追憶の雨の日々

著者 :
  • 宝島社
3.21
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本棚登録 : 131
感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (157ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796672153

感想・レビュー・書評

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  • 最初から、アンニュイで薄幸な雰囲気を漂わせているこの小説は、雨の音と胸に落ちる涙の音が、最後のページまで、ずっと耳の奥に静かに続いているそんな小説でした。20代最後の誕生日を前に、無機質に生きてきた主人公が、赤い傘の女性と時空が交わり、生活が一変するのだけれど・・。
    こんな女性が、コロナ禍のなか、居るのかもしれないと複雑に感じつつも、小説全体は、言葉の紡ぎ方が抒情的で、品の良い映画を見たような読了感。

    夕べ、NHKでユーミン特集があって、守ってあげたい♪を熱唱していたっけ。
    ・・・誰もが、夢を持ち続け、はつらつと生きていられるとしたら、それは、どうであれ、周囲の誰かに守られているということ。

    この小説の終わりに、そんなことが、そっと添えられている。

  • 2度めだった
    なんともやりきれない
    こう言う終わり方しかないんだろうけど
    どうにも・・・

  • 最初から息苦しさを感じながら読んだ。短いのですぐ読めるが、その中に小説としての良さもある。私は好きです。

  • 不器用にしか愛せなかった、あの頃。
    そこにはただしっとりと冷たい雨が降り注いでいる。
    一面に沈んだ色彩の中に、僕は今もあの赤い傘を探している。
    (アマゾンより引用)

    これは切ない(PД`q。)
    ラスト切な過ぎやな…
    ラブストーリーっぽかったけど、嫌いなタイプの話じゃなかった(*´∀`*)

  •  村上春樹っぽいです。四日間の奇跡がとても好きだったので、こっちの路線に行ってしまったのが残念です。
     世の中をちょっと斜めに見て、ちょっとだけ溶け込めない、自分の決めたルーティンの中で生きている主人公が、いつもと違う何日かを過ごし世界観が変わる。そんな話でした。

  • 良かったです。
    切ないラヴストーリー?
    「ブ」じゃなくて「ヴ」なのはストーリーのせい?
    読み始めのころから、ラストはある程度予想できていましたが、悲しい?結末?ハッピーエンドには違いないんでしょうけど、やっぱり悲しい。
    読み手が男と女では感想も違うのかなって思いました。

  • とりあえず、今目の前にいる人のことを
    ちゃんと見なきゃダメだと思う

  • 結末も読めるし、設定もありきたり、凝ったプロットはない。
    でも、何となく先が気になり一気に読みました!

    中学を卒業して何年ぶりかで再会した彼女は娼婦として現れる
    そして彼女は再び雨の日に赤い傘をさしてマンションに訪ねてくる

    彼女には何があったのでしょう

    暗い作品でした!
    お隣に住むファミリーの幸せが救いです

  • 二十代最後の一日が雨だったことに、僕は特別何の感慨も覚えなかった。
    そういい切ってしまえば嘘になる。その証拠に僕はそれまでの十年余りの間に数十回しか開かなかった日記帳にその日付けを残してもいる。





    前の奇跡の四日間?の方が面白かったなー。なんか、舞台みたいな小説。

  • 浅倉氏は私の中でデッドボールかホームランな作家ですが、今回はホームランの方でした。

    生きがいも目標もなく無為に生きる男が、
    運命的に再会した同級生と一緒に暮らした日々の話。

    もう最初っから別れに向かって走っています。
    終わりを感じさせながら、
    ゆるやかな日常が淡々と綴られていく。
    影のなさが逆に怖い。

    お隣の家族が主人公と対照的な存在として描かれていて、印象的。
    別にたいした事件も起こらないし、
    男女が出会って別れるただそれだけの話。
    それが恋が終わったら何も残らなかったという妙なリアリティを後押ししている。
    主人公の未来は前進しているのに、まったく幸せに感じないこの寒さ。

    たぶんこれは男性が読むと、女よりもっともっと傷つくだろうな。
    そしてメンタル弱ってるときに読むべきだ。
    人生が充実していると浸透力が弱い笑
    傷をじわじわいたぶる物語…。

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著者プロフィール

作家・翻訳家。東京大学文学部卒。レコード会社洋楽部ディレクター等を経て作家に。
著書に『四日間の奇蹟』、『君の名残を』(以上宝島社)、『黄蝶舞う』(PHP研究所)ほか、訳書に『安アパートのディスコクイーン─トレイシー・ソーン自伝』、『フェイス・イット─デボラ・ハリー自伝』(以上ele-king books)、マット・ヘイグ『ミッドナイト・ライブラリー』(ハーパーコリンズ・ジャパン)、テイラー・ジェンキンス・リード『デイジー・ジョーンズ・アンド・ザ・シックスがマジで最高だった頃』(左右社)など多数。

「2022年 『ボクのクソリプ奮闘記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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