ある少女にまつわる殺人の告白

著者 :
  • 宝島社
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感想 : 144
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  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796680059

感想・レビュー・書評

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  •  タイトルから察するに、「少女が誰かに殺された話」かな、と思って読んだ。序盤は、その推測からもれず、ある少女が継父に虐待された末に殺されてしまった事件が過去にあり、その当時の関係者に、記者か誰かが取材してる形式で物語が展開されているかと思いきや・・・これが8割方間違い!!ラストを読んで、「ええーっ」と、驚いてしまった。

     一番悪いのは、亜紀の母親だと思う。亜紀の母親は、亜紀と児童相談所の職員をだまして、内縁の夫のもとに亜紀をつれて戻ってしまう。自分を守るために、子供を差し出したら駄目だろう。

     暴力は連鎖されていくのが怖い。虐待された子供は、長じて自分の子供を傷つける傾向にある。亜紀が、その連鎖から逃れられていないという描写を読んで、怖くてかなり震えた。
     けれど、虐待したくてしている親なんていないんだよな。何で、こんなことになっちゃうんだろう。
     私は、絶対こうならないっていいたいけど、そんな保証どこにもないところが怖い。ちょっとしたボタンの掛け違えが起こってしまえば、私も弱い誰かを傷付けることになるかもしれない。考えるだけで怖い。

     そんなことに気づいた点においても、この作品は単なるミステリーを超えて、「すごいミステリー!」に分類される作品だと思った。

     しかし、本当に、どうしたら暴力の連鎖って止まるんだろう・・・?

     

  • 読みやすかったです。
    タイトルから予想していたラストと違ったひとが多いのではないでしょうか。私も途中から「あれ?なんかちがうぞ」となりました。
    今後のあきちゃんはどんな人生を送るのかちょっと怖いですね。

  • とどのつまり、美人は得。と言うのは置いておいて…

    すでに皆さんが指摘している通り、東野圭吾さんの「白夜行」「幻夜」に似ている。モノローグ形式は溱かなえさんの「告白」同様、効果的。芥川龍之介さんの「藪の中」にも用いられているこの形式だけど、近年特に多用されているような。

    児童虐待がテーマだけど、一方で「女」の弱さ、ずるさ、恐さも露わになっているように感じた。実際虐待されていた子供が親になったとき、その辛さを誰より知りながら同じことを繰り返しやすいというのは悲しい事実である。

    あんぽんたんの私にあたたかい愛情を注いでくれた両親に改めて感謝し、いつか親になったときに幸せな家庭を脈々と受け継いでいきたいと感じた。

    • まろんさん
      「あんぽんたんの私にあたたかい愛情を。。。」という文章を読んで、
      なんだか泣けてしまいました。

      知的で魅力的なレビューを書かれるhetar...
      「あんぽんたんの私にあたたかい愛情を。。。」という文章を読んで、
      なんだか泣けてしまいました。

      知的で魅力的なレビューを書かれるhetarebooksさんが
      あんぽんたんだなんて、全然思わないけれど
      こういう一文を書かせてしまうご両親も
      素直に書けてしまうhetarebooksさんも
      本当に素敵だなぁ、と思いました。
      私も娘に、財産らしい財産は残せそうにないけれど
      愛情だけは惜しまずに注いでいかなくちゃ!
      2012/07/03
    • hetarebooksさん
      まろんさん
      あたたかいコメントありがとうございます。まろんさんのコメントに私もうるっときてしまいました。
      本当に、溢れるように愛情を与え...
      まろんさん
      あたたかいコメントありがとうございます。まろんさんのコメントに私もうるっときてしまいました。
      本当に、溢れるように愛情を与えてくれた両親なんです。

      大丈夫!あたたかで優しくて、登場人物たちの身になって考えられるまろんさんですから、娘さんにはなおさらしっかり愛情を注がれているはず!

      ちなみに私が本好きになったきっかけは母だったりします。そのことも母にもらった財産になっています。
      2012/07/03
  • ラスト、真実が明らかになるにつれぞわぞわした。こわ。

    でも実際の所こんな感じで負の連鎖は起こってしまうんだろうなとも思う。

  • 児童虐待をテーマに扱ったミステリー小説です。

    途中の伏線でなんとなく最後が予想できたりしてしまうので、
    もともとこの手のジャンルが好きな人にとっては
    特に目新しい作品ではないかなと思います。

    逆にそういうジャンルに馴染みが無い人が読む最初の本としてはうってつけかもしれません。
    とても丁寧に書かれた作品だな、という印象を持ちました。

    また、物語の流れを壊すことなく、登場人物の語りから、
    その現場に立つ者の苦悩、児童福祉の問題点、虐待が連鎖してゆくことまで
    言及しているのがすごいと思いました。

    バランスの取り方がうまいです。

    巻末の選評経緯について書かれたなかでも言及されてましたが、
    登場人物によって書き分ける台詞回しの書き方がうまいと思いました。

    ミステリーという枠にはめず、児童虐待を扱った小説として、
    十二分に読み応えある作品だと思いました。

  • 図書館で借りた本。
    亜紀という名の美少女の過去を探る話。
    交通事故で病院に運ばれた亜紀の怪我をみて、虐待の可能性を疑った小児科医。小児科医に通報された児童相談所。なんとか助けようとするが、義父に邪魔される。義父もまた、子供の頃に父親から虐待を受けていた。

  • ある少女にまつわる殺人の告白
    佐藤青南さん。

    児童虐待。
    踏み込んではいけない親子の領域。
    DV,
    児童相談所。
    周りの大人達。
    優しい幼馴染。
    暴力。
    虐待を受けているこの光の消えた眼差し。
    連鎖。

    長崎。島原の方言が、柔らかく伝える。
    現実は、悲しい。辛い。お話。

    主人公。亜紀ちゃん。
    幸せになってほしい。と読み続ける。

    最後まで読んだ。
    イアミスに気付く。

    児童相談所で働いている方たちの、
    様子がよくわかった。

    難しい現実。
    少しでも、良くなることを願います。

  • 面白かった!
    インタビュー形式でどんどん明らかになっていく感じ。
    最後、ゾワっとした。

  • 再読だったヾ(。>﹏<。)ノ゙✧*。

    長崎県南児童相談所の所長が語る、
    ある少女をめぐる忌まわしい事件。
    10年前にいったい何が起きたのかーー。


    児童相談所の所長である隈部へのインタビューで幕を開ける。
    10年前に起きた、ある忌まわしい事件…。
    当時十歳の長峰亜紀に一体何が起こったのかーー。
    ある男性がインタビュアーで、隈部のインタビューを軸に
    様々な「語り手」担任だった女性教師や同級生・保健所の保健師・
    一時保護所の所長・母が働いていたクラブの同僚の等の証言から
    次第に当時の状況が明らかになっていく。
    さらに、その裏に隠されたショッキングな真実も浮かび上がる。
    インタビュアーの男性は誰?何のために調べているの?
    その謎がずっと付きまとっていた。

    目を背けたくなる児童虐待やネグレクトの現状。
    虐待を受けた者が虐待を繰り返すDVの連鎖。
    現場で働く児童相談所や児童福祉士の抱える
    苦悩・葛藤・問題も深く描いている。

    インタビュアーの男性が明らかになった時の、
    驚き…衝撃…戦慄しました。
    ラスト一行に鳥肌が立った。

    負の連鎖は断ち切れないのかなぁ…。
    亜紀は確かに虐待を受けた可哀相な子供だった。
    でも、子供の頃から浮かび上がる計算高い姿には
    虐待を受けていたからだろうけど、嫌悪感を抱いてしまった。
    羽を授けちゃいけなかった…。
    自分を本当に愛してくれる人すら、ただの道具だった。

    団欒のある家庭に育つ事は、当然ではなく、幸運な事なのですね。

  • 最後の1ページで「こうやって連鎖していくんだな」と思った。

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著者プロフィール

佐藤青南
一九七五年長崎県生まれ。「ある少女にまつわる殺人の告白」で第九回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞し、二〇一一年同作でデビュー。一六年に『白バイガール』で第二回神奈川本大賞を受賞。ドラマ化された「行動心理捜査官・楯岡絵麻」シリーズ、「白バイガール」シリーズ、絶対音感刑事・鳴海桜子が活躍する『連弾』『人格者』『残奏』など、著作多数。近著に『犬を盗む』『ホワイ・ダニット 行動心理捜査官・楯岡絵麻』『ストラングラー 死刑囚の逆転』がある。

「2023年 『残奏』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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