デジタル教科書革命

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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797360264

作品紹介・あらすじ

デジタル教育の後進国になってはいけない。デジタル教科書革命切り拓く未来。

感想・レビュー・書評

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  • 田原氏の「https://booklog.jp/users/nsugiura/archives/1/4591120686緊急提言! デジタル教育は日本を滅ぼす」に続き本書を読む。現在のデジタル教育に関する話題が包括的に述べられており、分かりやすい。国内外の先行事例が豊富で、デジタル教材の取組みも多く書かれている。不安があるとすれば、現場教師目線の論点が足りないこと。

    たとえば、デジタル教材のメリットとして、生徒に個別対応ができることを述べている。画一的なテストではなく、間違えたところを繰り返しテストするなど、生徒単位で出題を変えることは技術的には問題ない。しかし、生徒一人ひとりが別々のテストを受けているという状況を、先生はどのように管理していけばよいのだろうか?

    こうした現場レベルの運用についての考察が浅いと感じた。学校の先生方が本書をどのように評価するのか、伺ってみたい。


    目次
    はじめに 3
    第1章 デジタル教育が日本を救う 13
    第2章 世界はもうここまで進んでいる 79
     2−1 世界をリードする勧告
     2−2 政府主導のシンガポールと台湾
     2−3 先端を切り開くアメリカ
     2−4 学校主導型のイギリス
     2−5 マゼランのポルトガル
     2−6 青山小学校のデジタル授業
     2−7 ニンテンドーDSの活用
     2−8 公立小学校のチャレンジ
     2−9 NPO法人「CANVAS」
    第3章 電子書籍端末の現在 131
    第4章 進化するデジタル教材 181
    第5章 これからの課題 233
    おわりに 277

    メモ
    36 これまでの教育では、より多くの知識を得ることに評価の力点が置かれていた。しかし、情報があふれる社会では(中略)多くの情報から必要な情報を選択し、再構成し新しい価値を生み出す力が求められる。
    36 MITのシーモア・パパート教授は言う。「医療技術は進化した。タイムマシンで19世紀の外科医が現在の手術室にやって来ても、何一つ仕事ができないだろう。だが、19世紀の教師がやって来たら、きっと何とかやっていけるだろう。教授法はこの150年で変化していないからだ。」
    1−10 教育情報化のメリット 67
    コンテンツやアプリケーションがデジタル化することでもたされるメリット
     わかりやすくなる。
     楽しくなる。
     繰り返せる。
     創作・表現がしやすい。
    「つながる」ことの効用
     共有できる。
     世界の知識を得られる。
     世界とコミュニケーションできる。
     どこでも学べる。
     個別に対応できる。

    108 港区立青山小学校
     他のチーム員と画面を共有するのだが、チーム員が誰なのかはヒミツ。
     コミュニケーション力を高める授業(?)
     ところがうまくコミュニケーションが取れず喧嘩になる。
     「なぜ戦争が起こるのか?」
    120 和歌山市 マイクロソフトと連携し全52校の小学校に1300台のタブレットパソコンを導入。
    121 富山市立中央小学校。朝の一分間スピーチ。
    128 慶應義塾大学 ワークショップコレクション コンテンツを創作する子ども向けワークショップの展示会

    136 OLPC=ワン・ラップトップ・パー・チャイルド
    139 佐賀県武雄市 iPadを導入する方針
    143 「eインク」電子ペーパー技術。電子のインク一粒一粒が電磁的な刺激で白黒反転するといった仕組み。バックライト不要。いったん表示された画面はほとんど電池を消費しない。

    193 OCW=Open Course Ware
     大学や大学院などの高等教育機関で正規に提供された講義とその関連情報を、インターネットを通じて無償で公開する活動。シラバス、講義ノート、講義スケジュール、参考文献、課題、試験、講義映像。
    212 「NHKデジタル教材」
    213 学校の教室でテレビを見て学ぶというのは日本の特徴の一つだ。
    219 出版業界 2009年34億冊、1兆9356億円。1996年2.6兆円。
      出版社数 1997年4612社→2008年3979社
      電子書籍 2008年 464億円、前年比31%増、うち携帯電話402億円、PC62億円。
           マンガ350億円、文芸60億円、写真集53億円。
      アメリカの電子書籍市場は約300億円
      電子辞書 2008年、250万台、413億円
    226 「国立国会図書館デジタル化」2009年補正予算127億円、1968年までに刊行された図書75万冊のデジタル化
    228 4−10 教材2.0
      「TOSSランド」 教材をみんなで作ってみんなで共有する仕組み。2009年9月時点11000点の教育コンテンツ

  • 当時のICT教材の状況について海外の事例及び,国内で試験的に導入しているところの取り組みを紹介する内容.
    貸し与えるにせよ,モラル作りをした上で持ち込みを許可するにせよ,学校で1人1台常に使える電子端末を持たせることは,速やかに実現されるべきものと考える.

  • 技術的なこと、可能性・・
    いろいろ分かった。
    細かい技術論になればなるほど反対派に取り入られる隙ができてしまう様な。
    でも、末端でどうこう考えるのではなく、トップダウンでの決断が一番求められているのだろう。
    政治的な問題の犠牲にしてはいけないことは確か。

    2回目:印象はあまり変わらず

  • 昨今の機器の進化を踏まえて、情報機器を取り入りた教育がどのように展開されていくのかを説く。iPad,Kindleのような電子書籍端末の普及に合わせて、デジタル教材の充実が未来を切り拓いていくだろう。
    ICTの教育利用が、新たなフェーズに突入したことを実感する。

  • 各国との比較、デジタル教材ソフト、サイトの紹介など、非常に参考になった。
    また、今後の課題などが明確に提起されており、考えさせられるものであった。
    2010年10月に発行された本書を、2013年8月に読んでいると、この分野の進行の速さをまざまざと思い知らされる。

  • デジタル教科書について大活躍中の慶応大学中村教授による著作。とある機会に聞いた講演とかなり重なっていたのだけれど、デジタル教科書の必要性と日本の現時点での導入状況がよくわかる。そして、なによりも「未来にデジタル教科書が普及していくとこうなる」という期待を感じさせてくれる。
    記述が総花的で断片的な感じは拭えないけど、面白くはあった。

  • 結構ページ数があるのに、心地よい文章量、テンポ、版組のおかげで、すいすいと読めた。

    最新の情報ばかりなので、賞味期限が短いのは分かるが、出版して1年少しで絶版状態なのが、残念なほど、よくまとまっていた。

    ・デジタル教科書+情報端末=1.自ら作って表現する想像力・表現力を養う。2.教室でも、校庭でも、生成・生徒とつながって共有する。3.世界とつながり、多様な知識と価値観を得る。
    ・21世紀に求められる能力=情報活用能力
    ・デジタル教科書は状況に時々刻々対応、アップデートできる。これと検定制度は相容れない。
    ・ワークショップコレクション http://www.wsc.or.jp/
    ・OLPCとSUGAR http://wiki.laptop.org/go/Sugar
     (参加・継続・表現・観察・思案・応用。共有、思考、表現)
    ・映像、創作アプリ、モバイル学習の紹介
    ・クラウドの課題:1.データ管理 2.認証の安全性 3.システムの安定性 4.セキュリティ管理 5.対監査性
    ・NHKクリエイティブ・ライブラリー http://www.nhk.or.jp/creative/
    ・デジタル教科書の目標、条件

  • 読みたい。

  • アメリカでもデジタル教科書の市場は注目されている。情報端末や教材というコンテンツの大型ビジネスにもつながる。
    2007年の世界じゅうのブログは37%が日本語で33%の英語を抜いて、世界一になっている。電子書籍市場として成立しているのは、携帯電話と電子辞書だけ。
    技術は大丈夫だが、ビジネスモデルが成立するかどうか。

  • 今年最初の本は、自分の仕事に関係するものからと思い選んだ一冊。

    学校教育とICT(Information and Communications Technology)、教材のデジタル化に興味のある人にはおすすめです。

    世界の状況、日本の現状を把握できることは非常に参考になります。

    アナログな黒板がいいとか、悪いとかではなく、現在ある技術で、より効果的な教育方法、教育教材をどうするかといった視点で見ることが僕は大切と考えています。

    新しいものを取り入れるには、必ず、問題点だけとりだして反対する人たちがいますが、時間はどんどん流れていくのです。

    今、国、地球にとって何が必要かと考えると、そこの根源は教育にたどり着くのではないでしょうか。

    ネット環境が揃っている日本は、先駆けて取り組みそれを世界に波及させ、人材を育成する責任があると考えています。

    そのためには、教師だけではなく、学校職員、保護者も巻き込んだサポートが不可欠です。

    もし、今、僕が学校を作るとしたら、アップル、グーグル、マイクロソフト、ソフトバンクといった企業と一緒に学校、教育コンテンツ、教授法を開発していきたいと思います。

    もちろんもっともっといろいろな分野の企業、従来からある日本の教科書会社とも組んでみたいと思います。

    巻末にあったデジタル教科書教材協議会に専門学校の名前がないのが寂しいと思いますし、入らなければならないと思います。

    巻末のURLとても参考になりますが、サイトにリンク集を作ってもらってそこからいけると更によかったと思います。

    モバイルサイトであれば、QRコードですね。

    今年、最初の1冊 読了。

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著者プロフィール

慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授。1961年生まれ。京都大学経済学部卒業。慶應義塾大学で博士号取得(政策・メディア)。1984年ロックバンド「少年ナイフ」のディレクターを経て郵政省入省。通信・放送融合政策、インターネット政策を担当。橋本行革で省庁再編に携わったのを最後に退官し渡米。1998年MITメディアラボ客員教授。2002年スタンフォード日本センター研究所長。2006年慶應義塾大学教授を経て現職。

「2017年 『ポスト2020の都市づくり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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