ナイチンゲールの沈黙(下) (宝島社文庫 C か 1-4 「このミス」大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
3.34
  • (272)
  • (668)
  • (1254)
  • (281)
  • (38)
本棚登録 : 7016
感想 : 489
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796663601

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 瑞人の父親はどのようにして変わり果てた姿となったのか。前巻に続き加納玉村、そして田口白鳥コンビが紐解いていく。
    アツシ、瑞人は手術を受けるのか。由紀の運命は。盛りだくさんな下巻。

    瑞人を子供に戻してくれたのは紛れもない、アツシ、由紀、そして小夜である。
    これで良かったんだと思えるラストだった。
    でもやはり、子供の死は辛い。

    内山医師の対応は小児科医というか医師としてどうなのかと思うが、奥寺教授の「医師だって人間だ。決して万能ではない。」というのは刺さった。
    休みたい時もあるし、嘘をつく時だってある。ミスもある。いつから患者の立場である私たちは、医師に100%を求めるようになったのだろう。決して治して当たり前、元に戻して当たり前、ではないのに。

    読み始めて40ページほどで、ロジカルモンスターもとい白鳥圭介が登場!
    最初から白鳥ワールド全開で場を乱していく。本人はお構い無し、子供にも容赦無し。しかしそこがいい。
    今後も活躍してくれる加納や玉村も出てきて再読者としては桜宮市がどんどん広がってきてワクワクした。

    バチスタシリーズ大好きな私としてはこちらも大好きな作品ではあるのだが、ミステリとしては少し物足りなさを感じた。
    犯人は読んでいれば分かる構造なので、一緒に犯人探しをしたい!という方には向いていないかも。
    読み込めていないだけかもしれないが、音楽やDMAなどの力を目の当たりにしたことがないので想像しにくかったかな、というのがある。モヤモヤしたまま読み進めた。
    次はジェネラルをと思っていたが、解説で螺鈿迷宮をとのことなのでそちらを。

  •  脇役だが小児科医の内山先生が酷すぎる。子どもが産まれてから読むと、わずか5歳で眼球摘出しなければいけないアツシ少年の境遇に胸がいっぱいになる。小夜はどうあっても子どもを巻き込んではいけないと思うが、この後の『螺鈿迷宮』にもつながってくる闇の深い問題が絡んでいると思うと糾弾できない。幼少期に見た大人の行動に影響を受けるのは必至か。
     やはり登場人物たつを忘れてしまわないうちに、桜宮サーガを一気に攻めるか…。

  • 何でこの人は、どんぴしゃ・完璧・めっちゃ楽しいミステリーを書いてくれないのかしら。
    今回はちびっ子わんさかで、それだけでもう心象上がりっぱなしだし、殺人も必ず犯人がいる事件っぽい事件でワクワクだったし、白鳥の登場も「別にわざわざ出さなくてもよくない?」感はあったけど、それでもやり込められてる白鳥とか結構面白かったし、病院内の人間関係はよりいっそう複雑になってきてて相変わらずそれに翻弄されるくせに結構いいポジションにいる田口がほほえましかったのに。

    恋愛要素は確実に蛇足だろう。ひいたわ。

  • なかなか評価が難しいところ。下巻に入って白鳥参戦で名コンビ復活かつテンポアップ。医療と音楽。ある種の恋愛模様も描かれてる。ただ音楽関連の話は良く分からない。本当にああいう現象はあるのかね。あのDMAってやつも凄いな。キャラが増えてきてこれからのシリーズ展開が楽しみ。次は螺鈿迷宮を読むべきか。それともジェネラルかな。

  • その人の歌を聴くと、心の中を映像として観ることができる‥。現実離れしているけれど、それを告白としてみせたところがおもしろかった。
    哀しくて辛い過去があるから、歌声がより美しく哀しく聴こえた。

  • 「ジェネラルルージュの凱旋」をDVDで観たので、原作も読んでみようと思い立ち、田口・白鳥のシリーズを数冊まとめて購入してきた。

    「ジェネラル」の印象が残っていたのもあり、原作で田口が男性(それもインパクトの薄い、イケてない系)であることに驚いた。
    この「ナイチンゲールの沈黙」は上下巻に分かれているが、上巻は伏線と設定ばかりなので、読んでいてあまり面白いものではなかった。下巻に入ってようやく動き出す!って印象を受けた。

    また、海堂尊氏の医療ミステリーはかなり本格的なものだという認識があるが、本作はファンタジーのような?ミステリアスな?常識では解決できないもの、が根底にあるので、私的にはいまいちすっきりしなかった。

  • 前作に引き続き、とても読みやすかったです。
    純粋な医療ミステリーかと思いきやファンタジーな要素もあり。好みは別れるかもしれませんが、もしかしてそんなこともあるのではと思わせるファンタジーで、私は好きです。合間で語られる病気の子供達の言葉には、綺麗事だけではない深く考えさせられるものもありました。
    事件については読者に犯人がほぼ分かっている状況で進んでいくため大どんでん返しといった印象はありません。
    それでも「ほぼ」分かっている状態なので、詳細を知りたいという気持ちにかられて読み進めていってしまいます。
    前作や上巻でしっかり登場人物について描かれているため、事件後の展開についても個人的な感情に差が出そうです。だからこそ1人1人の見方によって感想や評価が変わりそう。「他の人はどう感じて読むのかな」なんてことが頭を過る1冊でした。

  • 個性あふれる登場人物たち。魅力全開でストーリーは展開します。現在時系列的に読み進めているのですが、登場人物自体も変化した部分、信条など変わらない部分なども同時に楽しめます。それにしても医療界、問題山積でも進まなければならない現状。この国の医療はどこに向かっているのでしょう。


  • 少なくともこの作者に関しては、普通の殺人事件を扱っていると物足りない気がするのは私だけだろうか。

  • ラストの犯人を相手に真相を追求するところが1番面白かった。前作の「チーム・バチスタの栄光」と同じく海堂先生にしか書けない小説で面白かった。この小説を読んで、次に海堂先生の著作を読むなら「螺鈿迷宮」が読みたいと思った。

全489件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1961年千葉県生まれ。医師、作家。外科医・病理医としての経験を活かした医療現場のリアリティあふれる描写で現実社会に起こっている問題を衝くアクチュアルなフィクション作品を発表し続けている。作家としてのデビュー作『チーム・バチスタの栄光』(宝島社)をはじめ同シリーズは累計1千万部を超え、映像化作品多数。Ai(オートプシー・イメージング=死亡時画像診断)の概念提唱者で関連著作に『死因不明社会2018』(講談社)がある。近刊著に『北里柴三郎 よみがえる天才7』(ちくまプリマー新書) 、『コロナ黙示録』『コロナ狂騒録』(宝島社)、『奏鳴曲 北里と鷗外』(文藝春秋) 。

「2022年 『よみがえる天才8 森鷗外』 で使われていた紹介文から引用しています。」

海堂尊の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
伊坂 幸太郎
村上 春樹
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×