雇用危機をどう乗り越えるか (ソフトバンク新書 104)
- ソフトバンククリエイティブ (2009年5月16日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784797354393
感想・レビュー・書評
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雇用危機を日本社会が克服するべく、リーマンショックの際に出版された本。読むのには時期はずれだけど、企業のリストラの基準や著者が日本への導入を提案しているデンマークの雇用や社会保障のシステムが分かって面白い。
正社員は決して恵まれているわけではないという著者の主張には共感する。過労で倒れる正社員は少なくないし、家族がいても遠方への転勤はしょっちゅう行われている。
この本にも「ブラック企業」という言葉が登場する。当時はまだメジャーになっていなかった。今はみんな知っている。それだけ日本の雇用環境が悪くなったってこと?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
少し前の視点で読んで、面白かったです。
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好景気が何年も続いて雇用情勢が良くなっていた昨年から急転直下して失業率が高くなりました、あっという間の出来事ですが、最近の雇用情勢はかなり厳しくなっているようです。最近知り合いが転職したのですが、彼は運良く見つかったようですが、探している最中もこの1年での変化は凄いものだと言われたそうです。
好況時にはサービス残業が問題になり、不況になった瞬間に失業問題が起こることを考えると、労働者にとっては暮らすのが難しい時代なのだなと痛感します。
以下は気になったポイントです。
・昨今の雇用情勢の特徴として、1)不安定さ、流動性の高さ、2)高失業率社会、3)失業率が高いにも拘らず、人で不足、である(p21)
・労働者にとって悲惨な社会ができた理由として、1)雇用のミスマッチ、2)企業経営が不安定で、人件費を削ろうとしている、である(p41)
・人手不足になっている業界として、1)労働条件が悪い、2)手厚い終身雇用で守られている中高年正社員が多い、3)求められる能力を満たす人が少ない、である(p50)
・人口減少、高失業率社会を生み出した原因は、1)産業構造を高度化することに遅れた、2)旧来型の産業構造を維持する雇用政策(派遣労働を中心とした非正社員化政策)、である(p56)
・休業する正社員は、派遣切りの6倍(90万人)もいる(p122)
・雇用ミスマッチが起きている原因として、1)有効求人倍率が1を大きく超えた職業には誰もなりたがらない、2)逆に1を下回る職業では労働条件が悪くなく、先に参入した中高年者が職業を独占している、がある(P147)
・今後、雇用の多様化の軸となるのは、正社員・非正社員、終身雇用・中途採用、直接雇用・間接雇用、アウトソース・インソースの4つである(P162)
・自転車操業でも回っている業界として、仕事が極端にマニュアル化、一部の社員の働きが大きい、営業実績次第で高給を得られる、経営者自身の才覚等の要因が挙げられる(P180)