イーグルに訊け インディアンに学ぶ人生哲学 (ソフトバンク文庫 テ 1-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797349979

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  • ベトナム戦争に反対し、西洋近代社会に反発した1960〜70年代のヒッピーたちは、ネパールやインドで修業をして、禅、仏教、ヒンドゥー教、瞑想法などを学んだが、精神的に高い境地に達しているアメリカインディアンの長老たちが存在していることに気づき、弟子入りした。その後、ヒッピー文化はサイコセラピーの形に生まれ変わり、心理学と結びついて洗練された形へ昇華されていった。

    インディアンの世界観には、8つの特徴がある。
    ありとあらゆるものは創造主ワカンタンカがかかわっている。自分の頭で考えるのではなく、ワカンタンカの意思にゆだねて生きる他力(イーグルに訊け)
    感謝
    身の回りにあるものや自分の身に起こることをすべて受け入れる受容
    人間だけでなく、動物、植物、鉱物、水、火を含む平等感
    他人の尊重
    自分の持ち物を人々に分かち与えるギブアウェイ精神
    宇宙やそのすべての力との間につながりや一体感を見出す平和
    自然のすべてが形を変えて移り変わり、全体のバランスの中で息づいている循環

    キリスト教では死んでから天国に行くことが重視され、仏教は肉体を持つことが苦しみと考え、悟りを開いて輪廻転生から抜け出すことをめざすので、どちらも現世に対して否定的だが、インディアンは、今ここに生きていることを肯定的に捉えている。

    「我々は、母なる大地から恵みをいただいて生きている。すべての人が必要もないのに人と同じものを持ちたがれば、母なる大地は傷ついていく。必要なものは、それを必要とする人のところにあればいい。」

  • 伝統派インディアンの長老は、「わしらは全てつながっている」
    というところから世界をみつめる。自分の幸せは自分だけで築けるものではなく、
    他の人々、植物、動物達全ての幸せと繋がらなければ完結しない事を知っている。

    インディアンの8つの世界観
    1、他力
    全ての生きとし生けるものを救うというワカンタンカ(神のような存在)を信じ、
    エゴを手放して(自分の頭で何をしたい、何をしなければと考えず)、
    ワカンタンカの意思に委ねて生きる。

    2、感謝
    全てのモノコト、当たり前の日々の尊さに感謝する。

    3、受容
    自分の身の回りにあるものや自分の身に起きる事全て創造主からのプレゼントとみなし、
    全部を受け入れていく。外部を変えようという姿勢はとかく自己中心的になりがちで、
    思ったようにならないと不平不満につながりやすい、結果、暴走したエゴが激しくぶつかり合う極端な競争社会が出現した。

    4、平等感
    祈りの最後に唱えるAll relatives。
    全ての人間、動物、植物、鉱物、水、火といった存在するもの全てが親戚であり、
    兄弟である。
    人間が命の糸を編んでいるのではない、人間はその中の1本の繊維にすぎない。

    5、尊重
    年齢、性別、身分を差別する事が一切なく、
    話し合いの時には子供含め全ての人に発言権があり、
    発言者の発言を他人は一切遮ってはならない。

    6、ギブアウェイ精神
    他人が必要とする時、自分の持ち物を人々に分ち与える風習。
    分かち合えばあうほど、神はわしらに分かち合う為のものを与えてくれる。
    わしらは他人と分かち合う時、本当は神と分かち合っているんだ。

    7、平和
    宇宙の中心は宇宙のいたるところに同時に存在している。
    我々一人一人の身体の中にも宇宙の中心があり、ワカンタンカが住んでいる。
    そして、それぞれの人が自分の中のワカンタンカと繋がる事が真の平和であるという事。
    一番重要な最初の平和は、人の魂の中に生まれる。
    人間が宇宙やそのすべての力との間につながりや一体感を見出せた時、
    その平和が生まれるのだ。

    8、循環
    自然とは本来、全てが形を変えて移り変わり、全体のバランスの中で息づいているもの。
    だが、彼らにエコロジーの発想はない。なぜなら彼らは生き方そのものが
    自然と一体になっているので、川の上から水面をみていないのである。
    (水の中に住む魚に水という概念はない。)

    私達の苦しみの根源には、宇宙から切り離されたという感覚がある。
    もともと母親の胎内にいた時は、母親を通して宇宙と繋がっている感覚があるのに、
    生まれた瞬間、へその緒を切られて母親から離されると同時に、
    宇宙からも切り離された感じがしてしまう。それをセパレーション感覚という。


    年齢の無い木なんて弱いし語るべき歴史を持たない。
    わしらは年を取ると長老になるが、白人は年を取っても老人になるだけだ。
    しわを取る老人は生きてきた人生に語るべき歴史がないのだろう。

    人間は生まれてくる時に苦しくて大泣きするが、周りの人達は新しい命を大喜びで迎える。
    正しい死に方とはその逆で、本人は満ち足りた心で死ぬが、
    周りの人はその人を惜しんで大泣きする。

    脳の中には1億4千万個の脳細胞がある。(日本の人口に近い。。)


    今、生きている事は奇跡なのだ
    亡くなった子の夢は「大人になる」という、
    誰もが願わなくても手に入れられるはずのものでした。
    私達大人の一人一人は、大人になれずに亡くなっていった子供達の
    「夢の世界」で生きているのです。
    そう思うと、今生きている事のかけがえのなさが、本当に身にしみます。


    成功者や自己実現というのは、ふつう考えられているのとは反対で、
    足りない中で足りていると気づく事。

    海原で栄養を集めて大きくなった魚がいまここにあり、
    それが自分の身体に同化していくのだという発想が食べ物を頂く原点だし、大切だと思います。

    正見
    目で、耳で、舌で、全ての感覚を開いて見てごらん。
    それがこの瞬間、この1日を味わって生きる事だ。

    おまけ
    ウィルバー「万物の歴史」
    人類の歴史や神話を分析して、
    紀元前20万年前から同1万年前までをデュポーン期と呼んだ。
    紀元前1万年になると農耕が始まる。
    紀元前3000年になると人類に自我意識が生まれる。
    (神話に英雄が登場し始める。母なる女神が消滅する。)

    ウィルバー「アートマンプロジェクト」

    グロフのブレスワーク
    独自の呼吸法(深く速い呼吸)と喚起的な音楽とボディーワーク、アートセラピーを組み合わせ、
    日常意識より深いレベル(変性意識状態)の気づきを促す。

  • アメリカネイティブの叡智を
    私たち日本人が取り入れる必要性を説く

    押し付けがましさもなく、こんな視点もありだなと思った

    理論武装で疲弊した現代に必要だと思った

    聖なるパイプ、踊り、子供と老人を離さないなど

  • シンクロとかオカルト系だと思って信じていなかったけど
    衛藤先生の実体験を読んでいると不思議なことってあるんだなぁ
    と思えました。

    そしてその不思議な出来事にはやっぱり目には見えない
    自然の力があるんだと。

    インディアンの言葉もいいものばかりですね。
    現代に忘れられてしまっている大切なものが沢山インディアンの言葉にはつまっていると感じました。

  • 天外さん、衛藤さんの本。インディアンの思想や歴史を実体験から語っています。物質に幸せを求める日本人に、インディアンの思想が響くのではないでしょうか。読みごたえあります。

  • 「年寄りと子供は離してはいけない」という教えになるほど一理あるな、と感心。なるほど、相手して欲しい子供とそれに付き合える年寄りの暇さ加減、大人の忙しさ、並べてみると時間感覚が違ってくるからか。それぞれのロールをこなせるのは社会の一翼をになっている感覚を持ち続けられるので、構成員にとってすみ良い社会なんだろうなと思う。

    こういった、わかっていそうでわかってないことが認識できるのは非常にいいです。

  • 感謝すること。

  • お年寄りと子供を離してはいけない。彼らを引き離すことは、過去と未来を断つことと同じだ。
    息を吸うことは母なる大地からエネルギーをもらうこと、息を吐くことは私達の思いを大地に伝えることだ。
    私たちが本当に学校で学ばなければならないのは、自分には人に喜んでもらうことができるという自信なのです。
    言葉は、単にコミュニケーションの道具ではなく、魂そのものなのです。
    感謝の心は、相手を失って初めて実感できるのです。
    大切なことは自分ができる範囲で人に役立つことです。
    真実は、自分の中に存在しています。けれど、合理性を追求する社会では、人々は手っとり早く書かれたものをほしがります。


    2011.7.10 完読

  • 日本人から見たインディアンの姿と、その人生観。

  • アメリカインディアンの伝統文化を通じて大切なことたくさん教えてくれた本。民主的な共同体だったイロコイ族の文化がアメリカ建国時の民主主義の思想に影響を与えたこと。不登校の女子高生がトマトづくりを通じて自分を肯定できるようになったこと。老人と子供を大切にする文化。
    子供にとってお年寄りは、親とは違う視点で見守り、認めてくれる存在だと思います。お年寄りにとっては子供と触れ合うことはなによりの活力源になるでしょう。
    地域のお年寄りと子どもが触れ合う場所があればなあと思いました。

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著者プロフィール

工学博士(東北大学)、名誉博士(エジンバラ大学)。1964年、東京工業大学電子工学科卒業後、42年間ソニーに勤務。上席常務を経て、ソニー・インテリジェンス・ダイナミクス 研究所(株)所長兼社長などを歴任。現在、「ホロトロピック・ネットワーク」を主宰、医療改革や教育改革に携わり、瞑想や断食を指導。また「天外塾」という企業経営者のためのセミナーを開いている。さらに2014年より「社員の幸せ、働きがい、社会貢献を大切にする企業」を発掘し、表彰するための「ホワイト企業大賞」も主宰している。著書に『「ティール時代」の子育ての秘密』『「人類の目覚め」へのガイドブック』『実存的変容』『ザ・メンタルモデル』(由佐美加子・共著)『自然経営』(武井浩三・共著)『幸福学×経営学』(小森谷浩志・前野隆司・共著)『人間性尊重型 大家族主義経営』(西泰宏・共著)『無分別智医療の時代へ』『「自己否定感」』『「融和力」』(いずれも小社刊)など多数。2021年の夏、これからの生き方や在り方、暮らし方をみんなで学ぶオンラインサロン「salon de TENGE」をスタートした。

「2022年 『「正義と悪」という幻想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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