本当は誤解だらけの「日本近現代史」 世界から賞賛される栄光の時代 (SB新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797371192

感想・レビュー・書評

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  • 若槻礼次郎の東大の成績は現在でも破られていない。といった著名人の小ネタも多々あり、皮肉も程よく雑学的に楽しめる内容になっている。
    全く期待していなかったせいか、思った以上にマトモ。当然ながら著者の保守的史観に基づいている事には留意。「世界から賞賛される」というのはちょっと大袈裟か?
    P180の第一次国共合作は第ニ次国共合作の間違いであり、初歩的な校正の甘さもある。その他、事実関係の怪しいところもあるが、雑学本なので大目に見て、読み飛ばすのが懸命か?

  • 江戸時代について著者の視点から分析した一冊。

    とかく懐古趣味もあって賞賛されがちな江戸時代について、著者は「現代の北朝鮮みたいな閉鎖的で進歩のない社会」と分析する。
    今までどちらかというと江戸時代は”平和で文化の栄えた時代”という認識があったので、目から鱗の箇所も多かった。

  • 最近はエリアを問わずどの時代の歴史も興味を持っていますが、興味を持っていたにもかかわらず、あまり触れてこれなかったエリアが日本の現代史です。

    高校時代の日本史の授業も、戦国時代あたりまでは聞いていた記憶がありますが、受験を目前にした時期に授業が行われていた「現代」は、殆ど記憶がありません。その授業中に何をしていたかは覚えていますが。。

    そんな私にとって、この本は日本の近代現代史において、従来は定説とされている内容は、実は異なっているというスタイルで、34のポイントに絞って解説しています。

    私の場合、殆ど前提となる知識は無かったので、二つの考え方を一気に知ることができて楽しい読書となりました。井沢氏の「逆説」シリーズに続いて、この本の著者である八幡氏の「本当」シリーズも追いかけていきたいと思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・戦後改革で採用されたシステムの多くはアメリカナイズされたもの、廃止された多くは、フランス・ドイツ・イギリスを中心としたヨーロッパから輸入されたもの(p16)

    ・藩校に通えるのは基本的には上級武士のみ、内容は漢学のみ、簡単な算術すら教えていないのが普通。武士は革命を行ったが、実学の知識はなかった(p21)

    ・中国が失敗し、日本が成功したのは、「中体西用」に固執した中国と異なり、「和漢洋才」に拘らなかったことにある(p24)

    ・日本の初代内閣総理大臣は、伊藤博文だが、それは明治18年。それまでのトップは、三条実美(太政大臣)、ナンバーツーは、岩倉具視。明治18年までは彼らがリーダーだった(p27)

    ・王政復古の大号令により、摂関制と将軍職は廃止、総裁・議定(皇族2名、公卿3名、尾張・越前・安芸・土佐・薩摩藩主の合計10名)・参与(公卿5名、議定5藩より各3名の合計20名)の三識が任命された。総裁は、有栖川宮熾仁(たるひと)親王、日本初めての宰相である(p28)

    ・1888年当時で村落は、71314あった、それを小学校が運営できる規模の人口3000人ほどに合併させて、15859の市町村にまとめた(1890)、明治初期までに都市化の進んだ郊外を吸収して、9868(1953)、戦後に新制中学運営のため、人口7000人をめどに昭和の大合併が行われ、3490(1961)、平成の大合併により、現在は1742(2012)となっている(p33)

    ・全国平均では士族は人口の数パーセントだが、薩摩では4分の1、つまり全国の士族の10%は薩摩藩にいた。廃藩置県行っても、薩摩では地租改正も新しい地方制度も実施できなかった、つまり薩摩武士が余っていた(p40)

    ・遣唐使廃止以降は、中国との正式な外交は持たなかった。足利幕府が遣明船を派遣したんことはあるが朝廷は関与していない、途中からは、一大名(大内氏)が代行した(p44)

    ・明治維新まで、琉球国王は、明・清に朝貢し皇帝から冊封を受ける一方で、薩摩藩にも支配され、将軍にも使節を送る外交を行った。(p51)

    ・政府は、宮古島の島民が台湾で原住民に殺される事件が起きた後に、明治12年に警察隊を率いて首里城へ赴き沖縄県の設置を宣言、国王一家の東京居住を命じた、この動きを「琉球処分」という(p53)

    ・アジアで最初の憲法を制定したのは、オスマントルコで、明治9年。2年後には停止となり、明治41年の青年トルコ党革命まで30年間停止した(p83)

    ・近代日本の政党は、板垣退助の自由党、大隈重信の立憲改進党に発する保守2党が常態としてある。例外として、保守一党になったのは、隈板内閣のときの憲政党、戦時中の大政翼賛会、そして55年体制の自由民主党(p92)

    ・大正8年から皇太子(昭和天皇)が摂政に就任した(p117)

    ・日英同盟では、東アジアにおいて敵国が一国の場合は、中立という取り決めになっていたため、英国は参戦しなかったが、ロシア艦隊のスエズ運河通行阻止、情報提供などの援助を得られた(p127)

    ・平民宰相といわれる「原敬」は、人口全体の何千人に一人という上級武士の出身なので、欧州なら貴族階級に相当するが、爵位をもらわず貴族院議員になっていなく、分家するときに士族でなく平民になっていたので、平民宰相と言われた(p131)

    ・朴元大統領は、師範学校、満州や日本の士官学校に入学して軍人になった。小学校ではハングルの使用が急速に普及、京城(ソウル)および台北に帝国大学を設立した(p138)

    ・比較的に日本統治時代への好意的な評価がされている台湾と比べて、韓国・朝鮮では厳しい評価がされるのは、日本統治が両班など支配階層の利益を侵害するものであったから。(p140)

    ・日本人に対して、韓国・朝鮮の人との関係は、イギリス人とアイルランド人、フランス人とアルジェリアの関係と似ている(p142)

    ・万里の長城の内側がほぼ統一されたのは、2400年前に現れた秦の始皇帝になってから、56の多民族国家は、1636年に三民族(満漢蒙)を総べる大清帝国皇帝と称した太宗の子、順治帝が1634年に明を滅ぼしてから(p134)

    ・日本の平均寿命は1960年代まで、欧米諸国に比べて数歳低かった、衛生面や栄養状況の悪さが原因である。和食がいいのは、飽食の時代だから(p160)

    ・上位1%の所得シェアが1920年には、約15%で、英仏日米の順序であるが、1937年には約20%に上昇して、日英米仏、の順となり、日本の貧富の格差が大きくなった(p161)

    ・二大政党制では、野党がむちゃな要求をするので改革が進まないが、巨大政党をつくれば軍部にも対応できて国策も進められるだろうと、大政翼賛会をつくった(p172)

    ・日本は海外の領土と外国的地位を失ったが、自由貿易を手に入れた。(p183)

    ・新憲法施行を前にした昭和22年の総選挙では社会党が第一党になったため、片山氏に政権を譲った。(p193)

    ・新憲法についても、旧憲法の改定手続きに乗っ取って成立した、もともと連続したもの(p195)

    ・岩手県の漁業者から社会党国会議員として政界に出てのちに自民党に転向し、調整役として定評があった鈴木善幸氏が首相となった(p214)

    ・中古マンションの売買価格は、家賃100か月分程度が相場、バブル前の東京は150か月、バブル期は、800-1000か月分となった(p217)

    ・沖縄戦では、本土への攻撃を遅らせるために、水際戦ではなく上陸させて抵抗する作戦がとられ、県民の4分の1の15万人が死亡した(p249)

    ・とくに責任が問われるのは、50歳代から70歳代くらいの世代。1)経済成長に十分努力せず、2)財政赤字を放置したまま高福祉低負担継続、3)少子化放置、の3点(p253)

    2015年5月14日作成

  • 感想は後日。

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著者プロフィール

1951年、滋賀県大津市に生まれる。東京大学法学部を卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。北西アジア課長、大臣官房情報管理課長、国土庁長官官房参事官などを歴任。在職中にフランスの国立行政学院(ENA)に留学。現在は徳島文理大学大学院教授を務めるほか、作家、評論家として活躍中。著書は150冊を超え、ベストセラー『江戸三〇〇藩 最後の藩主』(光文社新書)のほか、近著に『365日でわかる世界史』『365日でわかる日本史』(清談社Publico)、『日本の総理大臣大全 伊藤博文から岸田文雄まで101代で学ぶ近現代史』(プレジデント社)、『日本人のための日中韓興亡史』(さくら舎)、『歴史の定説100の嘘と誤解 世界と日本の常識に挑む』(扶桑社新書)、『令和日本史記 126代の天皇と日本人の歩み』(ワニブックス)、『誤解だらけの韓国史の真実』『誤解だらけの平和国家・日本』『誤解だらけの京都の真実』『誤解だらけの皇位継承の真実』『誤解だらけの沖縄と領土問題』(イースト新書)、『消えた都道府県名の謎』『消えた市区町村名の謎』『消えた江戸300藩の謎 明治維新まで残れなかった「ふるさとの城下町」』『消えた国家の謎』(イースト新書Q)など、日本史、西洋史、東洋史から政治、経済、文化など多方面でリベラル・アーツを重視する斬新な視点で話題となる。

「2022年 『家系図でわかる 日本の上流階級』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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