日本人のためのイスラム原論

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著者 : 小室直樹
  • 集英社インターナショナル (2002年3月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (447ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797670561

日本人のためのイスラム原論の感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりの小室本でしたが、いつもながら、日々仕事の課題で覆われたアタマに心地よい刺激をもらいました。

    著書の他書と同様、ウエーバーのプロテスタントと資本主義の理論をベースにして、なぜこれほどまで論理的で中世世界をリードしたイスラム教が、近代化に遅れ、現代の状況にあるかを説く。同根のユダヤ教、キリスト教のみならず、仏教、儒教との比較がわかりやすく、これまで読んだ中で最強の宗教学本と思いました

    マレーシアでビジネスに関わっていた際に、イスラムの世界と少し触れる機会がありましが、敬虔で真面目な人々の暮らしからは、欧米世界でチマタで言われるような過激さは全く感じませんでした。それが全てとはいいませんが、先入観なしに異文化と付き合ってみようとすることは、海外の人々とのコミュニケーションの第一歩だと思います。

  • もう何十年かぶりに 小室さんの著作を読んでいるような気がします
    logical な思考です それでいて「講談」のような語り口も、小室さんならではかも…
    (ミ`w´)彡━━┛~~ ' ぷっくぷく~~~

  • ◆本書の評価として
     Amazon、ブクログでも評価の高い本。
     ただ、後半は特にキリスト教をバカにした書き方が目立ってきます。
     このため、完全に納得していた前半部分についても、内容の信憑性が気になってきました。
     別の書籍も少し確認した方が良い気がします。
     ※Amazonでもわずかに本書に対して低評価のレビューがあり、そのレビューも同様の点を指摘していました。

    ◆面白かった点
     前半は、部分的ではあるがユダヤ教・キリスト教・仏教などとの比較がされていてなかなか面白い。テロリストのものの考え方もわかった。
     最初、日本の宗教として仏教しか出てきません。
     「神道」という言葉は本書を1/4ほど進んでから初めて出てきました。そこには、日本の宗教はもはや「日本教」であり、「日本固有の神道をベースにして、仏教や儒教の教えなどがミックスされて作られた」という表現がされています。この説明は的確だと思います。

     また、イスラム教が日本に浸透しない理由も非常にわかりやすかった。
     その理由は一神教であること以外に、
     日本人は「空気」に合わせて行動が変わり、「戒律」が定着しない。それがゆえに、戒律を重んじていた仏教も日本に入ってきて戒律がそぎ落とされ、「日本仏教」と形を変えた。イスラム教は戒律(規範)に従わないこと(行動を伴わないこと)が、即、信仰していないことになるため、戒律がそぎ落とされることは許されない。ゆえに日本にはなじまない、ということでした。

    ◆イスラム教で近代資本主義が発生しなかった理由まとめ
    理由1:
     キリスト教では、貪欲は罪とされている。そのため、その抜け道を探すように、「同価値のものを交換することは問題ない」という発想から、商売が発展していった。禁止される方が抜け道を探して発展していく力が強い。
     イスラム教では、商売自体が禁止されていないため、必要以上の力にはならなかった。

    理由2:
     キリスト教でもイスラム教でも、神と人との契約(タテの契約)のみが説かれている(結婚式でも「神に誓う」となる)が、
     キリスト教は無規範宗教であり、心の中での信仰のみが求められる。そのため、行動面でのルールがなければ生活がままならない。また、「神を愛せよ」という命令のほかに「隣人を愛せよ」という命令がある。これらのため、キリスト教では人と人の契約(ヨコの契約)を守る発想が生まれ、これにより近代化資本主義が発生した。
     イスラム教では規範があり、神との契約(タテの契約)が守られていれば人との契約(ヨコの契約)はなくてもよい。そのため、イスラム教では人同士の約束が守られないことはザラである。

     本書の最後の方にもまとめられていますが、イスラム教がその教えのため近代化できない、というのは衝撃でした。

    ◆本書を読んでイスラム教に対して思ったこと
     イスラム教はよくできた宗教だと思いますが、イスラム過激派が存在しているように、「人を殺さない」といったような教義が含まれていなかったのが個人的に残念に思う点です。
     それがあると宗教として矛盾点が出てくるのかもしれませんが…。

  •  本書は社会科学系学者の小室直樹氏によるイスラム論です。本書が出版されたのは2002年ですが、その契機となったのは2001年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロ事件でしょう。この事件を機にサミュエル・ハンティントン氏の「文明の衝突論」が注目されましたが、小室氏は「宗教の衝突」、「一神教どおしの衝突」と称する方がふさわしいと説きます。しかし、イスラム教に対しては日本人の無知はもちろんのこと、欧米人にも誤解があると指摘しています。小室氏はイスラム教を「もっとも宗教らしい宗教」と位置づけ、イスラム教が分かれば他の宗教も分かるとまで言い切っています。
     本書の主題はイスラム教ですが、キリスト教や他宗教についても対比して解説されており、2000年に出版された宗教原論の続編でもあります。また、「数々の宗教を受け入れた日本になぜイスラム教が広まらなかったか?」、「日本独自の宗教観はどのように形成されたのか?」についても考察しており、日本の文化を再認識するうえでも興味深い指摘が多数あります。
     本書の最終章で小室氏は欧米とイスラムの対立のルーツを明らかにし、「もし、8世紀にイスラム教徒がヨーロッパを占領していたなら…」という思考実験を行っていますが、現代社会を理解するうえで宗教や歴史の理解が必須であることを痛感させられます。残念ながら、小室氏でさえも欧米とイスラムの対立を解消するための処方箋までは見いだせなかったようですが、今後、世界はどこへ向かうのかを考える上でも本書は有効でしょう。

  • 宗教知識のあまりない私には少し難しい本であった。著者はイスラム寄りであることが随所に出ており,ページが進むにしたがって面白みが少なくなっていった感がある。宗教初心者であるため,もう少しニュートラルな立場で書いてくれたら良かったのにと感じた。ただし,この本を読むことにより分かったことも少なくない。
    イスラムは規範(これをしろとかあれをするなといった命令)を重視し心よりそれをどう表現するかで信仰心というか信仰度合いが計られるものだということが分かった。例えば,1日に5回メッカの方角に向かって礼拝を行うとか,アッラーの他に神なし,マホメットはその使徒であると絶えず口に出して唱えるとか,喜捨(所得の40分の1を貧しい人へ施す義務がある)とか・・・。キリスト教では信じるものは救われるとのごとく心の中で信じていれば良いと言うものでその宗教的厳しさは断然イスラム教が強い。
    日本にイスラム教の信者(ムスリムという)が少ないのはなぜかとの問いに著者は色々記しているが,この”規範”が日本人には受け入れられなかったと解いている。その他,イスラム教は翻訳のコーランを認めない(アラビア語でコーランを唱えなければならない)ということもあるが,著者はこれは大きな弊害とはならないであろうと言っている(言語の難しさもコーランを唱えるぐらいはそれほどでもないと)。が,私の考えは少し違う。日本人は周りの目を非常に気にするものであり,コーランをアラビア語(日本語以外)で唱えているとやはり周りから白い目で見られるのではといった感情があるのではないか。ちなみに,キリスト教の聖書は日本語で言っても良いので広がりやすさはあったと思う。
    あと,イスラム教・キリスト教と仏教の違いも少し述べている。イスラム教やキリスト教の神は人々に困難を与えるが,逆に仏教では仏さまは人々を困難から救うのであると。多分に日本の仏教がこんな感じで,”困ったときの神頼み”であり,他力本願・大乗仏教の少々横着な国民だなと感じた。
    また,仏教では因果応報という考えがあり,何かをしたから今こんなことになっている,だからその何か(いわゆる煩悩)をなくすように心がけなさい,と教えている。煩悩をなくすと苦難から救われると。法前仏後ともいい,釈迦と言えどもこの世の法則を動かすことは出来ない。一方,イスラム教では,現在の境遇は何かをしたからというものではなく,全ては神が決めたことである,と言い,現在の境遇から救うことを説いているわけではなく,最後の審判でアッラーが全ての人間を蘇らせ,個別に救済を決定するから一生懸命その規範を行いなさいとしている。
    この本を読む限りは,イスラム教の人々は皆が真面目な宗教人であり尊敬できる人々だと感じた。それに比べると私も含め日本人の宗教感のなさ,節操のなさ(正月の初詣(神),お盆(仏),クリスマス(キリスト),年功序列(儒)等々)は悲しむべきものに思えてならない。色々良いとこ取りをするのは悪くはないが,自分と言うもの,主体性が見えづらい。もう少し真面目に学校で宗教を教えた方がいいと思うね。

  • イスラムの価値観が解説されてます。

  • この本を読んでいなかったら、世界で起こっているさまざまな事柄をきちんと理解できないままでいたと思う。読んで本当によかったと思っている一冊。

  • ムスリムを理解するのに適した1冊。

  • 三上治、「出版人広告人」2015.3.書評。

  • 日本ではどうしてイスラム教が広がらないのか?を起点にして、日本人の「戒律を嫌う」宗教観から他の宗教との比較、ひいては欧米社会(特にアメリカ)とイスラム社会はどうしたら分かり合えるのかが軽快な語り口で綴られている。

    特にオススメなのが宗教比較。「キリスト教は信じれば(=信仰心があれば)救われるという考えをベースにし、行動規律を持たない。一方イスラム教は律法を守ることで、アッラーへの信仰心を表わす」など。イスラム教はもちろん、諸宗教のアウトラインがざっくり掴めるのは良いです。

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