雇用危機をどう乗り越えるか (ソフトバンク新書 104)

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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797354393

感想・レビュー・書評

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  •  雇用危機を日本社会が克服するべく、リーマンショックの際に出版された本。読むのには時期はずれだけど、企業のリストラの基準や著者が日本への導入を提案しているデンマークの雇用や社会保障のシステムが分かって面白い。
     正社員は決して恵まれているわけではないという著者の主張には共感する。過労で倒れる正社員は少なくないし、家族がいても遠方への転勤はしょっちゅう行われている。
     この本にも「ブラック企業」という言葉が登場する。当時はまだメジャーになっていなかった。今はみんな知っている。それだけ日本の雇用環境が悪くなったってこと?

  • 少し前の視点で読んで、面白かったです。

  • 好景気が何年も続いて雇用情勢が良くなっていた昨年から急転直下して失業率が高くなりました、あっという間の出来事ですが、最近の雇用情勢はかなり厳しくなっているようです。最近知り合いが転職したのですが、彼は運良く見つかったようですが、探している最中もこの1年での変化は凄いものだと言われたそうです。

    好況時にはサービス残業が問題になり、不況になった瞬間に失業問題が起こることを考えると、労働者にとっては暮らすのが難しい時代なのだなと痛感します。

    以下は気になったポイントです。

    ・昨今の雇用情勢の特徴として、1)不安定さ、流動性の高さ、2)高失業率社会、3)失業率が高いにも拘らず、人で不足、である(p21)

    ・労働者にとって悲惨な社会ができた理由として、1)雇用のミスマッチ、2)企業経営が不安定で、人件費を削ろうとしている、である(p41)

    ・人手不足になっている業界として、1)労働条件が悪い、2)手厚い終身雇用で守られている中高年正社員が多い、3)求められる能力を満たす人が少ない、である(p50)

    ・人口減少、高失業率社会を生み出した原因は、1)産業構造を高度化することに遅れた、2)旧来型の産業構造を維持する雇用政策(派遣労働を中心とした非正社員化政策)、である(p56)

    ・休業する正社員は、派遣切りの6倍(90万人)もいる(p122)

    ・雇用ミスマッチが起きている原因として、1)有効求人倍率が1を大きく超えた職業には誰もなりたがらない、2)逆に1を下回る職業では労働条件が悪くなく、先に参入した中高年者が職業を独占している、がある(P147)

    ・今後、雇用の多様化の軸となるのは、正社員・非正社員、終身雇用・中途採用、直接雇用・間接雇用、アウトソース・インソースの4つである(P162)

    ・自転車操業でも回っている業界として、仕事が極端にマニュアル化、一部の社員の働きが大きい、営業実績次第で高給を得られる、経営者自身の才覚等の要因が挙げられる(P180)

  • [ 内容 ]
    世界的経済危機で未曾有の雇用不安に襲われる中、厚生労働省の元キャリア官僚が、5年先の雇用情勢のシナリオを提示。
    人口減少・高失業率社会となり、日本経済が減退する下、個人ならびに国はどう対処すべきか。
    高失業時代の深層を解明し、雇用不安のアリ地獄を抜け出す策を明快に説く。
    本当の雇用危機はもうすぐやってくる。

    [ 目次 ]
    序章 あっという間にリストラ・倒産の時代
    第1章 なぜ人口は減少するのに失業率は高まるのか?
    第2章 派遣切りがもたらす非正社員制度の危機
    第3章 正社員と企業を取り巻く環境
    第4章 雇用を巡って多様化する日本企業
    第5章 政府に求められる政策とコンセンサス形成の重要性

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著者プロフィール

神戸学院大学現代社会学部教授。1964年、奈良県大和郡山市生まれ。同志社大学文学部英文科卒業、The School of Public Polich, The University of Michigan 修了(公共政策修士)、新潟大学大学院現代社会文化研究科(博士後期課程)修了(経済学博士)。大和郡山市役所勤務ののち、旧労働省入省(国家公務員Ⅰ種試験行政職)。厚生省生活衛生局指導課課長補佐(法令担当)、新潟県総合政策部情報政策課長、厚生省大臣官房国際課課長補佐(ILO条約担当)を経て、2004年公募により兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科助教授、その後教授。2014年より現職。2007年官房長官主催の「官民人材交流センターの制度設計に関する懇談会」委員、2008年からは国家公務員制度改革推進本部顧問会議ワーキンググループ委員を務める。主な著書に、『天下りの研究』『公務員バッシングの研究』(明石書店)、『政治主導はなぜ失敗するのか?』(光文社新書)、『間違いだらけの公務員制度改革』(日本経済新聞社)、『財務省支配の裏側』(朝日選書)など多数。

「2018年 『没落するキャリア官僚 エリート性の研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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