家のない少女たち 10代家出少女18人の壮絶な性と生

著者 :
  • 宝島社
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感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796666329

作品紹介・あらすじ

奔放な10代少女の逸脱ばかりがクローズアップされたテレビの「プチ家出」報道。だが、その後の家出少女について、誰が何を語っただろう。親からの虐待や貧困、施設からの脱走など様々な背景を抱えて路頭に迷う「家に帰れない」少女たち。彼らは食べるため、そして寝床を確保するための売春を強いられる、いわば日本のストリートチルドレンだ。そして、皮肉にも行き場を失った少女らの受け皿となったのは、下心を秘めた「泊め男」や、未成年でも雇用する違法売春組織だった。踏まれ、利用され、社会の生ゴミ扱いされ、それでも立ち上がる!8年近く続けた取材で見たのは、圧倒的不遇の中でも力強く生き抜く少女たちの姿だ。

感想・レビュー・書評

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  • 家出や援交を甘く見てた。

    親に虐待されり、学校でいじめられたり、扶養能力がなくて暮らせない、というパターンは考えたことがなかった。施設に入っても、何年かすれば虐待した親の元に帰らなければならない。そういう経験をした子供たちが、「親と向きあいましょう」みたいな事を言う大人を信用しないのはあたりまえだ。子供が自分でなんとかしようと思うと、自分の身体を売る、という選択肢が出てくるのか。普通に働くこともできず、親元に帰れば殴られる、という状況では、子どもたちはアンダーグラウンドに身を沈めるしかないじゃないか。これはキツイ。覚悟さえすればいろいろ選択肢のある大人よりよっぽどキツイ。

    読んでいる間中気になっていたこと。
    男の子はどうしているんだろう?

  • 表の社会からこぼれたところで、生きている未成年の子どもの現実。どんな40代.50代を送っていくのか、その後を知りたいと思った。みんなで見ないようにしている現実がある、そういう事をどうしたらいいのだろうと途方に暮れてしまう…。

  • 壮絶過ぎて、これはマンガではなく現代の日本の話?と思える話もあるが、現実として受け入れなければならない。
    虐待、毒親、貧困により、家、施設を出ることを選んだ少女たちは、お金を稼ぐために体を売る。嫌々体を売り、その気持ちを抑えるためにドラッグに走る子もいるが、日常として受け入れ(ざるを得ず)、男の家をハシゴしたり、住み込み(寮)で稼ぐ子もいる。生きるための手段であるため、体を売ることの罪悪感は無い。一度援交をすると、普通のバイトでは入ってくるお金が違いすぎて辞められない。
    10代(15才の中学生も…)家を出て、自分で稼いで生きていかなければならない社会。家庭環境が主な原因ではあるが、虐待は連鎖してしまうし、母子家庭の貧困も悪循環で、全てが親のせいだけでは無い。受け入れる施設の問題もある(職員は公務員のため、専門家では無いし、数年で異動するとのこと)。筆者が訴えるように、福祉の中で一番軽視されている児童福祉にもっと焦点を当て、子ども、ひいてはその家族も救えるような社会に日本はならなければならない。

  • 壮絶な話が畳み掛けられる。公的セーフティネットで救えないものなのかと思うが、愛情不足という病が根本にあるから、とても難しい。

  • ふむ

  • 近所の図書館のリサイクルコーナーから適当に面白そうな本を拾ってきたシリーズ

    前々からこの手のトピックには興味があったが、読んでみてただただ胸が苦しいというか悲しいというか複雑な気持ちになった。

    できることがあればいくらでもしてあげたいが、果たして何ができるのだろうという無力感、ジレンマみたいなものを感じでしまう。

    既に10年くらい前の本だが、今もおそらく状況はあまり変わっていないのだろう。

    なんでもいいけど、途中に出てくる泊め男君が意外といいやつで草。俺みたいな発想の人がほかにもいることになんか親近感。俺泊め男じゃないけどw

  • 368.7

  • 2016.02.02

    感想は、ひとこと、『すごかった』。
    壮絶な人生を送ってきた家出少女たちのエネルギーに圧倒された。凄すぎて涙すら出ませんでした。
    凄まじい虐待、望まない妊娠、監禁デリヘル、知的障害、行き届かない児童福祉…
    少女たちが語る人生は、壮絶すぎて想像すらできません。
    著者が言っていたように、彼女たちは『ストリートチルドレン』で、路上サバイバルの真っ只中にいるのだと。
    鈴木さんの著作を読むと、日本の福祉制度は本当にクソだと思う。私たちは今すぐ彼女たちを救うことはできないけれど、彼女たちの持つ生へのエネルギーが絶えることなく良い方向に成長し、幸せへの道を見つけ出すことを願ってやみません。

  • そういう生き方もある。強く弱く。

  • 家出して体で稼ぐ少女たちの話をきちんと聞いたルポルタージュ。
    子供のいられる場所が家しかないと、安全じゃない家の子供は路上に逃げるしかなくなる。
    女子が身を守るには(男性以上に)壁と屋根が必要だから、一時の宿を得るための稼ぎが必要になる。
    住所不定の少女の資本は体しかない。

    家に恵まれず福祉に救われなかった子供の受け皿が風俗だというのは、累犯障害者http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4103029315に通じる。
    知的障害者と風俗のケースはあっちにもでてきた。

    前書きに、「(危険な)家に帰れなんていえないが危険な家出生活を続けろともいえない」と、なにもしてやれない葛藤が書かれている。
    人の痛みを想像できる、もしくはまっすぐ話を聞ける人だなあと思った。

    先日テレビニュースで同じテーマの特集をみたとき、骨折するほどの暴力を受けて家出した子に、記者が「家に帰ったほうがいいですよ」と言っていた。
    何を聞いていたのか。殴られて殺されろと言っているのかと反吐が出た。
    こういうことを言われると閉じちゃうから、何もできなくても否定しないで聴いてくれる著者みたいな人がいるのは救いだ。

    ただ、少女たちの苦痛をきちんと聞いて共感する分、大人への味方は厳しい。
    社会の仕組みを批判するのは必要だけど、虐待者への怒りはジャーナリストが訴えるべきことではない。
    母親たちの過去はきっと現在の少女たちとにているだろうという想像力が必要。
    (そこで少女たちの未来を母親の現在と同一視しちゃうとまずいけれども)


    内容の重さとは裏腹に、軽く読めるよみやすい文章。
    社会的な「むずかしい」ことは、後書きの中にしかない。
    それは、そっぽを向かれず読ませるための工夫であるらしい。
    この本は、伝えるために書かれている。


    家出少女を泊める男(多くは下心満載)を泊男と呼ぶらしい。
    前に働いていたところにそういうやつがいた。
    本人は「若い恋人」と信じていた。
    公言するほどアホなやつが少ないだけで、けっこう身近にいるんだろうなと思ったのを思い出した。



    少年の場合http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4778312368

  • 負の連鎖は続く。 何とかしてやれないものかね。

  • 多くの人にとっては、小説の話ではないかと思うほど、衝撃的な日本社会の現状ではないだろうか。10代の少女たちが帰る家をなくし、売春に行きついた壮絶な背景とそれに対し彼女らなりに懸命に生きる姿がかかれている。一見、フィクションかと間違ってしまいそうだ。しかし、少女たちの売春までにも追い込まれた環境から徐々に浮き彫りになる社会の欠陥により、はじめて、信じ難い本に書かれた世界がまぎれもない日本の現実だということに気づかせられる。虐待や貧困、様々な規制によるひずみ、児童福祉の不充分、政府の関心不足など、すべての問題を子供たちのその小さな背中に背負わされている。この本は人身取引という言葉を初めて聞く人はもちろん、聞いたことはあるが人身取引とは被害者本人の意思がからんでいると疑っている人に読んで頂きたい。果たして、本当に被害者の意思なのか、この本を通じて再度考えてもらいたい。彼女らの生き様を知ったあと、日常的に敬遠されがちな児童売春を見て見ぬふりができるだろうか。

  • なんとも言えない気持ちになった。

  • ダ・ヴィンチで紹介されてて読もうと思った筆者さん。読む前から苦しくなると分かっていたけど、ほんとにきつい。筆者はよくこのテーマを続けられるよな。虐待から逃れるために家出。生きるための金を得るために援交、アンダー援デリ。知的障害のある人が風俗産業に入るのも書かれてたけど、だいぶ特殊なケースじゃないかと思う。家庭に問題がないのに薬物をやめられず援交を続ける子は不思議だった。薬にはまっちゃう体質だったのが悪かったのか。リスカってそんなに効果があるのかな。あとがきの施設職員側の意見も興味深かった。この業界にいる限り、不幸な子を少しでも減らしたいと思う。

  • ときどき思い出したようにこの手の本を読むが、読むたび日本の闇を見る。
    ピックアップされた女の子たちはみんな親に虐待を受けた子ばかりであるのをみると、親の育て方や環境がどれだけ大事かと思う。
    もちろん大事に育てても風俗に流れる子もいるし、逆もあるけど。
    しかし買う男はどんな心境なんだろうか…

  • 読み進めるのが苦痛だった。以前、ニューヨークでソーシャルワーカーをしていた時もいろんな話を聞いたけど、やっぱり慣れることなんてできない。

  • 児童養護施設は2006年時点で、6割が親からの虐待による入所である。福祉部門の中でも、人的資本、予算ともに最底辺の児童福祉。「切ないまでにド底辺」で生きるまだ小さな処女たちの壮絶なルポ。「回避行動としての非行」という福祉の言葉を初めて知った。絶望的にまで否定し続けてきた自分自身の性と生、だけどそれってホントに彼女自身の問題だろうか?「社会の被害者」、「回避行動としての非行」という福祉用語が非常に重く響く。

  • 援交を続けて生計をたてていく未成年の少女たち。ほとんどが、一番安全である親に問題があり、家出をする。

    援交をするためには、相手がいなくては始まらない。お金を出す者と、貰う者。そこまでして、理性を捨てる感覚がわたしにはわからなかった。出す者の気持ちも。貰う側の気持ちも。


    放心状態になりました。

  • 生きるためには何でもする! というようなことが書かれている。

  • 壮絶というか救いのない話が多い気もしますが、これも現実。
    親の世代の更生が必要だと感じました。

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著者プロフィール

1973年千葉県生まれ。文筆業。子どもや女性、若者の貧困問題をテーマにした取材活動をし、代表作として『最貧困女子』(幻冬社新書)などのあるルポライターだったが、2015年、41歳のときに脳梗塞を発症し高次脳機能障害が残る。当事者としての自身を取材した闘病記『脳が壊れた』『脳は回復する』(ともに新潮新書)が話題に。他にも、夫婦での障害受容を描いた『されど愛しきお妻様』(講談社)『発達系女子とモラハラ男』(漫画いのうえさきこ。晶文社)、当事者視点からの実践的な援助ガイドを試みた『「脳コワさん」支援ガイド』(日本医学ジャーナリスト協会賞受賞。医学書院)、当事者と臨床心理士との対話を記録した『不自由な脳』(山口加代子氏との共著。金剛出版)などの著書がある。

「2021年 『壊れた脳と生きる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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