- Amazon.co.jp ・本 (367ページ)
- / ISBN・EAN: 9784796675307
作品紹介・あらすじ
ピアニストを目指す遥、16歳。両親や祖父、帰国子女の従姉妹などに囲まれた幸福な彼女の人生は、ある日突然終わりを迎える。祖父と従姉妹とともに火事に巻き込まれ、ただ一人生き残ったものの、全身大火傷の大怪我を負ってしまったのだ。それでも彼女は逆境に負けずピアニストになることを固く誓い、コンクール優勝を目指して猛レッスンに励む。ところが周囲で不吉な出来事が次々と起こり、やがて殺人事件まで発生する-。『このミステリーがすごい!』大賞第8回(2010年)大賞受賞作。
感想・レビュー・書評
-
ピアノの描写がすごいなぁ〜と思いました。なんでタイトルがさよならドビュッシーなのか...最後の最後に納得。
まさか、そういう展開だったのか!と一気読みでした。
心に響く言葉もたくさんありました。
このシリーズ、読破したいと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中山七里さんの作品、初めて読みました。
爽やかな音楽ミステリー。
火事で身体の三分の一以上が炭化するという災難に見舞われた16歳の少女。
厳しい医師のもとでリハビリを行い、魅力的でミステリアスな指導者の
レッスンに耐えてピアノコンクールで優勝をめざすというもの。
すべてが悪意からではなく「思い違い」から起こってしまう事件で構成される。
最後に、そういうことだったのか!という怒涛の事件解明シーン。
”文面から聴こえてくる音楽” と供に、
検索したショパンやドビュッシーをBGMで流しながら文字を追う、
贅沢な時間を過ごしました。 -
中山七里さんの有名作を読了。
不幸な火災事故で唯一生き残った少女の物語。
事故後の様々な事件。隠された謎。
岬洋介と共に音楽への再起を目指した少女の先には…。
最後の最後でこうくるか!という感想でした。
かなりスリリング。音楽の専門的な文章は端折ってしまいましたが。
紹介文の内容も読み終わった後だと意味深ですね。
岬洋介シリーズ。次もチェックしたいと思います。 -
名古屋の実業家の孫娘、香月遥は、中学三年生で、ピアニストを目指し、日夜練習に励んでいた。
従姉妹の片桐ルシアは、スマトラ島沖地震で、両親を亡くしていた。
震災から一月程経った頃、香月家に引き取られているルシアも、漸く、心の傷が癒えた様子。
両親と、叔父が留守の、ある夜、離れ家の祖父の部屋から火が出て、祖父と従姉妹が死亡、自分も全身火傷を負う。
Ⅲ度熱傷の彼女を、形成外科医の新条医師は、奇跡的に、手術を成功させた。
辛いリハビリや、鎮痛剤を投与されながらの洗浄処置等を受け、2月後に退院。
数日後、祖父の財産が、莫大な金額で、その半分を遥に与えると、本人が遺言していたと、弁護士から聞かされる。
但し、その財産は、音楽教育のみに供用されると言う。
当惑する家族。
音楽学校に入学が決まっていた遥は、一人だけの遅い入学式をする。
校長は、「学内規定は、何ら例外は認めていない」と、キッパリ告げる。
母親は、早速、遥のピアノのレッスンを開始するが、以前に通っていたピアノの先生には、「リハビリの為の練習は、出来ない」と断られる。
そこに居合わせた、新進気鋭のピニスト、岬洋介が、「本人さえよければ、僕に任せてもらえないか」と名乗り出る。
その日から、二人の熾烈なレッスンが始まる。
そんなある日、階段の滑り止めが外れていて、危うく、彼女が、足を踏み外し、あわやの所で岬に助けられたが、故意に剥がした痕が有る。
またある日は、杖のストッパーに細工がされていて、倒れる寸前に、新条に助けられる。
誰かに、狙われていると自覚した彼女は、岬に相談する。
その矢先、母親が、神社の階段から転げ落ちて、命を落とす。
事故では無さそう。誰かに、突き落とされたのでは?
犯人は、誰か?
家族の者か?
財産狙いか?
家事で、祖父と従姉妹を亡くし、全身火傷を負った、莫大な財産を相続したシンデレラ。
その上、母親の不審死。と、
日夜、報道陣に、追いかけられる。
それでも、彼女は、岬の、熾烈なレッスンに耐え、日毎に上達して来る。
そしてある日、校長から、コンクールに出場する様に言われる。
果たして、彼女は、無事に、コンクールで、ピアノ演奏ができ、優勝できるのだろうか。
二度の、殺人未遂と母親を殺した犯人は、
一体、誰か。
最後のどんでん返しに、びっくり。
岬のチャリティーコンサートのピアノ演奏。
彼女の、コンクールのピアノ演奏 。
今にも、ピアノの音が聞こえてきそうな、緊迫感に、かなり力を入れて読んでいたのが、分かった。
-
高校の音楽科に推薦で入学が決まっている遥。
日本に帰国していて偶然難を逃れることができたが、いとこのルシアは津波により両親を亡くしている。
ある日、仲のよい2人は祖父の家に泊まりに。
その夜、祖父の趣味の部屋から火災が起こり、祖父とルシアは亡くなってしまう。
全身に大やけどを負いながらも一命を取り留めた遥は、優秀な外科医による皮膚移植を受けて、「生きて、元通りの生活を送れるようになる」ことを周りから期待される。
司法試験に合格した経歴を持ち、注目のピアニストである岬から指導してもらえることになり、ピアノのレッスンを再開しコンクールを目指すことになった遥だが、悲劇は終わったわけではなくて・・・。
彼女を狙う何者かの存在を推理しながら、岬の音楽や学ぶことに対する姿勢、巧みな指導によってめきめきと力をつけていく遥の成長を微笑ましく見守る話には収まってくれない。
知的な岬はすでに何かに気付いているようだが、一向に種明かしはされず、読みながらすでに曖昧にしようとしている自分がいる。
祖父の残した膨大な遺産を狙った何ものかの犯行であるとすれば、あまりに単純すぎるか、などと思いながら読み進めていく。
大火事・全身やけど・皮膚の移植とくれば雫井脩介の「虚貌」を思い出す。ずいぶん前に読んだとき驚きの連続で、単純だけれどミスリードされたトリックがやけに印象に残る話だった。
大やけどの話の結末には、確かに導き出されそうな結論。
驚きは薄いけれど、岬の語る言葉の魅力や前向きな結末、最後の最後に登場するタイトルの意味。
作曲家の名前を冠した他の作品も大変気になります。 -
ミステリーというより音楽スポ根小説かと。
音楽の描写が素晴らしく、「蜜蜂と遠雷」を思い出しました。
火事で資産家の祖父と従姉妹を亡くし、自身も全身皮膚移植が必要なほどの大怪我をおった16歳の少女が、ピアニストになるために、岬洋介という素晴らしい指導者とともに努力して高みを目指していく。
メインはピアノコンクールに向けた話ですが、間で彼女の命を脅かすような出来事が次々起こったり、母が転落死するという悲劇が。遺産狙いの殺人か?となるのですが、やっぱりメインはピアノコンクール。結局ミステリー要素については岬さんが最後に全部種明かししてくれます。私は全く気が付かなかったのでもう一度読み直します。 -
美しい装丁としゃれたタイトルに魅かれ手に取った
第8回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作
資産家の孫としてピアニストを目指し何不自由ない暮らしをしていた香月遥、祖父・従兄弟とともに火事に巻き込まれ、全身大火傷を負って、一人生き残る
全身の皮膚移植、壮絶なリハビリを続けながらも岬洋介という師と出会い、再びピアノに向かうようになる
しかし、巨額の遺産を相続した遥を狙うかのような怪事件が次々と・・・その上、殺人事件まで
このピアノの師の岬洋介がまたすごい
法曹界で伝説の検事正の一人息子、司法試験トップ合格、裁判所へ行くか、検察庁か、はたまた弁護士かとその行く末を注目されていたが、父親への反発からピアニストの道を選んだ変わり種
的確に遥を指導するとともに、事件まで解決していく
ピアノ演奏の描写が素晴らしかったが、あまりに丁寧で長すぎて、ミステリーの方はどうなったの?と思ってしまったところも
あったかな
私に音楽的関心がそんなにもないからだろう
聞くところによると、著者の中山七里さんは、音楽に関しては素人で、楽器は何もできないとのこと、それであの曲の解釈や演奏描写は、驚きだ
ラストのアサヒナピアノコンクール本選での遥の演奏シーンの描写は圧巻だった
最後にいろんな謎が解けたとき、予想を裏切る結末にぞーとした
そして、最後のページで、「さよならドビュッシー」というタイトルの意味も分かった
-
終盤まで★★★★★
圧倒的に引き込まれる「音楽スポ根」ストーリー。
そして、あっと驚くどんでん返し。
でも、この「どんでん返し」が余計だったなぁ、僕には。
無茶苦茶面白かった、面白かったんだけど...
『さよならドビュッシー』というタイトルと表紙の雰囲気から、勝手に『のだめカンタービレ』的なものを想像していたのですが、蓋を開けてみればコレ『大映ドラマ』じゃないですか。
過酷な運命を背負った少女が、美形で天才の音楽講師と共にピアノレッスン。音楽学校でのいじめや、マスコミの好奇な目にもめげずに二人三脚でコンクールに挑む。
筋だけ要約すると「ベタ」に思えますが、主人公を含む登場人物たちが魅力的で、それぞれの立場から発せられるセリフも含蓄があり、物語を豊かにしています。
そしてなにより、演奏会をはじめとする音楽描写が抜群に巧いしすばらしい。登場するドビュッシーの〈月の光〉ではありませんが、本当に演奏の様子が映像として浮かび上がってきて、音楽まで聴こえてくるようです。
これ「ミステリ」じゃなくて「音楽エンタメ」でよかったんじゃない? そう思うくらいどっぷりハマりました。
面白かった、面白かったんだけど... -
個人的には、設定に無理がある気もするが、精一杯努力している姿は素晴らしかった。