- Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
- / ISBN・EAN: 9784797333442
感想・レビュー・書評
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子供に対する、なぜ勉強しなくてはならないのか、という素朴な疑問に答える一つの解として、説得力があり、納得性が高い。将来の人生に役に立つ、というシンプルな答えを子供に対してしていたが、それを理解力、想像力、表現力の3つの力で表現していたのは論理的で分かりやすかった。社会に出てからは答えのない問題に対峙することが増えるし、自分自身が考え、決断し、行動することが求められて行く。そのためには、義務教育の基本的な知識と理解は必須な上、その後に学ぶ幅広いジャンルの深い造詣があることが必要なのだ。考えることの楽しさと、懐古主義に陥らず、今よりも明るい未来を作るために必要なこと、として勉強の大切さを表現している。
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生命や言語の仕組み、脳死の問題、特攻隊、民族特性、日本社会の母性化。様々なテーマについて著者の持論が展開されている。作家の彼の考えは科学的で専門的である。これが「なぜ勉強するのか」の答えだ。
「作品として見える部分は氷山の一角であって、その下には膨大な量の思考が埋もれている」現代の日本人は思考が浅い。それでいて英語力をつけろとは本末転倒。まずは話す内容がなければ英語でも日本語でも話ができない。「主張すべき中身を充実させれば内部からの圧力で表現は溢れてくるもの」
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母性よりの社会である日本において、男の子が男らしさをもった大人になるためのは、特に父親がはっきりした意思と行動を示さなければならないという意見には納得できた。そのことを認識し、責任を持って育児にかかわる父親が少しでも多くなってほしい。
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勉強に対する著者の思いがひしひしと伝わります。
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『リング』原作者、鈴木光司氏のノンフィクション。著者は、勉強の目的は、理解力、想像力、表現力を身に着けるため、「社会をよりよくするため」と言う。
2020.10.09 書評
http://naokis.doorblog.jp/archives/Study_Purpose.html
<目次>
はじめに
第一章 すべてに通じる理解力、想像力、表現力
第二章 明晰に、論理的に、分析的に
第三章 正しい学習法
第四章 世界に通用する論理
第五章 未来をよりよくするために勉強する
おわりに
<メモ>
過去に理想の形があり、文明の進歩とともにそれが失われてきたという考えは、完全に間違っています。過去から現在へと、みんなが手探りで、よりよい方向を目指して行きつ戻りつして進んできたのが世界の歴史です。
勉強へのモチベーションを高めるためには、明るい未来を提示することもまた必要です。(6)
次から次へと垂れ流される情報を鵜呑みにするのではなく、必ず一度疑って、できれば自分で検証してみてから受け入れる、あるいは、自分の意見や考え方をもって情報と接する姿勢がこれからは非常に大事になってきます。(16)
もし子どもに「なぜ勉強をしなければいけないの?」と訊かれたら、親は「社会をよりよくするためだ」と自信をもって答えなければいけません。(40)
論理ではなく、情緒が人々を支配するようになると、世の中は混乱します。(65)
人生において、優れた教師との出会いは子どもの人生を大きく変えます。(94)
(筆者が先生に、先生が自分の書いた最初の小説をほめてくれたことに対し)先生は「私の教育方針は、絵の下手な子がいれば上手いとほめることだった」と言うのです。(97)
実社会においても、競争ではなく、協力が大前提です。(100)
ぼくは、日本は母性の強い社会、非常に女性的な社会だと見ています。一方、欧米は父性が強い、男性的な社会です。(118)
よく昔の日本の男は強かったとか、最近は父親が弱くなったという話がされます。これもまったく間違っていることで、過去の日本で男性優位だったのは、男性が強かったからではなく、女性が男性を甘やかしていたからです。(121)
法律では16歳になれば、バイクの免許を取っていいことになっているにもかかわらず、校則で禁止されているわけです。これは絶対におかしなことだと思います。(125-126)
この取り違えの中に、父性と母性のアンバランス、日本社会における著しい父性の欠落が見て取れます。本来は父親が自分の子どもの成長具合や気性をよく見て、この子はまだまだ未熟だ。自転車の交通ルールものみ込めていないのだから、バイクはなお難しいだろう。安全運転できそうもないから、免許はもうしばらく取らせない方がいい」と判断したなら、バイクを禁止すればいい。(126)
西洋の文物の方に世界に共通する論理があるからだと思います。(133)
特に日本社会で危険なのが男性、男の子を取り巻く環境です。ボーヴォワールは「人は女に生まれない、女になるのだ」といいましたが、それは逆です。人は男に生まれず、教育を受けることによって男になる。性としては、女性は比較的どっしりと安定していて、男性の方がうつろいやすいのです。男の子は放っておいたら中世的になってしまう。特に文明が成熟するにしたがって、男性は女性に近づいていきます。(141)
英語を話すのが苦手なのは、英語力がないからではありません。話すべき中身がないからです。(164)
<取り上げられている題材>
ライブドア事件
生命の誕生
言葉の誕生
脳死
クローン
遺伝子組み換え
特攻
2013.09.23 図書館で見つけて借りる。
2013.10.07 読書開始
2013.10.11 読了 -
「リング」などの著者で有名な鈴木光司さんの書かれた本です。
なぜ勉強するのかの問いに対し、
「理解力」「想像力」「表現力」を身につけ社会にでた時に人類の進歩に貢献することが勉強することの意味、意義との考えを示されている。
まさに勉強そのものに対しての意義は、その通りだと思います。
ただ、これに加え、本書には書かれておりませんが、勉強することに対しては、PDCAや自発、自治、自覚、そして何と言っても「grit」(やり抜く力)を身につけることも大事だと思いました。 -
勉強するんです。
親が勉強の楽しさ大切さを教えるんです。
仕事の楽しさもそう。
未来は希望で溢れてるんだ。
伝えるんだ。
親の背中見て育つとかないから。
しっかりと伝えるんだ。 -
肝心の勉強についての記述は少ない気はするが、興味深い点は多々あった。
特に日本の男性性と女性性の倒置について。
男性性を「論理」、女性性を「情緒」と簡単に割り切ってしまうと、日本は明らかに女性性(情緒)の強い社会だ。
作者はこれまで日本で「男らしさ」と思われていたものは単に男が女に甘やかされたうえにできた空中楼閣であると指摘する。
たしかに「デカダン」や「無頼」といえば男が一度は憧れる「男らしさ」の典型だが、日本文学では太宰治にしろ織田作之助にしろ、なんとも頼りない姿で描きだされる。「女に甘やかされ」ているというのはまさにその通りであるし。でも自堕落な男ほどモテるよね。
「世界に生じるほとんどの悪は、言語運用の間違いから生じている可能性があります。」というのもその通りと思う。
特に友達同士の話し合いの場においても「その場のノリ」や「なんとなく」といった情緒面が優先されることが多く、論理性の強化の必要性はよく分かる。
しかしながら…
社会的な生き物である人間が、こういった情緒過多の日本にいながらひとりだけ「論理的」に振る舞えるものだろうか? 「頭のかたいやつ」と思われるのが関の山じゃないだろか。
とかとか、興味が四散してしまった。
むしろ「日本の女」と「甘えの構造」について好奇心を掘り下げてみたほうが何か近づける気がする。 -
心構えを得るには良い本。
なぜ勉強するのか?
答えは未来を良くするため。 -
サクッと読めていい感じだった。小説をよむきはしないが博学な人だなと知った