イノセント・ゲリラの祝祭

著者 :
  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (373ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796666763

感想・レビュー・書評

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  • 今回の「イノセント・ゲリラの祝祭」も まず予算ありきの厚生労働省の方針を問題視しています。
    本の帯には「厚生労働省をブッつぶせ」。
    今回のテーマは「司法と医療のあり方」、「死因の解明」、「官僚のあり方」でした。
    厚生労働省を舞台に かなり批判的に?(それが現実?)書かれています。

    日本の医療の崩壊を招いた「医療費亡国論」を現在も信じている厚生労働省。
    まず予算ありきの医療の抑制。

    医学の基礎である死亡時の解剖を求める厚生労働省が その費用を出さない。
    日本の解剖率は2%と先進国では考えられない低さをまねいています。
    そのため、死亡原因の第一位は「心不全」。
    「心不全」はその人が死んでいるので、間違いではないものの、死んでいる状態であり、決して死亡原因ではない・・。
    相撲部屋でのリンチ事件でも、死因は心不全。
    これは警察の怠慢。

    医療費を抑制しながら救急医療や産科・小児科医療の充実や医師の増員などの方針だけを打ち出す 矛盾ばかりの行政。

    作者は 医療は国家の骨格であり、必要な予算は絶対に削られるべきではないと主張しています。

    今までの作品は 大きな物語の中で進行していましたが、今回の作品はぼやけることなく問題点を議論する形ですすんでいます。

    少しでもわかりやすくするために「産婦人科医逮捕問題」、「相撲部屋でのリンチ死亡事件」、「メタボ検診」等のことが添えられています。

    少し読みにくいかもしれませんが、厚生労働省の実態を知ることができ、面白く読みました。
    海堂氏のこれまでの本は全て読んでいますが、これからも読んでいきたいと思います。

  • シリーズ4作目の舞台は厚生労働省。
    白鳥直々のご指名により、医療事故を調査するための独立した組織の創設を目的とした会議に仕方なく出席することになった田口先生。
    官僚、大学教授、医療事故被害者など、さまざまな思惑が錯綜する会議の幕開けです。

    今回もオートプシー・イメージング(Ai:死亡時画像診断)の導入についての話題が中心です。
    新しい登場人物・彦根はかなり強烈な人物で、彼の一人舞台となる会議後半戦は目が離せませんでした。
    Aiや現代医療現場に対する作者の思いを、彦根に代弁させているような、熱のこもった主張でした。

  • 法廷もののような演繹戦争だった。
    守りたいものが箱庭であれば、箱庭の外界を提示すればよい。
    しがみつく論を盾にするならば、しがみついた論を矛に置き換えれば良い。
    求めるものを掴むためにもっと大きなものを求める、小さく見せればいい、逃げ込ませてあげればいい。

    田口は操り人形を演じつつ、スポットライトを得た。
    舞台を降ろされた白鳥は、次の巣づくりを得た。
    表舞台に立てなかった彦根は、ゲリラ活動に打ってでた。
    役者はこれからどう動くのか。

    世論を味方にするのか、世論に潰されるのか。
    続きを読もう。

  • シリーズ4作目。役人は国策という自分達が1番で、国民は二の次なのだという感じ。彦根の考えはすごい極端だけれど、お偉いさんの前で堂々と自分の意見が言えてかつ言い負けない人はすごいと思う。

  • 今回の物語は、会議でのシーンが主だったので、ミステリーを期待して読まない方が良いかも(^-^;いろいろな人の思惑が有って、理想を実現するのって本当に大変だなと…。田口、白鳥コンビより彦根がメインの作品という印象です。

  • うーん、海堂さんの現在の厚生省への怒りやら、医療とは、とかをテーマにした論文のような感じでした。

  • ?チームバチスタ○
    ?ナイチンゲール×
    ?ジェネラルルージュ◎
    と期待された第4弾でしたが、ミステリー色は皆無。
    たぶんカテゴリーとしては新書。残念。

    自作は螺鈿迷宮と重なりそうで少しだけ期待。

  • 仕事は未来を見てするものだ。
    今に立ち、過去に学ばないと仕事はできないけれど、でもその目線は未来を見ないと仕事は仕事にならない。
    でも、そこで見てる未来は誰の未来?どこの未来? 国の仕事をしている人たちが見ている未来は国の未来なのかもしれないけど、そこにいる国民の未来なのかどうかはわからない。
    本末転倒。
    大事にしたいものがありすぎて、大事にしたいものが大事にしているはずのものが見えなくなる。
    話は単純なことなのにと、外にいる人たちは思うのだろう。

  • 中盤までのパワーゲームは面白かったのに、後半になって急に低空飛行に…

    イノセントゲリラよ、もう少し頑張れ

  • 途中まで読んだ。なかなか進まなかった。
    返却期日がきて途中終了

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著者プロフィール

1961年千葉県生まれ。医師、作家。外科医・病理医としての経験を活かした医療現場のリアリティあふれる描写で現実社会に起こっている問題を衝くアクチュアルなフィクション作品を発表し続けている。作家としてのデビュー作『チーム・バチスタの栄光』(宝島社)をはじめ同シリーズは累計1千万部を超え、映像化作品多数。Ai(オートプシー・イメージング=死亡時画像診断)の概念提唱者で関連著作に『死因不明社会2018』(講談社)がある。近刊著に『北里柴三郎 よみがえる天才7』(ちくまプリマー新書) 、『コロナ黙示録』『コロナ狂騒録』(宝島社)、『奏鳴曲 北里と鷗外』(文藝春秋) 。

「2022年 『よみがえる天才8 森鷗外』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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