- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784797344998
作品紹介・あらすじ
気がつけば、世の中には「自分探し」と密接に関わる現象が満ちあふれている。海外放浪やバックパッカーなどの"外こもり"、自己啓発ムーブメントやフリーター増加、路上詩人やホワイトバンドなどなど…。若者を中心として、「自分探し」が止まらなくなっている日本の姿を赤裸々に暴き出す一冊。夢を追っているうちに「自分探し」の落とし穴へ転落しないための社会の歩き方。
感想・レビュー・書評
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地域資源長屋なかむらの本棚より。
(Iさんご提供の本は、面白いと、最近「ぐ」マークの本を読んでいる。)
これはいい本。
ただの若者批判の本ではない。
世の中の自己啓発セミナーも、テレビのあいのり、路上詩人、筆で書いた人生訓が貼ってあるようなラーメン屋も、元は一緒で、自己啓発の手法。
人の弱いところに入り込む、「自分サガシホイホイ」。
“自分らしく、やりがいのある仕事をしたい。自分のやりたいことをする生き方をしたい、それが、かっこいい”という志向自体も実は、企業が仕掛けたもの。人の生き方、志向は人々が志向しているようで、仕向けられているものなのだと思った。
社会を俯瞰するような本で、回答を示したわけではない。回答のないものだからこそ、わかりやすい回答を示しているものに、人は引き込まれているってことだな。
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自分探しホイホイに、NGO、NPOもあるとしていて、
「わかる!」と思った。
私は、大学卒業書店でフリーターで、25歳の時に、NPOで働いた。・・こうした経歴、本の中にある若者そのもの。その時を思うと、一般企業でやっていけるとは、思えなかったと、いうのも根底にあるように思う。
NPOで働く中で、「普通の会社で働きたくない、社会貢献を仕事にしたい」と、夢とか期待とかを抱いて、やってくる学生を多く見た。社会にいいことしている、社会に優しそう、通常の会社ではやれないことをしている、すごく素敵に見えて、そうした学生はやってくる。
社会に優しそうに見えるから、自分に優しいわけではないというか、楽しいことばっかりやっているわけではない。「仕事」としてやっているのは同じなので、楽しいことを支える、日々淡々と続く、ルーチンワークも、
多忙な日々もある。それを見て、NPOも会社とおんなじなんですねって言って去っていく。
この本では、NGO,NPOがさまよっている若者をつかまえ、よからぬことをする組織として書かれているので、
そんな存在として思ってもらったら嫌だ・・と思った。。。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最後の考察がエーリッヒフロムの「自由からの逃走」だなあ
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978-4-7973-4499-8 218p 2008・2・29 初版1刷
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自分に選べる自由がないのに、自己選択を要求される世の中では、自分探しという活動が行われる。
その自分探しとは何かということを、時代背景(流行した、ドラマ、音楽など)から、紐解いていき、社会的な現象となっている経緯みたいなものを紹介している。
読んでみて思ったのは、目的というものは、内面からふつふつと湧いてくるもので、それがないときは動く時ではないということ。現代は、ITでマニュアル化されているので、転職しても、やりがいを感じられることは少ないだろうということ。であるならば、やりがいとは、マニュアルなどなく、自分で動いて何かをやること。その何かは、湧いてくるものだから、他人から与えられるものではない。ま、人と関わりがあれば、その分内面に変化をもたらすきっかけになるので、はじめの一歩はコミュニケーションかな。
以下はメモ。
働く場所が変われば給料が倍になるのが、グローバル社会。
目的意識を持てと強要されることが、強いてはやりたいことは何かを決めさせられる。
すべての人が夢を追いかけると、一部の成功者と、圧倒的多数の敗者が生まれる。
代替可能な仕事にはやりがいが生まれにくい。
やりたいことというのは、内面にあるもので、人とコミュニケーションをとって身に付けるものではない。 -
自分探しという言葉から、メーテルリンクの青い鳥を思い出す。
あちこち探してみたけれど、結局はうちにいた青い鳥。
それに気づかない愚かさを笑うのではなく、あれこれ見て経験して来ないと、自分ことや幸せについて分からないのかもしれない。
この本では、
自分探しとはなにか。
自分探しの流行の背景。特に就職問題。
自分探しの落とし穴。(自分探し者をターゲットにしたビジネス)
なぜ自分探しが止まらないのか。
について論じているが、
では結局どうしたら良いのかについては言及されていない。
答えはないのだと思う。
私は、自分探しは、有る程度豊かになった社会には現代の日本に限らず存在していたと思う。
ただ、地に足をつけて生活しなくてはならないリミットがはっきりとあり、今の若者たちのようにいつまでも自分を探してはいられなかったということだろう。
次々と目先の新しい自己啓発やスピリチュアルに飛びついても自分はみつからない。
自分を大切にとか自分を信じろという言葉には着いていくのに、
最終的に判断を他人に任せている姿は、著者がなんと言おうと、滑稽だと私は言いたい。
自戒も込めて。 -
人生をどう過ごすのか、解決の手掛かりを模索するために読んだが、余計にわからなくなった。
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”自分探し”を礼賛してきた私に、しっかりと別の視点(その裏で経済活動が動いていること等)を与えてくれた本。良書。
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「ねるとん」世代の3高から、「あいのり」世代のありのままの自分という対比に自説を組み入れるとするなら、「建前」から「本音」へと時代が変化したことの象徴的な事例とも捉えられる。
自分探しが果ては新興宗教の洗脳テクニックへと繋がるくだりは面白い。 -
高校の進路相談をうけた頃から、「どんな仕事に就きたいのか」「将来の夢は?」という問いの答えが見つからない。大学卒業と同時に行う就職活動で自己分析を行ったが、考えれば考えるほど自分が本当にやりたいことがわからなかった。今もビジネス書の自己啓発本ばかり読んでいるこの状態がなんとなく分かった気がした。
じゃあどうしたら良いのかはやっぱりわからない。