おやすみラフマニノフ (宝島社文庫) (宝島社文庫 C な 6-3)
- 宝島社 (2011年9月6日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
- / ISBN・EAN: 9784796685825
感想・レビュー・書評
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岬洋介シリーズの音楽小説第二弾。作者の他の作品の様に血生臭い事件は起きないが、それでもミステリーの要素は満タンな作品だった。
前作以上に作品中で演奏される曲の描写が秀逸だった。今回もiTuneで音楽を聴きながら読んだが、クライマックスの曲であるラフマニノフの協奏曲第二は作者の筆運びに合わせて聞き進め、最後は思わず涙が出た。クラシックと言うのはこう言う風に聞くんだ、と本当に教えて貰えた。
自分の様にクラシックを普段聴かない人には是非読んで貰いたい。きっと眼から鱗が落ちると思う。 -
クラシックに疎いので、曲名が出て来るとYouT oubeでその曲を聴きながら読み進めた。密室でストラディバリウスのチェロが盗まれるという事件のトリックはもちろん、学長のピアノが水浸しになった事件、学長の殺害予告の犯人が誰なのか考えながら読み進めたがまさかの人物に驚いた。また、よほどの才能と運、そしてコネがなければ音楽で食べていくのは難しいことも改めて思い知った。避難所の体育館での岬先生と晶の演奏シーンと定期演奏会での演奏シーンが臨場感に溢れていていつまでも心に残った。
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私は昔クラリネットを吹いていたけど、もっとがむしゃらにやっていればよかった、そして辞めずにずっと続けていれば良かったと、読んでいてそんな気持ちが湧いてきました。
音楽の描写がものすごくて、ステージに立つ緊張感や、みんなとハーモニーを合わせ、指揮者と呼吸を合わせる瞬間、そんなことを鮮明に思い出させられました。
ミステリーなんだけど、それ以上に音楽家を目指す人たちの葛藤や成長がとても素晴らしく描かれていました。 -
先日、「有川浩」改め「有川ひろ」さんのサイン会に行き、たっぷり有川さんの作品を購入したにも書かわらず、中山七里さんにハマってみた。
「さよならドビュッシー」の続編がこちら。異色のピアニスト、岬洋介が指揮を務める物語。音楽のシーンは相変わらずの迫力。クラッシックはほぼ聴いたこともないのに前作と同様、不思議と音の波が目の前に迫ってくる様子が思い浮かぶ。時系列的には前作のコンクール後になる。
構成としては前作と同じで、音楽青春物語にミステリ要素が加わっている。そして最後に意表を突く新事実が明らかにされるのも同じ。だからといって飽きたわけではない。岬先生の言葉が素晴らしい。勇気と希望を与えてくれるが、悪魔的な魅力も感じる。タイトルがまた、最後で胸に刺さる。 -
岬洋介氏が活躍する音楽ミステリー、第2弾。
他のシリーズも、音楽シーン満載ですが、本作もピアノやオーケストラなどの音楽シーンが満載です。
第一バイオリンのコンマスである晶(あきら)と、学長の孫でもあるチェロ担当の初音(はつね)は、秋の定期演奏会のメンバーに選ばれ、プロへの道を進むべく、猛練習に励む。
しかし、ある日、時価2億円と言われるチェロ、ストラディバリウスが忽然と盗まれた。完全なる密室の中、なぜ?、どの様に?
続く学長のピアノの破損事件や、学長への脅迫状など、次々と事件が起こる。果たして、無事に定期演奏会は、開催されるのか?
前作の『さよならドビュッシー』とのリンクも、数々の場面で登場し、嬉しくなります。
最後のどんでん返しもピリッと効いて、物語は、静かに幕を閉じます。 -
中山七里さんとの最初の出会い?は「御子柴礼司シリーズ」で3冊読んでから、原点に返って最初から読もう!という気になり、「さよならドビュッシー」を読んだのが今年の2月で、それからもう5ヶ月も経過してしまいました。
「おやすみラフマニノフ」は「岬洋介シリーズ」の2作目ですね。
今回もまた音楽に関する知識や演奏の表現が凄かったです。中山七里さんをWikipediaで検索すると『中山本人は音楽に関して素人であり、楽器も何も演奏できない』と書いてあります。ちょっと信じられませんね。読んでいるだけで音楽に関して全く素人の私でさえ演奏時の情景が浮かぶくらいなのに。
私にとって一番印象に残ったのは、大雨で避難した体育館で、多くの避難者を前に2人で演奏したシーンです。こんな状況でも聴衆を引き付ける演奏はどんなに素晴らしかったのでしょうね。是非聴いてみたかったです。
岬洋介シリーズ3作目を手にするのはいつになるのかな?今から楽しみです。 -
終盤の怒涛の展開が面白かった。家庭環境の違いや才能の有無などが複雑に絡み合っており、様々な人間模様が見てとれた。トンカツ屋の店主さんの言葉が良かったです。
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岬洋介シリーズ第2弾。
今回も凄く面白かったです。
ミステリーとしての面白さはもちろん、音大の様子や音楽家を目指す誰もが抱える葛藤や悩みが本当にリアルで共感してしまう部分が沢山ありました。
この作品の中に出てくる曲も大好きなものばかりで
読んでいて本当に楽しかったです。
最後に畳み掛ける真実の数々、ページをめくる手が止まらなかったです。
次も楽しみです。