巨人たちの落日(上) (ソフトバンク文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797362732

感想・レビュー・書評

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  • 7月-6。3.5点。
    第一次世界大戦前からのスタート。
    続編読むために再読。
    最初は取っつきにくいが、徐々にペースアップ。
    フィッツ、モード、エセル、ワルターたちの
    戦争時の状況が、気になる。
    中巻も期待。

  • とても読み応えのある小説(567頁!)だが、まだ上巻で中巻・下巻と続く。

    第一次大戦もの、特に開戦外交史に関心があって色々読んできたが、本巻の特色は、実際にその時代に生きる人、それも外交史に出てくるグレイ外相やヴィルヘルム2世といった有名人ではなく、上は英国貴族の兄弟や、ドイツやオーストリアのロンドン駐在武官(貴族)から、下はイギリスの炭鉱労働者やロシアの日雇労働者まで、その生活の息遣いまで生き生きと描かれているとともに、彼らを取り巻く時代背景がとても理解しやすく表現されている。とにかく分厚いので、読み切るには覚悟がいるが、頑張って下巻まで読み切りたい。

  • 時代は20世紀。炭鉱で働くエセル家族の話が辛くてなかなか進まずにいたが、フィッツ家に舞台を移ると読むスピードがアップ。第一次世界大戦前夜の人間模様が生き生きと、またエセル家族の背景もとても大事だったと感じた上巻。大聖堂よりも身近に感じる時代もありこちらの方が好み。これから戦争に突入していく。辛い別れが待っているような気がするが早く読みたい。

  • 分厚いが、なかなかに面白く読みやすいので
    ガシガシ読めてしまった。

    このバラバラに登場する人たちが、どう繋がっていくのか
    彼彼女らの今後が気になるところであります。

    難点は名前が覚え辛くて、この人誰だったっけと
    登場人物確認しつつ読んでる点かな。(私だけかも知れんが)

  • 第一次世界大戦は、国家全体を戦争にまきこみ、有り様を変化させる「総力戦」の端緒、かつヨーロッパを中心に多数の国家が戦闘に参加する世界規模の戦争でした。
    この戦争を背景に、国籍や階層が異なる8人の男女が運命に翻弄される様を描いた小説です。
    彼らの生まれは英普露米の各地にちらばり、経歴も貴族から炭鉱夫と異なります。

    戦争を扱った小説でありながら、戦場や戦局についてはかなりあっさりとした描き方です。
    まず登場人物は全員民間人で、徴兵や志願で戦場に赴く人も居るとはいえ、職業軍人ではないので、戦争によって変わっていく銃後の社会が十分に描かれます。
    愛国心が刺激される戦争中なのに、国家のためにすべてをささげよう!ってキャラクターが少ないのが興味深いです。ガチガチの愛国者は一人か二人しか出てきません。
    大抵の登場人物は戦争中でもしっかり権利を主張し、あるいは個人的な欲望のために動きます。

    史実に題材をとった日本の小説と異なり、重点が置かれているのは人物であって、戦争はその道具立てにすぎません。
    日本の歴史小説は、人物を通じて歴史そのものを描こうとしたり、作者が地の文で歴史について解釈を述べるものもありますが、それに比べて戦争や政治の推移の描写はかなり控えめで、登場人物が冒険と恋と危機にどう向かい合うかが主に描かれます。
    日本だと司馬遼太郎や古くは山岡荘八や吉川英治がTVドラマ、ゲームと並び歴史趣味の入口ですが、イギリスだと違うのかな…

    登場人物が多く舞台も広いのに3巻でコンパクトに話をまとめています。
    8人それぞれに活躍し、オチをつけ、いくつかの有名な会戦の描写に加え、銃後についても分量を割き、ロシアの崩壊、イギリスの社会構造の変化、ドイツの飢餓、アメリカの豊かさなどにも触れており、これで3巻しか必要としないのだから恐るべき効率の良さです。
    登場人物が直接経験しないエピソードは大胆に整理した結果ですね。

    史実のなかに自分が考えたキャラクターをはめこむ小説ってイギリス人好きですね。そのノリが好きならおすすめです。
    結局おすすめかどうかを聞かれたら、そういう感じでございます。
    「鷲は舞い降りた」とか「女王陛下のユリシーズ号」とか、「アイバンホー」とかサトクリフのローマン・ブリテン4部作とか好きな人にはおすすめ。

    島耕作並みに濡れ場が多いです。電車で読むのは厳しい。

    無茶苦茶テンポが速いこの小説ですが、序盤はウェールズの炭鉱のシーンをじっくり書きます。
    はっきり言って第一次世界大戦とは関係のないシーンが多いのですが、ここから各登場人物の顔みせ、そして一気に8月の砲声へと突き進みます。

  • 洋物は苦手なのに、何故読もうと思ってしまったのかな。古典とは違い読みづらさは多くない気がするが、それでもおもしろいと思い読み進めることは出来ず、半分で断念。全く面白くないわけでは無いが、現在の時間を使ってまで読みたいとは・・・

    炭鉱労働者の家に育った、主人公と英国貴族の家にメイドとして働く姉、20世紀のヨーロッパを舞台に色々な階級の生活が垣間見える物語。

  • 第一次大戦の頃のヨーロッパを舞台にした大河ドラマ。ロシア、ドイツ、オーストリア、フランス、イングランド、ウェールズ、アメリカの登場人物が大量に登場するが、それぞれのキャラの性別、思想、社会階層が異なるのですっきり読み進められる。

    登場人物達は男女ともみな若く、各人ごとにハーレクイン的なエロシーンが出てくるが、それも各人のキャラ固定の一助になる。

    現代にも続くバルカン半島の緊張、欧州各国間の距離感、イギリスのクラスソサエティ、プロイセン=ドイツの成立、といった事について参考になる点が多い。

  • 第一次世界大戦勃発までの英国を中心にドイツ・ロシアもとりまぜ、さまざまな階層や立場の人々のドラマが織り成す叙事詩。第一次大戦近辺の風俗・倫理感が生々しく感じられます。
    まぁ、しかしドイツ貴族の外交官が28歳まで童貞だったり、英国屈指の金持ち貴族がメイド一人に手をつけるのが大変だったりと、この時代は上流階級でもなかなか生きにくそうである。炭鉱労働者の下層~中流階級でも未婚の母は石もて追われたりと、ピューリタン的な価値観・規範での生活は息苦しそうである。
    色々なものが純情すぎて逆に「ノルウェイの森」的なソフトポルノ状態であります。

  • 「大聖堂」を読んだあとだと、物足りなさを感じる。
    ヨーロッパの戦争の複雑な状況が描かれていて勉強になった。

  • 第一次世界大戦というあまりなじみのない時代のヨーロッパが舞台だけど、さすがフォレット、ぐんぐん引き込まれていく。貴族から炭鉱労働者までさまざまな国のさまざまな階層の人びとが登場し、複雑に絡み合って物語を紡いでいく。
    次の巻が楽しみ。

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著者プロフィール

Ken Follett
ケン・フォレット
1949年、ウェールズ生まれ。新聞記者、出版社勤務などを経て1978年にスパイ小説『針の眼』を発表、アメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞を受賞。1989年に発表された『大聖堂』は全世界で2000万部を超える大ベストセラーに。その後、続編『大聖堂-果てしなき世界』、「百年三部作」の『巨人たちの落日』『凍てつく世界』『永遠の始まり』を執筆、さらにはキングズブリッジ・シリーズの『火の柱』および本書を書き継いでいる。最新刊は『ネヴァー』。


〈扶桑社ミステリーのケン・フォレット作品〉
火の柱(上・中・下)
ネヴァー(上・中・下)

「2022年 『大聖堂 夜と朝と(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ケン・フォレットの作品

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