神社のルーツ 血統から探る「神様ネットワーク」 [ソフトバンク新書]

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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797333626

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  • だいたいの神社はもともとは社などない地元神から始まっているが、大和朝廷と結びついたことと神仏習合によって、そのネットワークが広がっていった。この本ではたくさんある神社の系統ごとに、「特徴」「発生」「発展」「祭神」「神社」の項目で詳細が淡々と述べられている。一つの系統の神社でたくさんの神様を祭っているが、それなりに特徴はある。都市、山、海、武・文・人神という血統にまとめられている。それにしても神社の系統はいっぱいあって驚くよ。今度神社に行ったときの参考になるかな。

  • 日本全国に存在する神社。
    「血統」で分類し、祀られている神々、歴史等を詳しく解説。
    都市、山、海、武・文・人神の四つの“血統”で分類。
    更に、血統の中を〇〇系・・・稲荷系とか貴船系とか・・・系統に分け、
    それぞれの特徴・発生・発展・祭神・主な神社を説明している。
    海の“血統”一つとっても、八幡系・伊勢系・住吉系・・・等々と、
    様々な系統があり、その発生した場所とその地の自然神、
    結び付けられる神話の神々、仏教等との関わり、
    付随された信仰(海関係以外の五穀豊穣等)が異なっています。
    また、稲荷系や八幡系が多い理由、何故人が神に祀られるように
    なったか等々、興味深い解説が多く掲載されています。
    祀られている祭神についても詳しく、祀られた人物一覧があるのも
    良かった。神社へ行くきっかけにもなります。
    神社文化の入門書としてお勧めです。

  • 系統ごとにまとめられており、多くの有名神社がどういう神様を祀っているか、どうやって全国的に広がる信仰になったのかがわかりやすかった。知らないことも多く、学びがあった。

  • 賀茂系 賀茂神社ー京都ー総本社→全国約1200社の分社
     
            →上賀茂神社ー賀茂別雷神社
                  ー京都市北区
                  ー賀茂別雷神
                  ーかもわけいかづちのかみ
                  ー上社
                  ー別雷は「若い雷」の意。若々しいエネルギーを備えた「神鳴り」
                         
            →下鴨神社ー下社
                 ー玉依姫命ーたまよりひめのみこと
                      ー賀茂別雷神の母
                 ー賀茂建角身命ーかもたけつぬみのみこと
                        ー玉依姫命の父
                        ー賀茂別雷神の祖父
                 ー賀茂御祖神社ーかもおみやじんじゃ
                 ー京都市左京区

            →二社をもって一社と成す。ー葵祭

    賀茂と鴨ー江戸時代の中頃から、特に根拠も無く使い分けられるようになる。

    賀茂信仰は、もともと山城国一帯の信仰だった。
    平安時代に、朝廷の崇敬を受けたことで、神領(社領)が急激に増加。
    その勢いのまま、中世には、上下あわせて全国数十カ所の分社を持つようになる。

    賀茂神は、稲の豊作をもたらす雷神(水の神)。
    上賀茂神社は山背(山城=京都府南部)開拓時から雷神を祀っていた。

    雷神とは火雷神(ほのいかづちかみ)。五穀の生育に関係する雨をもたらし、治水を司る神。水の神でもある。雷神は、農耕を守護する農耕神として信仰される。雷は「神鳴り」のこと。

    『山城国風土記』にある賀茂神社縁起には、賀茂別雷神の神威をあらわすエピソードがある。
    鉄明天皇(539-571)の時代、天候不順により稲の育ちが悪く、農民の憂いが深い年があった。
    欽明天皇がこの問題を神官に占わせたところ、この天候不順は賀茂大神の祟りと出る。そこで賀茂大神の祭祀を行った所、晴雨のリズムが回復し、その年の稲は豊作だった。
    そうして、賀茂別雷神は、祈雨祈止雨・河川の治水・農協守護の神として厚く信仰されることになった。

    玉依姫命を祀る下鴨神社は、井泉神を祀って五穀豊穣を祈ったことが始まり。雨乞い・治水・農業守護の祈願。

    新都造営をする際は、土地の守り神(土地の神霊、産土神)への敬意を示すため、土地の有力神を新都の守り神とする。
    桓武天皇の平安建都時(794年)も、平安建都以前から畿内一円で信仰されていた賀茂神を王朝鎮護神(平安京の守り神)に据えた。
    こうして賀茂神は一地方神から国家神となる。賀茂神社は朝廷との結びつきを急速に強め、社領が増加し、中世以後は、伊勢神宮に準ずる待遇を朝廷から受けることとなった。
    810年(弘仁元年)、嵯峨天皇の時代には、賀茂神社でも皇女を賀茂神社の祭礼に奉祀させる斉院の制が敷かれた。賀茂神社の斉院の制は、後醍醐天皇の時代まで、390年間継承された。

    賀茂別雷神の母神は、玉依姫命。父神は、大山咋神(おおやまくいのかみ)。大山咋神は山の神。
    『山城国の風土記』の丹塗矢伝説には、玉依姫命が父神の賀茂建角身命と川で水遊びをしていると、大山咋神の化身である美しい丹塗矢が流れてきた。それを拾って持ち帰った玉依姫命が身ごもり、やがて男の子を生んだ。
    その男の子は成人すると屋根を突き破って天に昇ったので、雷神のこと分かった。
    その男子は後に神山(こうやま)に降臨し、その霊山を遙拝するために設けた社殿が上賀茂神社の始まりとなった。神山は上賀茂神社の北北西に位置する。

    賀茂別雷神社ー古代の賀茂氏の氏神を祀る神社
          ー天武天皇の六年(678年)に創建される
          →中世ー伊勢神宮に次ぐ国家的崇敬を受ける。
             ー式内社
             ー山城国一の宮
             ー二十二社の一社
             ー旧社格ー官弊大社

    賀茂御祖神社ー東殿ー玉依姫命
          ー西殿ー賀茂建角身命ー賀茂氏の遠祖→賀茂氏は賀茂社の祭祀者
                    ー日向国(ひむかいのくに)の曾峰(そのみね)に降臨
                    →神武東征の際、八咫烏に化身して天皇を大和へ導いた。

    氏神神社の情報が載っていたので借りた。知りたい部分をまとめてみたけれど、実際全然よく分からない。

  • 信仰が全国に広がっていく過程を描いている点が興味深い。もとは自然信仰に由来する神社が歴史の変遷で権門との関係が強化されていくところなど。

  • 分かったこと
    1.神様として実体化するためには、「神様の素」が必要。実体性ある神様、つまり**命(固有名詞)が**神(一般名詞)と呼ばれる神には、霊威(何らかのパワー)を身に付け、操れ、敬われる必要がある。 2.ひとりの神様でもいろんな側面(多重神格)を持っている。3.神社(本社)は神様の自宅、分社は別荘 4.ひとつの神社でもいろんな神様が住んでいる。人間の家と同じ。

    考えたこと
    日本の神様は仮面ライダーとウルトラマンでわかる

  • 大まかな神社の系統分けと、各系統の代表的な神社を紹介したリファレンス的な本。
    まとまってて判りやすい。

  • 神社の系統を網羅的かつコンパクトにまとめた一冊。お勧めです。

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著者プロフィール

1947 年、群馬県生まれ。法政大学卒業。美術関係出版社勤務後、作家に。著書に『怖いくらいわかる日本の呪術』(光文社文庫)、『日本の神様の「家系図」』(青春出版社)、『日本の武器・甲冑全史』(辰巳出版)、『関東の美しい神社』(エクスナレッジ)、『「日本の神様」がよくわかる本』『「日本の霊山」がよくわかる本』(PHP 文庫)等がある。

「2022年 『龍神パワー探訪 全国101社』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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