- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784797337631
感想・レビュー・書評
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『上司は思いつきでものを言う』の橋本さんが書いた『恋愛論』か。面白そうだな、読んでみよう。と、そんな軽いのりで読み始めました。
ただ、今まであまり「恋愛論」なんて読んだことがなかったので、先に柴門ふみさんの『恋愛論』を読んで、少し比較しながら読むというのが私の作戦です。ちょっと甘かったけど(笑)。
柴門ふみさんの『恋愛論』というのは、言ってみれば「恋愛論」の王道です。決してありきたりというわけではないのですが、想定の範囲内というか、読んでいて納得させられることしきりで、よし、これからも恋愛頑張ろうという、ファイトがわいてくる感じがします。
一方、この橋本さんの『恋愛論』は、奇想天外というのでしょうか、少なくとも私の考え得る範囲を完全に飛び越えたところから話が始まります。
例えば、「恋愛っていうのはね、ホントは存在しないもんなんですね。」と言い切られてしまうのが、14ページです。すごいでしょ。253ページもある恋愛論の14ページで、既に恋愛の存在が否定されてしまうという。じゃあ、そのあと239ページは何が書いてあるんだという感じです。
じゃあ、その奇想天外に馴染めないかというと、そんなことはありません。読み進めていくうちに、「なるほどねえ」とうなずいている自分に気づいて愕然となります。そう言われてみれば、『上司は思いつきでものを言う』でも、埴輪を製造、販売する会社が出てきましたっけ。そういう、極端な例を出してくるのが、橋本さんの手法なのかもしれません。
そうかと思えば、183ページでは、「恋愛ってのは、結局、他人という鏡を通して自分をこっそり見ちゃうという、その一点で恐ろしいもんでありますが、…」という、ドキリとするような指摘も平気でしてきます。こういうところが、この本を読む快感でしょうか。
引用の部分を読んでお気づきかと思いますが、全体が語り口調で書かれています。あとがきによれば、1985年11月4日、東京池袋西武百貨店コミュニティ・カレッジで行われた講演が元になっているそうです。
そのせいかどうか分かりませんが、文章として読むには、正直、少し辛いところもあります。講演で聴けば、笑いながら話が進んでいくところでも、自分一人で淡々と読んでいると、それほど笑えるわけではないので、時間ばかりかかって、話が行ったり来たりと思える場所も出てきます。
このあたりは意図的なのか、あるいは、講演をできるだけ忠実に再現したせいなのか、私には判断しかねます。もっとも、最近の若い人は、こういう文体の方が読みやすいのかも。何しろ、私は40歳のおじさんですので(笑)。
最後に、この本は最初の講演から実に20年以上が経過していることになります。当時、この本がもたらしたであろう衝撃は、今とは比較できないほど大きかったと思われます。残念ながら、今は何でもありになりつつあるので、これくらいでは驚かない人も多いのかもしれません。
どちらにしても、自分で当たり前と思っている恋愛観を、たまには思いっきり揺すぶられてみると、決して無駄ではないと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
内容を忘れてしまう感じ、楽しかったような…?
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この話が「暁闇」になっていたことを知った。「好き」で始まる、じゃなくて「好き」で終わる=ハッピーエンドかあ。
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読みづらい。講演会のテープおこしがもとになっているようなので、途中で挫折する。。。
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初、橋本治。何度か読むの、やめちゃいそうになったのです。なぜかというと、ゲイの人でミソジニーが内面化されてない人を見たことがないって誰かの言葉を彷彿させる、まさしくミソジニーが著者にはあるっていうのが1点。つまり、「女って・・・」みたい語りに、ちょっとむかむかした部分があった。そんで、2点目が、独特の語り方に慣れるのが時間がかかってしまったから。そう、語り方が<ゆっくり>なのです。普段、私は、如何に短い時間で、本を読み終えるかっていうのが、結構自分の中で大きいんですね。やっぱ、短い時間で多くの本を読みたいっていう欲望があるから。もちろん谷川俊太郎とかは別だけどさ。だから、進まないのに、スピードにのれないのに、むかむかしちゃったのよねー。でも、これ、こーいう<ゆっくり>な本なのねーって気づくと、平気になって、焦りがなくなって、逆にスラスラ進むのでした。