本当は面白い「日本中世史」 愛と欲望で動いた平安・鎌倉・室町時代 (SB新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797372946

作品紹介・あらすじ

日本の中世といわれる平安・鎌倉・室町時代は、ともかくわかりにくい時代とされてきた。なにしろ中央政府(朝廷)が弱体で、諸制度は多元的で複雑。宗教が強いことも話をややこしくしている。しかし、少し視点を変えれば、中世の人々は道徳などに縛られず、ひたむきに愛と欲望のために生きており、その姿は現代人にはとても魅力的に映る。本書では、中世という時代のダイナミックな実像を読み解き、これまでにない「わかりやすくて面白い」中世史を示していく。

感想・レビュー・書評

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  • 昨年(2015)の本棚の整理で発見した、八幡氏が書かれた「日本中世史」の本です。歴史は好きなのですが、平安・鎌倉・室町時代の出来事に触れることが少なかったので、この本で解説されている、まずは有名な事件に絞って学んでいきたいと思いました。

    道徳に縛られずに、愛と欲望のために生きる姿が特徴のようですね。また、以前に「陰陽師」という映画を見た時に出てきた、怨霊や亡霊などが、とても活躍していた時代の様でした。機会を見つけて、更に日本の中世を学びたいです、その時の世界の動きにも注目しながら。

    以下は気になったポイントです。

    ・奈良時代の律令制は、大規模な常備軍等の効率的なシステムを構築したが、平安時代は、地方自治や民間委託によって、小さいシステムを採用するようになった(p19)

    ・オペラ歌手が世襲でないのは、例外的な才能が要求されるから。歌舞伎は世襲(p22)

    ・小さな政府の時代である平安時代(最後の遣唐使が帰国した893)から室町幕府が滅びるまでを中世とする(p25)

    ・平安京への遷都の理由、1)宮廷を豪族の本拠である大和から離す、2)平城京は南都七大寺に代表される大寺院が立派すぎてコストかかっていた(p28)

    ・壬申の乱では、不比等をはじめ藤原一族は、大友皇子を担ぐ近江朝側であり、不比等は子供なので助かったが、戦後は冷や飯組だった(p37)

    ・日本が男尊女卑になったのは江戸時代になって朱子学が盛んになってから。(p37)

    ・時代の変わり目で新しい技術が導入されて、政府も農民も豊かになった。このタイプの政策は、1)大化の改新、2)太閤検地、3)明治維新、4)戦後改革(p60)

    ・人から税金を取るのを諦め、土地から取ることにした。人頭税負担の軽い女性になりすますものが増えて、女が男の10倍も登録された(p60)

    ・皇后陛下は、欧州の国王・王妃の制度にならった西洋的なモノ。独身皇族では、後宇多天皇の皇女に遺贈したのが最後、幕末に復活(p82)

    ・天下人となった、平清盛と後白河天皇でさえ、その生涯の中で、傲慢な独裁者として振舞えたのはごく短い期間(p111)

    ・源頼朝は軍事貴族であり、皇室や摂関との距離は近く、今日と出身の官僚を重用した(p142)

    ・保元平治の乱では、平清盛が権力を握ったが、武士の世が来たというより、貴族社会の中で軍事貴族が政治の主導権と利権を握ったのみで、関東武士にとってはメリットなかった(p170)

    ・明治維新後に東京を首都にした動機は、江戸城を徳川家に返さないためだった(p201)

    ・鎌倉は関東公方(二代将軍、義あきら、の同母弟の基氏が初代)を置いて、自治区のようにした(p202)

    ・室町幕府は将軍が弱体ではない、大名達の統制論理が江戸幕府のように大名同士の争いを避けることによる安定な権威ではなく、大名同士を争わせることによる、仲裁機会の確保であったから(p205)

    ・南北朝の合一から鎖国までの約250年間は、経済や文化についていえば、右肩上がりの成長期であった(p207)

    ・明治44年には、帝国議会で南朝を正統とする決議を行った、そして北朝の五帝は天皇号を用いていない(p214)

    ・本地垂迹説に基づき、日本古来の神様は仏様の生まれ変わり、大日如来・日吉権現・天照大神は同一と説かれた(p234)

    ・律令制が崩れて、正規軍・警察が弱体となったので、京都周辺で最強の武装集団は延暦寺と興福寺の僧兵ということになった(p237)

    ・天台宗と真言宗は朝廷の宗教であり続けた、徳川家は浄土宗の檀家であり増上寺を保護したが、天台宗の上野寛永寺も菩提寺として丁重に扱ったので、歴代将軍の墓は、この二つの寺に半分ずつある。これらが衰えたのは、明治の廃仏毀釈と農地改革のため(p238)

    ・中国から見て、日本は元寇や倭寇の歴史からして中国に従属などしない国に見なされた(p260)

    2016年1月2日作成

  • 藤原氏の家系図がえらいことになってる。
    日本人に馴染みの薄い時代を八幡先生が斬るように断じる歴史本。

  • 系図好きの私にはたまりません。
    信長は清盛の子孫なんですね。

    系図を見ていると、あの人とあの人がつながっていたり…。イロイロと想像力を掻き立てられるところが大好きです。

  • 日本中世史を通説と真実を対比して記述します。
    が、通説レベルも把握してない当方には、
    おもしろがるにはレベルが高かったわ。。

  • 20130616読了

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著者プロフィール

1951年、滋賀県大津市に生まれる。東京大学法学部を卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。北西アジア課長、大臣官房情報管理課長、国土庁長官官房参事官などを歴任。在職中にフランスの国立行政学院(ENA)に留学。現在は徳島文理大学大学院教授を務めるほか、作家、評論家として活躍中。著書は150冊を超え、ベストセラー『江戸三〇〇藩 最後の藩主』(光文社新書)のほか、近著に『365日でわかる世界史』『365日でわかる日本史』(清談社Publico)、『日本の総理大臣大全 伊藤博文から岸田文雄まで101代で学ぶ近現代史』(プレジデント社)、『日本人のための日中韓興亡史』(さくら舎)、『歴史の定説100の嘘と誤解 世界と日本の常識に挑む』(扶桑社新書)、『令和日本史記 126代の天皇と日本人の歩み』(ワニブックス)、『誤解だらけの韓国史の真実』『誤解だらけの平和国家・日本』『誤解だらけの京都の真実』『誤解だらけの皇位継承の真実』『誤解だらけの沖縄と領土問題』(イースト新書)、『消えた都道府県名の謎』『消えた市区町村名の謎』『消えた江戸300藩の謎 明治維新まで残れなかった「ふるさとの城下町」』『消えた国家の謎』(イースト新書Q)など、日本史、西洋史、東洋史から政治、経済、文化など多方面でリベラル・アーツを重視する斬新な視点で話題となる。

「2022年 『家系図でわかる 日本の上流階級』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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