巨人たちの落日(上) (ソフトバンク文庫)

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制作 : 戸田 裕之 
  • SBクリエイティブ (2011年3月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797362732

巨人たちの落日(上) (ソフトバンク文庫)の感想・レビュー・書評

  • 第一次世界大戦は、国家全体を戦争にまきこみ、有り様を変化させる「総力戦」の端緒、かつヨーロッパを中心に多数の国家が戦闘に参加する世界規模の戦争でした。
    この戦争を背景に、国籍や階層が異なる8人の男女が運命に翻弄される様を描いた小説です。
    彼らの生まれは英普露米の各地にちらばり、経歴も貴族から炭鉱夫と異なります。

    戦争を扱った小説でありながら、戦場や戦局についてはかなりあっさりとした描き方です。
    まず登場人物は全員民間人で、徴兵や志願で戦場に赴く人も居るとはいえ、職業軍人ではないので、戦争によって変わっていく銃後の社会が十分に描かれます。
    愛国心が刺激される戦争中なのに、国家のためにすべてをささげよう!ってキャラクターが少ないのが興味深いです。ガチガチの愛国者は一人か二人しか出てきません。
    大抵の登場人物は戦争中でもしっかり権利を主張し、あるいは個人的な欲望のために動きます。

    史実に題材をとった日本の小説と異なり、重点が置かれているのは人物であって、戦争はその道具立てにすぎません。
    日本の歴史小説は、人物を通じて歴史そのものを描こうとしたり、作者が地の文で歴史について解釈を述べるものもありますが、それに比べて戦争や政治の推移の描写はかなり控えめで、登場人物が冒険と恋と危機にどう向かい合うかが主に描かれます。
    日本だと司馬遼太郎や古くは山岡荘八や吉川英治がTVドラマ、ゲームと並び歴史趣味の入口ですが、イギリスだと違うのかな…

    登場人物が多く舞台も広いのに3巻でコンパクトに話をまとめています。
    8人それぞれに活躍し、オチをつけ、いくつかの有名な会戦の描写に加え、銃後についても分量を割き、ロシアの崩壊、イギリスの社会構造の変化、ドイツの飢餓、アメリカの豊かさなどにも触れており、これで3巻しか必要としないのだから恐るべき効率の良さです。
    登場人物が直接経験しないエピソードは大胆に整理した結果ですね。

    史実のなかに自分が考えたキャラクターをはめこむ小説ってイギリス人好きですね。そのノリが好きならおすすめです。
    結局おすすめかどうかを聞かれたら、そういう感じでございます。
    「鷲は舞い降りた」とか「女王陛下のユリシーズ号」とか、「アイバンホー」とかサトクリフのローマン・ブリテン4部作とか好きな人にはおすすめ。

    島耕作並みに濡れ場が多いです。電車で読むのは厳しい。

    無茶苦茶テンポが速いこの小説ですが、序盤はウェールズの炭鉱のシーンをじっくり書きます。
    はっきり言って第一次世界大戦とは関係のないシーンが多いのですが、ここから各登場人物の顔みせ、そして一気に8月の砲声へと突き進みます。

  • 7月-6。3.5点。
    第一次世界大戦前からのスタート。
    続編読むために再読。
    最初は取っつきにくいが、徐々にペースアップ。
    フィッツ、モード、エセル、ワルターたちの
    戦争時の状況が、気になる。
    中巻も期待。

  • 洋物は苦手なのに、何故読もうと思ってしまったのかな。古典とは違い読みづらさは多くない気がするが、それでもおもしろいと思い読み進めることは出来ず、半分で断念。全く面白くないわけでは無いが、現在の時間を使ってまで読みたいとは・・・

    炭鉱労働者の家に育った、主人公と英国貴族の家にメイドとして働く姉、20世紀のヨーロッパを舞台に色々な階級の生活が垣間見える物語。

  • 第一次大戦の頃のヨーロッパを舞台にした大河ドラマ。ロシア、ドイツ、オーストリア、フランス、イングランド、ウェールズ、アメリカの登場人物が大量に登場するが、それぞれのキャラの性別、思想、社会階層が異なるのですっきり読み進められる。

    登場人物達は男女ともみな若く、各人ごとにハーレクイン的なエロシーンが出てくるが、それも各人のキャラ固定の一助になる。

    現代にも続くバルカン半島の緊張、欧州各国間の距離感、イギリスのクラスソサエティ、プロイセン=ドイツの成立、といった事について参考になる点が多い。

  • 第一次世界大戦勃発までの英国を中心にドイツ・ロシアもとりまぜ、さまざまな階層や立場の人々のドラマが織り成す叙事詩。第一次大戦近辺の風俗・倫理感が生々しく感じられます。
    まぁ、しかしドイツ貴族の外交官が28歳まで童貞だったり、英国屈指の金持ち貴族がメイド一人に手をつけるのが大変だったりと、この時代は上流階級でもなかなか生きにくそうである。炭鉱労働者の下層~中流階級でも未婚の母は石もて追われたりと、ピューリタン的な価値観・規範での生活は息苦しそうである。
    色々なものが純情すぎて逆に「ノルウェイの森」的なソフトポルノ状態であります。

  • 「大聖堂」を読んだあとだと、物足りなさを感じる。
    ヨーロッパの戦争の複雑な状況が描かれていて勉強になった。

  • 第一次世界大戦というあまりなじみのない時代のヨーロッパが舞台だけど、さすがフォレット、ぐんぐん引き込まれていく。貴族から炭鉱労働者までさまざまな国のさまざまな階層の人びとが登場し、複雑に絡み合って物語を紡いでいく。
    次の巻が楽しみ。

  • 久々のケン・フォレットの超大作。息を持つかせぬ勢いで5つの家族のドラマが始まりました。

  • 第一次世界大戦前後のイギリス、ロシア、ドイツ、アメリカが舞台。
    登場人物も多いが、読み応えのある一冊。
    世界観に”風と共に去りぬ”を感じたかな。
    貴族の没落とは逆に市民(特に女性)が力をつけていくストーリーは読んでいてとても面白い。最後のシーンは映画のようだ。

  • 資料ID:92111553
    請求記号:
    配置場所:文庫本コーナー

  • 「針の眼」「レベッカへの鍵」「大聖堂」で知られるケン・フォレットの大作。20世紀の100年を三冊の大冊で描くというシリーズ第一作。原著で1,000ページ超を文庫版3冊で邦訳。ウェールズの炭鉱町とロシアの寒村から物語は始まり、イギリスの貴族、アメリカの実業家など、5つの家族をめぐって物語が展開していく。

  • 2月-14。4.0点。
    第一次世界大戦前の、英・露・独・米それぞれの人生。
    上巻では大戦突入まで。
    最初は取っつきにくかったけど、さすがフォレット。
    ぐんぐん読める。
    このボリュームで三部作らしい。楽しみだ。

  • 第一次世界大戦前のイギリス、ドイツ、ロシア、アメリカに住む
    主人公たちの生き様
    主人公が各国にいるため、それぞれの立場に対して感情移入しやすい
    歴史の教科書がこんな内容ならもっと歴史を覚えていただろうなー

  •  ケン・フォレットが描く第一次世界大戦。
     ウェールズの炭鉱から始まった物語は、ドイツ、アメリカ、ロシアの若者たちを俯瞰しながら進んでいく。

     読みながら、この「巨人」とは何なのだろうと、ずっと考えていた。
     まぁ、多分ロシア帝国であり、東ローマ帝国であり、ヨーロッパを支配してきた貴族社会なのだろう。
     それぞれは、それぞれの閉塞を抱え、故に落日に向かっていくのだ。

     炭鉱夫から政治家になっていく少年や、ロシア帝国の崩壊とともにソビエトの重鎮になっていく青年など、時流にのっていく者たちはそれはそれで魅力的なのだけど、古い貴族の価値観から脱することができず、妹や愛人に背を向けられていく男や、人間的であろうとしながらことごとく踏みにじられて行くドイツ人が、魅力的だった。

     この作品の子供たちの世代を描く、第二次世界大戦の話が来年(2012年)に刊行されるらしい。
     でもって、最終的には3部作として、近代100年を描くとか。

     …すごい、楽しみだ。

  • 2011/06/26完讀

    ★★★★☆

    人類歷史上最浪漫,最美好的時代,也是最殘酷的年代,是互相大規模殺戮的年代,也是自由跟民主的時代,肯佛雷特說,身為作家,他想要寫這個由憎恨跟崇高理想所揉合而成的時代。

    20世紀的1914年,Zweig所說的美好的年代的終焉。故事中有五個家族:英國的フィッツ伯爵與妹妹モード,礦工家庭ウィリアムズ家的姊姊エセル、弟弟ビリー;德國貴族,駐英武官ワルター・フォン・ウルリヒ、美國的ガス・デュア、俄國工人的ペシュコフ兄弟。

    英國的フィッツ伯爵是保守黨人、貴族,認為英國是、也必須要是世界的首強,他同時也不排斥上戰場為國效命。妹妹モード是個女權主義者,也為未婚媽媽辦了一個救濟醫院(以兄之名)。她最痛恨的是自己沒有受過教育,還有女性的被動地位。德國駐英武官ワルター・フォン・ウルリヒ喜歡獨立自主的女性,愛上了モード。礦工家庭ウィリアムズ家的姊姊エセル懷了フィッツ的私生子,被父親趕出去,在倫敦待產;弟弟ビリー則在罷工中、姊姊被趕出門之後也離開家。美國的ガス・デュア,這一卷比較少提及,他似乎也即將被威爾遜總統重用。俄國工人的ペシュコフ兄弟一心一意只想離開俄國,後來弟弟レフ搭上船(不過被騙載到了英國卡地夫去礦坑,那裡正在罷工中),哥哥グリゴーリイ留下來照顧弟弟的妻小。

    故事從南威爾斯的礦坑和礦工生活描寫開始,有英國的上流社會生活、政治沙龍、外交界,也有在俄國的苦命勞工,對美國社會充滿幻想;當時充滿理想性的美國白宮,也即將與歐洲命運越走越近。五大家庭的生活交錯,歐洲政治也漸漸走向失控,最後在奧匈帝國堅持前進貝爾格來德、俄國堅持動員、英法共同保證比利時不受侵害而德國執意開進比國領土後,英德也正式宣戰,舉國一片愛國狂熱。卷末,ワルター在撤離英國之前與偷偷モード結為夫婦,他們的祖國被撕裂成敵我兩方。

    接下來故事會怎麼進行,非常期待。肯佛雷特的筆力還是不減,故事情節還是無比地吸引讀者(光這個時代背景我就萬分期待了)。希望這一本至少也是不遜於大聖堂的傑作。我好想再重溫讀大聖堂時那種遇到傑作的驚喜,不知道能不能有這種眼福~
    (567page)

  • 第一次世界大戦の前夜から終戦にかけた時代、人種差別、階級差別がそのまままかり通っていながらも女性の参政権や民主化の運動などがうごめいていた激動の時代を描いた長編小説。ウェールズの炭鉱で働く労働者ウィリアムズ一家、その娘エセルが働いていた貴族フィッツハーバート侯爵(その嫁はロシアの皇女)、フィッツハーバート侯爵の妹ながら偏見が無く開かれた意識を持った自立した女性モード、ドイツの高級軍人の息子ワルターとその従兄弟でゲイのロベルト、アメリカ大統領補佐官のガス、ロシア皇帝に父母を殺されたペシュコフ兄弟と、核となる登場人物のそれぞれを追いながら、史実に沿ってその時代背景が丁寧に描かれています。階級制度や王制に同じく反対しながらも、その立場やスタンス、主張の温度差によって足並みが揃ったり揃わなかったり、ということなど、登場人物の背景や性格の裏付けがあるので、すんなりと納得でき、世界史が苦手だった人も読みやすいと思います。作者によると3部作の一部らしく、あと2本このボリュームの長編小説が書かれる予定のようで、楽しみです。

  • 『大聖堂』のケン・フォレットが20世紀初頭に挑むとあって、期待して読み始めました。

    実際事実としては頭に入っていても、たった100年前にはツァーリがいてカイザーがいた。参政権はほとんどの人がもっておらず、女性に至っては地位は相当に低い。この100年の変化のスピードに驚き、改めて自分のフリーライダーさを感じた。

    思うに、ローマ時代もそうだったし、初めの「政治」は直接政治だったのだと思う。そのうち、頭いいから/人気があるから/彼・彼女にやってもらおう。ということになって、むしろ一般の人々は政治の煩わしさから離れたくて、一部の人に任せるようになったのではなかっただろうか。その内、その一部の人たちが特権化したり、世襲等で能力に満たない人が上に立って初めて、なんであいつらだけがいい思いしているんだ、となり、参政権よこせ、となるのではないだろうか。そして一番急進的になったケースが社会主義革命となってしまったのだと思う。

    危惧するのはここで、まさに、今現代の状況で、私なんかも生まれながらにして当然のように参政権があり、政治に参加できるが、それに対して何の喜びも感じない。権利だとも特に思っていない。それは何も苦労せず得たものだからだと思う。だからこそ、自分がいかにフリーライダーであるかを認識したのだ。この100年間で多くの人が戦争に関わり、総力戦であった第二次世界大戦を経て、銃後の役割で大きな役割を果たした女性も参政権を得た。繰り返しになるけど、事実としてわかっていても、体感は追いついていないことを改めて思った。

    結局多くの凡人にとっては 明日のパンがあるかどうか、ここに機動力があるのかなと思う。

    April 2011

  • とりあえず上巻は第一次大戦直前まで。
    前半は方はただのロマンスになりそうで
    焦りましたが、後半は戦争へ向けて物語の
    テンポが加速度的に増していき、緊張感が
    高まっていきます。その中で複雑に揺れ動く
    登場人物の心情をリアルに伝わってきて、
    またもやケンフォレットに引き込まれつつありますが、
    上巻に関してはそれほど劇的な事件が起こる
    訳でもないので、とりあえず★は4つで。

    ただ、かなりふくせんが張られている感が
    あるので、次巻以降に期待!!

  • さすがケン・フォレット。ぐんぐん読ませてくれます。
    上巻は第一次世界大戦が始まるまで。多彩な登場人物たちの今後が楽しみです。

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