新・名前のない女たち~素人女性編 (宝島SUGOI文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796680165

感想・レビュー・書評

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  •  「東電OL事件」について、昼は銀行員、夜はデリヘル嬢、昼間の仕事でストレスをため込んで、夜の仕事で解消している彼女は東電OLに強く共感しみせた。彼女にとって風俗はストレスがない仕事なのでしょう、しかし全ての女性に当てはまるわけではない、銀行員でストレスが無いっていうのも可笑しな話、そんなに辛いなら辞めればいいのにって、単純じゃないところにこの問題の本質が見え隠れする。

  • 2012年(底本2011年)刊行。

     俗に言う素人女性とプロの区分けが難しくなっている状況で、非常に低額かつハードルが低くなった性風俗。この実態を乾いたタッチでレポートする。
     あとがきの「どんなに真面目に倫理的に生きてきた女性でも、一度売ってしまうと止まらない」という叙述が全てを物語っているようだ。
     物事の優先関係のつけ方の歪さ、セックスや抱擁に対する独特の皮膚感覚、簡単に大金が得られたためにどうしようもなく狂ってしまった金銭感覚に言葉を失ってしまう。
     他人からの目線の自覚のなさや想像力の欠落にもため息をつくばかり。

  • OL、教師、元アイドル…アダルト雑誌にSEX志願してきた女たちの心の奥をノンフィクションライターの筆者が抉り出す今回の『名前のない女たち』は本当に衝撃的で、読んだ後にしばらくの間何もできませんでした。

    衝撃的な女性の告白で有名な『名前のない女たち』シリーズ。今回は『素人女性編』ということで、あっちの世界とこっちの世界との境界線をさ迷い歩いている女性たちがここでは紹介されております。ただ、この本は相当の『劇薬』だと思いますので、取り扱いには本当に注意を要するかと思います。

    ここに出て来る女性たちは一見『普通』で、きっと街を歩いていてすれ違ったとしても何も感慨もわかないかと思います。しかし、そういった女性たち、ある女性は1歳の娘を保育園に預けてやって来た専業主婦であったり、または夫の風俗通いの腹いせに応募してきた新婚妻と本当に誰一人として同じ人間もいない彼女たちが、安定した職業についていても、夫や特定のパートナーがいたとしても、ほんの数万円でカメラの前に裸体をさらし、自分の隅々までフィルムに収められ、筆者のインタビューによってその内面を白日の下に暴き出され、場合によっては『行為』にまで及んでしまう…。ページをめくりながら戦慄を覚えると同時に『何故』という疑問が浮かび上がっては虚空に消えていくような錯覚を覚えてしまいました。

    しかし、中にはローンの支払いにおわれて、数万円のために『すべて』を晒し、『これっきりですから』といいつつその舌の根も乾かないうちから次の撮影を問い合わせてくる…。こういう女性も中には存在しましたが…。これは本書を読むまで一切知りませんでしたが、朝日新聞、TBS系『ゴロウ・デラックス』でホストを務めるSMAPの稲垣吾郎氏が『今まで読んできた本の中で一番の衝撃を受けた』ともらしていた理由がわかるような気がいたしました。

    この告白記を読んで女性に対する見方や接し方が180°変わってしまうかもしれない…。そんなことを読み終えた後にしばらく考え込んでしまいました。

  • 2009年から11年にかけていわゆる「素人」と言われる人たちのインタビューですが、これより20年前に書かれた『AV女優』からすると、風俗に対する倫理観、価値観、動機、理由が大きく変わってきている。「そういう道もあるよね」という言葉が今の世の中を物語ってるのだろうか・・・。読んでて理解不能なところや胸くそ悪くなるのもあります。
    ことによっては経験しなくていいことはしないに越したことはないと思うな。

  • 読了。なんか、このシリーズ、前からこんなに女性の扱いひどかったっけ?、って思うくらい。素人だとはっきり思ってるから、一般人(と言っていいのかどうか分からないが)をこんなに叩くのはどうなんだろう、とか読者側が思ってしまうのだろうか。なんだか、必要以上に悲劇的に描いているというか、差別的な気さえする。ルポは、著者の主観や感想、正義感なんかが入ると、途端に面白くなくなる。そんなのは読者に任せておけばいい。何が正しいって言えるほどの人間がどれくらいいるのかと。せっかくのすごい題材なんだから、淡々と詳細に書いておけばいいのに。なんか深みもなかった。もっと対象のことを知りたいと思ったのに。(2012/5/17) 

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著者プロフィール

1972年生まれ。ノンフィクションライター。AV女優や風俗、介護などの現場をフィールドワークとして取材・執筆を続ける。貧困化する日本の現実を可視化するために、さまざまな過酷な現場の話にひたすら耳を傾け続けている。『東京貧困女子。』(東洋経済新報社)はニュース本屋大賞ノンフィクション本大賞ノミネートされた。著書に『新型コロナと貧困女子』(宝島新書)、『日本の貧困女子』(SB新書)、『職業としてのAV女優』『ルポ中年童貞』(幻冬舎新書)など多数がある。また『名前のない女たち』シリーズは劇場映画化もされている。

「2020年 『日本が壊れる前に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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