シルミド 「実尾島事件」の真実 (宝島SUGOI文庫) (宝島SUGOI文庫 A し 3-1)

著者 : 城内康伸

• 宝島社 (2009年8月6日発売)

感想・レビュー・書評

[kiwiさんの感想 · 2021年3月21日]

「実尾島(シルミド)事件」については韓国映画からみで名前だけは知っていた。
著者は新聞記者。シルミド事件は韓国現代史の暗黒部分といってもよく、当地でも映画が封切られるまではおおまっぴらに語られることは少なかったらしいが、そこに日本人がアプローチしようとしたわけだから取材は大変だったろう。だがそのあたりは本書ではあまり顔を出さず、淡々と書かれていて逆にちょっと面食らった。当事者の特殊部隊の面々は全員が死亡していて話を聞くこともできず、彼らが反乱を起こして自爆するまでの心情を描き出そうとすれば想像を交えるしかないわけで、著者はそれを避けている。その分「物語」としての迫力には乏しいが、状況証拠は十分で、部隊員や監視員の置かれた状況は控えめにいっても地獄だったろう。独裁、軍政下、国家機密という言葉で片付けたくはない。人のやったことだ。

[H.Satoさんの感想 · 2009年11月20日]

南北朝鮮の恐ろしい歴史の一部を感じる。

著者プロフィール

1962年生まれ。東京新聞外報部記者。ソウル特派員、北京特派員などを歴任。著書に『昭和二十五年　最後の戦死者』（小学館、第20回小学館ノンフィクション大賞優秀賞』『「北朝鮮帰還」を阻止せよ――日本に潜入した韓国秘密工作隊』（新潮社）ほか多数。

「2015年 『朝鮮半島で迎えた敗戦』 で使われていた紹介文から引用しています。」