- Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
- / ISBN・EAN: 9784796663526
感想・レビュー・書評
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原田マハさん、ブクログでお薦めされて最近知りましたが、とてもファンが多くて、いろんな本を読んでみたいと思っている作家さんです。これは彼女のデビュー作にして「日本ラブストーリー大賞」を受賞した作品。たしかに明青と幸のラブストーリーが中心でしたが、そこには離島の開発問題が絡み、2人の人間関係が絡み…「文章力、構成力は群を抜いています」と「日本ラブストーリー大賞」の批評で紫門ふみさんが言っておられますが、
その通りだと思います。マハさんは1962年生まれで小説デビューのこの作品は、2005年に受賞されているので、かなり遅いデビューですが、さすがだなぁと思います。私はラブストーリーも良かったと思いますが、明青、渡、俊一の幼なじみの関わり方にグッときました。結局、みんながみんなを思いやっている、素敵な作品でした。映画化もされているそうなので、観てみたいと思います。
これからいろんなマハさん作品読んでいきたいと思いますが、今のところ私の中では「キネマの神様」が1番なので、この作品は☆☆☆☆にしました。
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ミステリー的な要素もあり、最後までラストの予想がつきませんでした。
心が洗われるような爽やかで純粋な恋愛小説。
沖縄の人々の心の温かさも感じられ、よかったです。 -
「自然とやさしい気持ちになれる」
裏表紙の紹介文がぴったり。
原田マハさんの文章は、スッと頭の中に入ってきて、胸の奥にそっと着地している。
他の作家では味わったことのない不思議な感覚だな。
ラブストーリーと、沖縄らしいゆったりとした人たちと時間の流れ。
満喫できた。
サンキュー、おすすめありがとう! -
誰かが待ってくれているって思うだけで、家に帰るのが楽しみになる。結婚の約束をすると途端にお互い、安心しきってわがままになり、傲慢になってしまう。
おばぁが言った。
「幸せにしろと言ったのに。向こうから来るのを、待つばかりで。そんなことでは、いつまでたっても、汝ぁも幸せになられん」
p.295
どんでん返しのまたどんでん返し。
せつなくて、2人共、抱きしめたくなる。
この歳でこの本を読むと、主人公に感情移入するというより、おばぁの境地になってしまうのかしら。
あー。原田マハさん。
今回もあなたの作品にすっかり魅了されました。
スターバックスで4時間、居座り、読破。 -
沖縄を舞台にした小説が読みたい…
と思い購入したこの本。
まさに私が求めている沖縄の空気、
ゆったりした時間が流れ、
運命とも言えるような出会いと
温かい気持ちになれる結末。
沖縄を旅してみたくなりました。
原田マハさんは芸術関係の
攻め挑んで来るような鋭い作品も
とても好きだけれど、
実は日常を描いた緩やかな作品の方が
私は好きだったりします。 -
与那喜島で暮らす主人公・明青。
旅行でたまたま訪れた本島の神社に「嫁に来ないか。幸せにします。」と書いた絵馬を残す。島に戻っていつもと変わらない日々を過ごす明青のもとに、絵馬を見た幸という女性が訪ねてくる。
海の青さ、吹き抜ける風、ガジマルの木…南国の情景がどれもパッと目に浮かぶ。読んでいて自分も実際にその場にいるみたいに感じた。
明青も幸もすごく魅力的で惹き込まれた。
明青は島人らしくおおらかな性格、幸は天真爛漫。でも、ふたりともどこか影がある様子があり、謎めいた面も持ち合わせている。
今もずっと2人が幸せだったらいいなと思う。希望が残る爽やかな話だった。 -
序盤は中二病恋愛小説か? と思うような設定と展開だが、264頁から終盤まで怒涛の荒波に漕ぎ出す小舟状態。318頁からの○○の独白で一気に涙腺崩壊。くぅ~、完全にやられました。著者の筆力、恐るべし!
沖縄に行きたいなぁ...。 -
2005年第1回日本ラブストーリー大賞受賞作。
沖縄の与那喜島で、小さな店をやりながら、ひとり暮らす友寄明青(ともよせあきお)。
友寄商店は戦前から続くよろずやで、昼間は中休みをとるのんびりしたやり方だ。
明青が子供の頃に、母は家を出た。
祖母もなくなった7年前からは、裏の家に住むおばあが、夕食は作ってくれている。
おばあは、ユタという沖縄の巫女だった。ユタは今も地域の要で、代々続いている家系もある。神託を受けた後、厳しい修行をしてユタになるのだ。
島人(シマンチュ)が折節に相談に来たり祈ったりしている特別な家。おばあは本物の神人(カミンチュ)だと明青は感じている。
ことあるごとに、おばあはそれを予言するウシラシ(お知らせ)を告げてきたからだ。
犬のカフーも一緒にいる。
黒いラブラドール犬。
カフーとは、果報という意味と、幸せという二つの意味がある。
友達と生まれてはじめて島を出て旅行した先で、飛泡神社の絵馬に「嫁に来ないか、幸せにします」と名前も書いた。
崖が心中の名所になっているというところだったが。
「お嫁に行きます」という手紙が来る。
まさかと驚きつつも、それとなく支度をして、待ちわびる明青。
あきらめた頃になって、すらりとした綺麗な娘・幸がやってきた。
笑顔で店を手伝い、すぐにカフーと仲良しになる。
町では開発計画が進んでいて、乗り気でない数軒も、次第に説得されていく。
人口800万の島に、観光客を5万集めようというリゾート計画だ。
かっての級友・俊一がその会社にいるのだが、いかにもやり手で調子がいい男。犬のカフーは俊一が来ると必ず吠え立てていた。
祈りを重ねてきた家を手放したがらないおばあだったが。
明青は、幸と結婚するために家を売ろうとついに決心する。
ところが、幸の正体を友達から聞かされて‥?
まぶしい日差し、珊瑚の石垣、晴れ晴れとした水平線。
小学校の校庭にある巨大なデイゴに登った思い出。
犬のカフーと散歩し、近所の人とおしゃべりする毎日がなんだか羨ましい。
何気ない生活の中で、ゆったりと育まれるラブストーリー。
気立てが優しく不器用な二人の、控えめな気持ちが、切ない。
大ハッピーエンドではないけれど、たぶんそうなるだろうと‥
想像させる余韻を味わえます。
作者はキュレーター、ライター。
大手総合商社、ニューヨーク近代美術館勤務などを経て、2002年独立。 -
とてもよく練られている作品だと思います。
原田マハさんの作品が好きで、こちらの本も読んでみることにしました。
原田マハさんの作品は、非常に読みやすく、かつ続きが気になって、時間が経つのも忘れて読み進めてしまいます。
こちらの作品はマハさんの初めての小説であり、第1回日本ラブストーリー大賞の大賞受賞作とのことです。たしかに、非常に面白く、読後感も良いです。
主人公と幸の今後が気になるところです。
とても良い作品に出会えました。
ありがとうございました。