【映画化】完全なる首長竜の日 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
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本棚登録 : 3542
感想 : 529
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  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796687874

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりに一気読みしました。気になってほんとに止まらない。色んな布石が繊細でリアルで(でもほんとのrealではなくて)…ナッツのように後引く話でした笑 そして最後がまた…終わり方が良いですコレは大賞とりますね。ぜひ読んでいただきたい作品です。メチャクチャ面白かった。

  • 読み終わった瞬間、「面白かった~」と思わず、呟いた一冊です。数年前に映画化されていて、気にはなっていたのですが、未読のままでした。

    少女漫画家の和淳美が植物状態の弟と、ある方法で対話し、夢とも現ともつかない世界を幼いころの記憶を織り交ぜながらさまよい、いつしか自分自身をも信じられなくなっていく・・・といった不思議だけれど、実際にこんなことあるかも、と思ってしまう説得力に満ちた文章が魅力的な一冊です。

    図書館スタッフ(学園前):トゥーティッキ

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    帝塚山大学図書館OPAC
    https://lib.tezukayama-u.ac.jp/opac/volume/763948

  • 第9回『このミステリーがすごい‼』大賞受賞作

    植物状態になった患者とコミュニケーションがとれる医療器具「SCインターフェース」が開発された。少女漫画家の淳美は、自殺未遂により植物状態となった弟の浩一と対話を続けている。
    なぜ?弟は自殺を図ったのか?淳美はその答えが聞けぬまま時間だけが過ぎていく。
    淳美が15年連載を続けていた漫画が終わることになり、そのタイミングで次から次に不可思議な出来事が起こり始める。夢なのか?現実なのか?そもそも現実も夢の一部なのか?
    衝撃の結末と静謐な余韻が心に響く・・・
    あとから知ったのですが、本書は綾瀬はるか、佐藤健で映画化されてました。予告編を見ると、設定が少し違いますが、是非この世界観を見てみたい♪

  • いわゆる推理物というよりは、確かに物語は謎めいているんだけど、ホラーとかサスペンスみたいな雰囲気。そんなに人が死にまくったりするわけでも無いのにね。
    面白かった…ちょっとわくわくしちゃうような不思議さが、そのまんま薄気味悪さにすり替わっていって、なあんだと思わせてからの、この読後感!!
    「夢からから醒めてもまた夢」「胡蝶の夢」といったテーマから、なによりもそのクラクラする舞台の見事さから映画インセプションを連想したけど、あれから単純娯楽をぬいて、空虚なホラーのようなうすら怖さを漂わせたような…、いやあもう、本当に、「このミステリーがすごい! 満場一致!」って感じだわ。珍しくまるでエッセイしていない、読書感想文していない解説(まさに解説)の通りだわ。素直に浸って楽しめた。

    いやーーすごいものをよんだーー。
    ラストシーンはどう説明すると説明つくのかなぁ、つかないものかもしれないけれど、偽物のサイン掴まされた人がどうなるか予想ついて仕込んでたとか…いや無理があるかな。

  • 予想していたよりもずっと面白かった。流石に映画や漫画とメディアミックスされるだけはあるなと思う。場面の展開(現実と夢)が混沌としていて読みづらいと感じる人もいるかもしれないが、個人的には好きだ。

    謎解きもストンとして頷ける。
    ただラストはそこまで徹底しなくてもいいのに、と思った。

  • 最後のどんでん返しは圧巻!!!

    文章能力の高さがもうほんとに素晴らしいです(語彙力)
    これはもはや物語というより建築物…
    細かな情景描写、主人公の回想、所々伏線を交えながら丁寧に丁寧に結末へと向かっていきます

    是非とも読んでいただきたい

  • 主人公は人気少女漫画家の和淳美。どの辺がミステリ(謎)なのか分からないままに読み進み、どちらかと言うとホラーな雰囲気になっていく(おどろおどろしい系ではないが主人公の身に起こることが心理的にホラーな感じ)。最後まで読み切っても、これはミステリなのか?と思うけれど、惹き込まれ、引っ張られるのは事実だし、様々な「ホラー」も解消されていくのは、やはりミステリなのかもしれない。ただし、最後の場面で読後まで大いに引っ張られるが。。

  • 何度も繰り替えされる現実と夢のシンクロ。現実よりリアルな夢は「草の根ネット」の住人のように一人で作り出したものなのか。それとも自ら命を絶とうとしたこのの罰なのか。バナナフィッシュに出てくるシーモアは本当に現実かどうかを確認したくて引き金を引いたとある。淳美の最後も、現実かどうかをたしかめたかったのか、それとも現実ではないことを悟った上での絶望からなのか。あるいは土足で入り込んでくる武本からのセンシングを拒絶するためなのか。この武本という存在は、実は読者そのものなのかもしれない。

  • 植物人間となった人とやりとり出来る装置が出てくるSFミステリー。何と無く結末が分かったと思ったら最後の数ページで混乱しました。詳しくはネタバレになるので書きませんが、何処からが現実で何処からが夢なのかわかりにくくしているので、不思議な読後感が残りました。

  • 素直におもしろかった。現実に夢が浸食してくる系のお話で(まぁ現実は、存在しないんだけど)、どんどん境界が曖昧になっていく感じがたまらなくよかったです。
    今自分が現実の中にいるのか、夢の中にいるのか、こういうのを読んでるとよくわからなくなっていくね。

著者プロフィール

1971年東京生まれ。小説家・劇作家。2010年『完全なる首長竜の日』(宝島社)で第9回「このミステリーがすごい!大賞」を、『忍び外伝』(朝日新聞出版)で第2回朝日時代小説大賞を受賞しデビュー。2013年『忍び秘伝』(文庫化タイトル『塞ノ巫女』)で第15回大藪春彦賞候補。近年は作品の英訳版が発売され、中国のSF雑誌にも掲載されるなど、海外での評価も高い。『機巧のイヴ』シリーズ(新潮社)、『見返り検校』(新潮社)、『僕たちのアラル』(KADOKAWA)、『ツキノネ』(祥伝社)、『ねなしぐさ 平賀源内の殺人』(宝島社)など、著書多数。

「2020年 『ドライドックNo.8 乾船渠八號』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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