- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784796660297
作品紹介・あらすじ
ワンコールワーカー、偽装請負、データ装備費問題、ネットカフェ難民…「ハケン」から日本の未来が見えてくる。『ワーキングプア』の門倉貴史が鋭く問う!派遣労働者、大手派遣会社社員への取材ドキュメントも10本収録。
感想・レビュー・書評
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まさにその通り
派遣の制度があってもいいが
同一労働、同一賃金でなければならない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
派遣の実態が俯瞰された話と、実際の派遣者の実話とを交えて、リアルに語られる。これを読むと、400万円の年収が勝ち組だということがよく分かる。解決策は、見えない。
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派遣の実態。
非熟練工を使う企業と、人材派遣会社との関係。2007年の頃執筆。つまり、偽装請負や多重派遣などがまかり通っていた頃の時代。
人材の流動性が一定線を超えたことで、企業は新規正社員を雇用する費用(イニシャル:約200万円/一人 300万円/年間)と、派遣社員を給与の1.4割増で雇う(420万円/年間)とで揺らぐ。
工場の自動化やシステム化により、オペレーターは熟練性を必要としなくなった。30分も説明を受ければプロ級の腕前だ。つまり、熟練性が不要であることで、労働市場の最安値で雇うのが経営判断となる。
すると、正社員を雇用し、すぐに辞めるリスクと、福利厚生の爆弾を抱えるよりも、材料費の勘定科目で計上できる派遣社員の方が非常に使い勝手がよいのだ。簡単に増やせて、簡単に切れる。素晴らしいシステムだ。
最も、自身のスキルが業務を通じて上がる見込みが全くない労働者は未来に絶望している。スキルアップをしていく、というのは派遣会社の煽り文句であり、実際は過半数の派遣労働者は生活費のために働いており、将来に対して不安を抱いているという。
法律に抵触している職場も少なくなく、求人広告と実態とがかけ離れているケースが大半。(これは今でも変わりない)
無知な若者を、法律で保護されるべき対価すら払わずに労使し、貧困のスパイラルに陥れることで、派遣として今後も安い賃金で働かざる負えない環境を見事に創りだした功績は大きいだろう。
これからも、今後も、無知をいいことに付け込んで、格安で働かせる。まともな契約書面は残さない、足がつくような真似はしない。
労働組合を作るにも、労働者の流動性が高すぎることで雇用側がいいように調節できる。
使う側にしてみると、とてもありがたい素晴らしい制度なんだ。
需要と供給の世界で言うと、その派遣業界で非熟練工に分類される若者たちは、200万前後の価値しかないということになる。
その通り、非熟練工は300万円の価値すらもない。まして、30代後半で体力のない、また飲み込みの遅い者は、200万円の価値すらもない。
不要なんだ。彼らは。
派遣先は、彼らにスキルを学ぶ環境は提供しない。上辺だけなら、業務を学んでスキルアップをしてもらいたいと何度も語り続けるだろうが。
熟練性を持たせない、スキルの得られない労働者を大量生産するこのシステムは、社会全体として破綻する。
社会的には狂っているとわかってていても、使わざる負えない企業。そして中間搾取も分が悪く自身の労働環境も悪化させている派遣会社。そして貧困スパイラルに落ちて派遣として生きる道しか見えない中年たち。
政治介入なしに解決は無理だ。 -
リアルな闇金うしじまくんの世界が生々しく語られている。
アメリカては正社員と派遣で給与差があまりないってとこが新鮮だった。 -
【メモ】
80年5月 労働者派遣事業問題調査会の設置
86年7月 労働者派遣法成立(適用対象業務13業務)
86年10月 適用対象業務3業種が新規に追加
99年12月 改正労働者派遣法成立
00年12月 紹介予定派遣が解禁となる
04年3月 改正労働者派遣法成立
(派遣期間の延長、製造業務の派遣が解禁) -
これがリアルだとすると、すごい内容だ。
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団塊の世代が定年退職をして、それが派遣として増える可能性がある。すれば若年労働者に圧力がかかってくるのはいうまでもない。
ノマド的なとらわれない生活はのぞましい。しかし、苦労してしかもそれがいつまでつづくかわからない、派遣生活というのはどうにかならないものか。
ベーシックインカムについて勉強してみるか。