママの性格やパーソナリティなんて知らないし。。。そもそもこの4タイプの定義として、こどものこういうところに悩みを持っている、と書いてるあたり、因果関係を証明する根拠として成立していない。

    全体を通してこれといって目新しい情報はなかったものの、襟を正すという意味では読んで良かったかな、とは思う。

  • そりゃそうだよね、そっちの方が学力上がりそうだよね、ということを数値的に示してくれている本。親の素質が問われる部分を突きつけられると、求められるものの大きさに負けそうになる。

    文中で気になったのは、土日休みと文化体験スクールというキーワード。

    土日休みの親の方が子供の学力が上がり、夫婦生活の満足度が上がり、いいことだらけだが、社会的に土日の労働力の必要性は増している。それにより土日休みを取れる夫婦は減少しており、特に低学歴や低収入の夫婦はそれらの職種に就いていたり、時給の高い土日に働かざるを得ないことが多い。それによって貧困やいわゆる下流化の再生産されるという話。

    文化体験スクールは放課後に文化的な豊かな経験を与える場を作ると良いのではないかという話。スポーツ観戦、クラシック鑑賞、職業体験など。文化体験は非常に重要だと思うが、この重要性を認識できるかどうかという点で既に格差があるかもしれないと感じた。重要と思っている家庭では既に様々な文化体験を積極的にさせているだろう。だからこその提言なんでしょうが…。

  • 1

  • 朝食を食べる子供の方が成績がいいとか、幼稚園出の子の方が保育園出の子より成績がいいとか、生活と成績の関連については色んなことが最近言われていて、この本もそういうデータが豊富に載っている。
    朝食を食べないから頭が回らないのか、朝食を食べないことをよしとするような家庭環境だから成績が悪いのか、何なのか、それだけではわからないけれど、関連性の積み重ねの意義はそれはそれで大きいのでは。
    子供の成績と様々な生活の断面には明らかな関連性(因果関係ではないけれど)があり、それは個人の努力ではどうにもならない部分なのかもしれない、というのが著者が言いたかったことだと思う。
    格差が厳然とあり、世代を超えてその格差が受け継がれていくという危機感。でもそれって別に新しい話ではないのではという気もする。昔も今もこれからも、平等なんてないのだから。
    タイトルの「遺伝」の部分は中身とは違うし不正確だけど、週刊誌的にわざと扇情的なのかしら?

  • 子供の成績は親の経済力に比例するというのをインターネット調査を使って明らかにしている.
    ただ調査対象が一都三県(神奈川・埼玉・千葉)なので,まあ限られた母集団でのなかでの調査であることに注意.でも感覚的には理解できるかな.

  • 親の経済力が、子供の成績や進学に相関性があるということは、昨今指摘されていることである。本書は、インターネットによる実際に子供を持つ家庭にリサーチを行い定量的にその問題を検証している。著者は親の経済力が子供の成績に直結しているしているというよりも、食事をきちんと摂る、読書をするなど親の行動や生活習慣などが子供に伝承された結果であると指摘する。下流という層に属する人達が、極端にいえば無気力で向上心が無く、生活に希望を持っていない現状が格差を固定化し、子供達もその枠の中抜け出すことが出来ないことが、本書のタイトルにある「格差の遺伝」ということである。こうした指摘の根拠となっているのはアンケートの数値結果のみであり、著者も認めているように仮説である。こうした議論の説得力という点では、物足りない感じは否めないが、だらしの無い、無気力な親から、向上心旺盛、学力も高く、コミュニケーション能力に秀でた優秀な子供達はそうそう育たない、ということは直感的に理解はできる。

    問題の本質はやはり、もしくはがんばりが報われるという社会においては、格差の固定化が本人のコントロールできる以外の側面で行われてしまっているという実態があるということであろう。本書では、そうした問題の指摘はあるものの、残念ながら解決策としての政策提言の域には踏み込んでいない。あくまでも、アンケート結果の定量的分析のみを基にした主観論が全体を通して述べられており、本書の内容を稚拙なものにしているのは残念である。

  • 2007年刊行。内容はタイトルどおりであり、その具体的な内容がアンケートデータをもとに列挙される。苅谷教授の研究テーマと被ったり、他の類書が多数存在することから二番煎じ、三番煎じの感なしとしない。立ち読みで十分。

  • 興味深い。

  • 副題の「子どもの下流化を防ぐには」というタイトルに惹かれてこの本を手に取りました。読み進めていくうちに、うなずくことしきりでした。作者は、「下流」を単に所得が低いと言うことではなく、意欲が低い人たちと定義しています。周りに意欲が低い子どもがいる人たちには、下流を再生産させないための必読書です。

  • 目新しい話が一つもない。
    わかりきったことを、という感じ。

    ただ、読んだ後、現実の厳しさに切なくなる。

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著者プロフィール

三浦展(みうら・あつし)
1958年生まれ。社会デザイン研究者。カルチャースタディーズ研究所代表。家族、若者、消費、都市、郊外などを研究。著書に『 「家族」と「幸福」の戦後史――郊外の夢と現実』 (講談社現代新書) 、 『ファスト風土化する日本――郊外化とその病理』 (洋泉社新書) 、 『東京は郊外から消えていく!』 『首都圏大予測』 (光文社新書) 、 『愛される街』 (而立書房)などがある。

「2022年 『中央線がなかったら 見えてくる東京の古層』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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