カフーを待ちわびて (宝島社文庫)

著者 :
  • 宝島社
3.83
  • (691)
  • (1104)
  • (818)
  • (116)
  • (34)
本棚登録 : 10156
感想 : 939
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796663526

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 原田マハさん、ブクログでお薦めされて最近知りましたが、とてもファンが多くて、いろんな本を読んでみたいと思っている作家さんです。これは彼女のデビュー作にして「日本ラブストーリー大賞」を受賞した作品。たしかに明青と幸のラブストーリーが中心でしたが、そこには離島の開発問題が絡み、2人の人間関係が絡み…「文章力、構成力は群を抜いています」と「日本ラブストーリー大賞」の批評で紫門ふみさんが言っておられますが、
    その通りだと思います。マハさんは1962年生まれで小説デビューのこの作品は、2005年に受賞されているので、かなり遅いデビューですが、さすがだなぁと思います。私はラブストーリーも良かったと思いますが、明青、渡、俊一の幼なじみの関わり方にグッときました。結局、みんながみんなを思いやっている、素敵な作品でした。映画化もされているそうなので、観てみたいと思います。
    これからいろんなマハさん作品読んでいきたいと思いますが、今のところ私の中では「キネマの神様」が1番なので、この作品は☆☆☆☆にしました。

  • ミステリー的な要素もあり、最後までラストの予想がつきませんでした。
    心が洗われるような爽やかで純粋な恋愛小説。
    沖縄の人々の心の温かさも感じられ、よかったです。

  • 「自然とやさしい気持ちになれる」

    裏表紙の紹介文がぴったり。

    原田マハさんの文章は、スッと頭の中に入ってきて、胸の奥にそっと着地している。

    他の作家では味わったことのない不思議な感覚だな。

    ラブストーリーと、沖縄らしいゆったりとした人たちと時間の流れ。

    満喫できた。

    サンキュー、おすすめありがとう!

  • 誰かが待ってくれているって思うだけで、家に帰るのが楽しみになる。結婚の約束をすると途端にお互い、安心しきってわがままになり、傲慢になってしまう。

    おばぁが言った。
    「幸せにしろと言ったのに。向こうから来るのを、待つばかりで。そんなことでは、いつまでたっても、汝ぁも幸せになられん」
    p.295

    どんでん返しのまたどんでん返し。
    せつなくて、2人共、抱きしめたくなる。

    この歳でこの本を読むと、主人公に感情移入するというより、おばぁの境地になってしまうのかしら。

    あー。原田マハさん。
    今回もあなたの作品にすっかり魅了されました。
    スターバックスで4時間、居座り、読破。

  • 沖縄を舞台にした小説が読みたい…
    と思い購入したこの本。

    まさに私が求めている沖縄の空気、
    ゆったりした時間が流れ、
    運命とも言えるような出会いと
    温かい気持ちになれる結末。

    沖縄を旅してみたくなりました。

    原田マハさんは芸術関係の
    攻め挑んで来るような鋭い作品も
    とても好きだけれど、
    実は日常を描いた緩やかな作品の方が
    私は好きだったりします。

  • 題名は待ちわびて、だけどカフー(幸せ)を手に入れたいなら自分から行動しなきゃだめなんだというメッセージが伝わってきた。明青のシャイで伝えたいことが恥ずかしくてなかなか伝えられない気持ちが私にはとっても分かるなと共感。嫁に来てくれないか。幸せにします。って絵馬に書いてあったら私もきゅんとしちゃうな...!
    お美さんなのにおてんばで行動力がある幸を見ててとっても可愛くて癒された。誰かのビーチサンダル揃えたくなっちゃう。沖縄、いいなぁ〜!!!

  • 与那喜島で暮らす主人公・明青。
    旅行でたまたま訪れた本島の神社に「嫁に来ないか。幸せにします。」と書いた絵馬を残す。島に戻っていつもと変わらない日々を過ごす明青のもとに、絵馬を見た幸という女性が訪ねてくる。

    海の青さ、吹き抜ける風、ガジマルの木…南国の情景がどれもパッと目に浮かぶ。読んでいて自分も実際にその場にいるみたいに感じた。

    明青も幸もすごく魅力的で惹き込まれた。
    明青は島人らしくおおらかな性格、幸は天真爛漫。でも、ふたりともどこか影がある様子があり、謎めいた面も持ち合わせている。
    今もずっと2人が幸せだったらいいなと思う。希望が残る爽やかな話だった。

  • 序盤は中二病恋愛小説か? と思うような設定と展開だが、264頁から終盤まで怒涛の荒波に漕ぎ出す小舟状態。318頁からの○○の独白で一気に涙腺崩壊。くぅ~、完全にやられました。著者の筆力、恐るべし!
    沖縄に行きたいなぁ...。

  • 2005年第1回日本ラブストーリー大賞受賞作。

    沖縄の与那喜島で、小さな店をやりながら、ひとり暮らす友寄明青(ともよせあきお)。
    友寄商店は戦前から続くよろずやで、昼間は中休みをとるのんびりしたやり方だ。
    明青が子供の頃に、母は家を出た。
    祖母もなくなった7年前からは、裏の家に住むおばあが、夕食は作ってくれている。
    おばあは、ユタという沖縄の巫女だった。ユタは今も地域の要で、代々続いている家系もある。神託を受けた後、厳しい修行をしてユタになるのだ。
    島人(シマンチュ)が折節に相談に来たり祈ったりしている特別な家。おばあは本物の神人(カミンチュ)だと明青は感じている。
    ことあるごとに、おばあはそれを予言するウシラシ(お知らせ)を告げてきたからだ。

    犬のカフーも一緒にいる。
    黒いラブラドール犬。
    カフーとは、果報という意味と、幸せという二つの意味がある。

    友達と生まれてはじめて島を出て旅行した先で、飛泡神社の絵馬に「嫁に来ないか、幸せにします」と名前も書いた。
    崖が心中の名所になっているというところだったが。
    「お嫁に行きます」という手紙が来る。
    まさかと驚きつつも、それとなく支度をして、待ちわびる明青。
    あきらめた頃になって、すらりとした綺麗な娘・幸がやってきた。
    笑顔で店を手伝い、すぐにカフーと仲良しになる。

    町では開発計画が進んでいて、乗り気でない数軒も、次第に説得されていく。
    人口800万の島に、観光客を5万集めようというリゾート計画だ。
    かっての級友・俊一がその会社にいるのだが、いかにもやり手で調子がいい男。犬のカフーは俊一が来ると必ず吠え立てていた。
    祈りを重ねてきた家を手放したがらないおばあだったが。
    明青は、幸と結婚するために家を売ろうとついに決心する。
    ところが、幸の正体を友達から聞かされて‥?

    まぶしい日差し、珊瑚の石垣、晴れ晴れとした水平線。
    小学校の校庭にある巨大なデイゴに登った思い出。
    犬のカフーと散歩し、近所の人とおしゃべりする毎日がなんだか羨ましい。
    何気ない生活の中で、ゆったりと育まれるラブストーリー。
    気立てが優しく不器用な二人の、控えめな気持ちが、切ない。
    大ハッピーエンドではないけれど、たぶんそうなるだろうと‥
    想像させる余韻を味わえます。

    作者はキュレーター、ライター。
    大手総合商社、ニューヨーク近代美術館勤務などを経て、2002年独立。

  • とてもよく練られている作品だと思います。

    原田マハさんの作品が好きで、こちらの本も読んでみることにしました。
    原田マハさんの作品は、非常に読みやすく、かつ続きが気になって、時間が経つのも忘れて読み進めてしまいます。
    こちらの作品はマハさんの初めての小説であり、第1回日本ラブストーリー大賞の大賞受賞作とのことです。たしかに、非常に面白く、読後感も良いです。
    主人公と幸の今後が気になるところです。

    とても良い作品に出会えました。
    ありがとうございました。

全939件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

原田マハの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×