人間と聖なるもの 改訳版

  • せりか書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796701815

作品紹介・あらすじ

への怖れと魅惑の根源を求めて禁止と侵犯の理論構築をくわだて、祭り・性・遊び・戦争など共同体の熱狂に関する数多くの人類学的資料に新たな光をあて人間の本質に迫る、若きカイヨワの知的冒険の書。

感想・レビュー・書評

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  • 聖なるものがいかなるものかについての解説から始まり、性や結婚と神聖さの関連、祭りの機能などに話が及ぶ。かつて神聖さと穢れに区別がなく一つの単語でそれを表現していたものが二つの要素に別れていったという最初の章の記述が興味深く、夢中になった。付録では第4章での祭りについての解説をもとに聖なるものと戦争について語られる。あらゆる観点から戦争と、祭りの類似性を挙げた後の著者の結論が興味深かった。遊びと聖なるものとの関連性についても語られており、同著者の他の本も読みたくなる。

  • 聖なるもの、それは崇拝の対象となるもの、さまざまな媒体により伝染するもの。人間を魅惑する、また戦慄、畏怖の感情を呼び起こすもの。焔に飛び込んでゆく蝶。

    聖なるもに近づくためには、日常的な、俗なるものを一時的に放棄する必要がある。聖なるものは、不可能なもの、禁止されたもののなかに宿る。

    俗なるものは、汚穢の排除も行う。死体や月経期、出産期の女性は部落から離れた場所に隔離される。
    俗なるものにより、他方、聖なるものは、禁止と儀礼により管理される。

    ポトラッチを持つ氏族社会による胞族の相互依存関係。女性の交換。トーテム。豊富な生産を目的とした贈り物の交換。

    王の誕生。権力と階級制度。王は神の系譜につらなり、神聖さをもつ。俗なる世界との隔離、近親相姦の承認。社会秩序と王の聖性。

    祭りの理論
    労働の禁止。<力の放電>。自然と社会の、衰弱した時間の刷新。植物の一年毎に循環するかのような生と死の模倣。創世以前の混沌。神話の租型の反復。死者や霊との交流。太陰暦での一年の最後の余分な十二日間、リグ・ヴェータによると一年全体の写し。王の死。近親相姦と創世神話。


    『生は消耗であり、消失なのだ。』

    『消費されないもの全てが腐敗する。』

    『聖なるものの永遠の真理は、灼熱の魅惑と同時に腐敗の恐怖のなかにあるものなのだ。』

  • 図書館2F閲覧室 160.4||C12

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著者プロフィール

(Roger Caillois)
1913年、フランスのマルヌ県ランスに生まれる。エコール・ノルマルを卒業後アンドレ・ブルトンと出会い、シュルレアリスム運動に参加するが数年にして訣別。38年バタイユ、レリスらと「社会学研究会」を結成。39–44年文化使節としてアルゼンチンへ渡り『レットル・フランセーズ』を創刊。48年ユネスコにはいり、52年から《対角線の諸科学》つまり哲学的人文科学的学際にささげた国際雑誌『ディオゲネス』を刊行し編集長をつとめた。71年よりアカデミー・フランセーズ会員。78年に死去。思索の大胆さが古典的な形式に支えられたその多くの著作は、詩から鉱物学、美学から動物学、神学から民俗学と多岐にわたる。邦訳に、『戦争論』、『幻想のさなかに』(以上、法政大学出版局刊)『遊びと人間』、『蛸』、『文学の思い上り』、『石が書く』など多数。

「2018年 『アルペイオスの流れ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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