本当にワルイのは警察~国家権力の知られざる裏の顔 (宝島社新書)

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  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796689441

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  • 警察も善人ばかりではないということ。よく考えれば当たり前のことである。でもどこかなぜか警察は善人ばかりだと思い込んでいた。そんな事実を知るきっかけになった。

  • 国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」が、世界各国の報道の自由度ランキングを発表し、日本は東京電力福島第1原発事故に関する情報の透明性が欠けるなどとして昨年の22位から大幅に順位を下げ53位となる。

    そんな中「世界の情報ヒーロー100人」に選ばれたジャーナリストの寺澤有氏の本を読んでみる。

    お役所体質の警察の「悪」を描く。最初は、まあ有りそうな話だよなと苦笑いで読むが、途中から「ひでえな」に変わる。多くの人に読んでもらいたい一冊。国民が大声を出さなければ、この組織の根本は変わらないだろうな

    報道機関まで、警察の圧力に屈してしまう構造が悲しい。

    チャカ、指紋顔写真取得のノルマ

    大量退職者の為に「駐車監視員等の」天下り先の創設

    警察はギャンブルを取り締まらなくてはならない立場だが、むしろ退職者をパチンコメーカー、ホール、プリペイドカード会社等へ送り込んでいる

    交通違反の罰則金の収入が特別会計として予算化されている

  • 寺澤有氏による著作。
    1980年代末頃から現代(本書でいうと2012年)までの
    著者の取材体験を振り返りながら、警察の裏金作り
    警察官によるレイプ隠蔽工作、個人情報流出、
    警察と暴力団同士による拳銃のヤラセ捜査、天下り問題を紹介していく。

    本書の残念な点は写真が一枚もないことだ。
    当時の記事やスナップの写真でもあればより現実感が増したと思う。
    ノンフィクションやルポには写真があるべきだろう。

    裏金つくりに実際には支払わない変死体検案謝金、
    通訳謝金、カラ出張、架空の捜査費、機動隊の日当をプールする・・
    様々な手口で裏金をつくり出す構造には呆れた。
    またそれを批判しないマスメディアにも呆れる。
    これは警察から情報をもらうしくみができている為であると思う。
    池上彰氏のいうジャーナリズムは実に不十分なものでしかないと改めて思った次第である。
    P183で著者が指摘するようにジャーナリズムを標榜するわりにお金と警察にめっぽう弱いというのが大手マスコミの実態なのだ。
    結局TV画面で創価学会幹部や公明党の裏事情を取材する程度はタブーを破っている訳でも何でもないということだろう。
    思えば警察官は自殺も多い。つい先日も兵庫県警、大阪府警、京都府警でも不審な自殺をする警察官が相次いだ。
    定年間近の50代後半の警察官の拳銃自殺もあった(大阪府警)
    しかし、その後の後追い取材など読んだことがない。
    その背景にあるものは何なのか・・・被害者家族も裏金から口封じさせられているのか・・
    そんな思いがよぎって仕方がない。
    機会があれば個人的にもパワーハラスメントで苦しんだ本人や家族から話を聞いてみたい気持ちもあった。
    ただこれだけ警察という組織の構造的問題(自浄作用が無い)をつきつけられると絶望的な思いもする。
    ただ正面から行っても難しいだろう。
    警察の本質は強きものに弱く、弱きものに強い集団なのである。
    著者の寺澤有氏を応援する程度しか出来ないのが歯がゆいが・・・

    拳銃のヤラセ捜査は減っているものの呆れる他なかった。
    著者の指摘するように事件や事故が起こらない=平和であるという考えにもとづいたノルマを課すなり何なりするべきだろう。
    取り締まり件数が多い=よく働いているでは無理な捜査が続く一方だ。
    1995年には1880丁の拳銃が押収
    2010年には397丁の拳銃を押収

    天下り問題にも多くの指摘があり
    あくまで一民間企業でしかない東電に対し、本社前を機動隊が警備し会長宅を多くの警察官が守っている。
    これは明らかにおかしいことだ。しかしメディアで報じられた記憶はない。
    自分自身は原子力発電は必要だという立場だ。
    しかしこの電力業界の天下り問題は許す気には到底なれない。
    醜い日本の縮図を見た思いだ。
    在日特権が~タブーが~とか叫ぶネトウヨ気味の人達は警察の不正にこそ声を上げるべきだろう。
    在日特権(おそらく過去の同和対策などの名残)以上の特権があふれていますから。

  • 寺澤有『本当にワルイのは警察 国家権力の知られざる裏の顔』(宝島社、2012年)は警察の問題を明らかにする書籍である。警察の言うことは全て嘘とまで言っている。警察は「規則一点張りで融通のきかない、庶民にいやがらせをするだけの連中」である(M.ヨート、H.ローセンフェルト著、ヘレンハルメ美穂訳『少女 犯罪心理捜査官セバスチャン』創元推理文庫、上巻130頁)。
    本書は警察の裏金作り、警察官によるレイプ隠蔽工作、個人情報流出、拳銃ヤラセ捜査、天下り問題などを取り上げる。自転車の取締り強化は天下り先や利権の確保を目論んでいるとも指摘する。
    警察の裏金は通訳の謝礼やカラ出張、架空の捜査費、機動隊の日当から捻出されている。ビジネス的な視点から見ると、警察は取引相手として好ましくないと感じた。警察の発注は、適切な対価ではなく、裏金をピンハネされているかもしれない。民間企業ならば購買に内部統制を機能させることが当たり前になっている。その民間感覚の常識が警察組織には期待できない。
    残念なことに日本では真相を封印するために大勢の人間が多くの仕事をしている。都合の良い事実は誇張し、都合の悪い事実は公開しないなどの情報操作に従事する。情報公開や人権の息吹を感じさせる全てを頑なに拒む。その説明は体裁のために過ぎない。空々しい文言にしか聞こえない。都合が悪くなったら誤摩化す。やりたい放題やって責任は取らない。

  • もともと警察は好きではなかったが、本当に酷い。警察は「権力を利用して利権をあさる集団」であり、「組織的に金儲けする集団」でしかない。その本質は「強き者に弱く、弱き者に強い集団」である。でも、なかにはいい人もいるのではという疑問もバッサリ。「警察官にいい人はいません」「個人的にはいい人であっても、裏金作りなどの組織的な悪事に加担しています」「だまされてはいけません」
    まえがきのこの部分だけで、すべてをあらわしています。
    裏金作りとして機動隊の日額旅費(カラ出張みたいなもの?)があったが、内部告発によって廃止されることになった。内部告発者は「警視庁内の友人の95%は失った」という。警察では本当の正義は好まれず、憎悪の対象となってしまうのである。
    最近、自転車のりのマナーの悪さや、自転車事故がやたらと報道されていて、自転車ブームで無茶な運転をしている人が増えているのだなと感じてしまっていた。だがそれは警察が作り出した虚構だった。警察発表の自転車事故発生状況では、事故は減り続けているのだ。違法駐車を民間委託したときも警察OBの天下り先確保のためであったが、「自転車への取り締まり強化」も民間委託することによって天下り先を確保しようとしているのだ。警察が天下り先確保や権力強化のために制度を変えようとするときは、必ずその前に関連するニュースが続くという世論誘導がある。政府が戦争するため防衛費を増やすために中国脅威論を持ち出すのと同じである。そしてたとえ自転車に乗っていて取り締まられても、罰金など払う必要はない。ノルマをこなすための点数稼ぎの可能性が高いからだ。
    同じようなものに「体感治安」がある。わが国の犯罪被害率は先進国中最も低く、居住地での治安は悪化していると感じる人は少ないのに、日本全体の治安は悪くなっていると感じている人が多い。警察はこれを利用してホームセキュリティ市場や防犯カメラ市場などの天下り先を確保している。警備会社は警察官の天下りのためにある。
    記者クラブは役所から無償で部屋と備品、事務職員を提供され、水道光熱費も負担させている。すべて税金からだが、記者クラブのために税金を支出できるという法律的な根拠はまったくない。声が大きくなれば廃止、せめて縮小することも可能かもしれない。

  • 警察とは法律に伴う自虐的存在である
    それは国民のためという建前に隠した
    資本家中心の自我のためという本音を遂行するための組織であり
    それは国民に依存して搾取する権力によって支配することである

    つまり国民の一人ひとりが自分を暴力的に取り締まるために
    自らが起こしている恐怖の逆説的な表現である

    以上のことをこの本が証明している
    嘘と秘密によって裏切り合う関係を内包しているのが
    警察国家であることをこの本が示す事実で伝えている

    棚ボタを狙って天に依存というツバを吐いている国民が
    しっぺ返しを食らっているのであり
    自ら求める恐怖と欲によって
    迷い込んだ迷路の堂々巡りを走り回っているのが
    現代社会における人々だということだ

    その不安恐怖という弱みを飴と鞭で巧みに操っているのが
    資本家集団とその飼い犬達であり
    その組織構造をこの本によって具体的に確認することができる

  • 日本の警察がここまで疲弊して、言ってみれば暴力団組織、あるいは利益追求団体になっている事に衝撃を受けた。
    東京電力など電力会社に天下っている警察官がものすごく多く、未だに東電に家宅捜査もないと言う事に合点がいった。
    あまりにもヒドイ部分があるので、一握りの密告や告白ではとてもこの悪徳大組織は改革が難しいと思われる。
    我々は警察の監視をする目や疑うことを忘れてはいけないと思う。

  • C0236 もうね、テレビの「○○警察24時」なんかで、不当逮捕を堂々とやっている時点でおかしいですよね。任意とか言って周囲を囲んで、触れると公務執行妨害で現行犯逮捕とか。高評価なのは、こういう警察批判本を出版したこと自体に価値があると思ったので。証拠もないのに、警察がクルマを壊したなんてのは、ちょっと無理があります。

  •  
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4796689443
    ── 寺沢 有《本当にワルイのは警察 ~ 国家権力の知られざる裏の顔 20120210 宝島社》
     

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