日本人のための憲法原論

  • 497人登録
  • 4.52評価
    • (103)
    • (31)
    • (20)
    • (1)
    • (0)
  • 44レビュー
著者 : 小室直樹
  • 集英社インターナショナル (2006年3月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (492ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797671452

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印

日本人のための憲法原論の感想・レビュー・書評

  • 底本:『痛快!憲法学』(小室直樹、集英社、2001)。愛蔵版だそうな。

    【目次】
    まえがき (平成13年(西暦2001年)弥生 小室直樹) [002-004]
    ようこそ『憲法学』の世界へ!――教科書が教えない民主主義と憲法
    目次 [005-012]

    第1章 日本国憲法は死んでいる 013
    あなたは護憲派?改憲派?/日本国憲法は生きているか/殺されたワイマール憲法/憲法とは慣習法である/アメリカ憲法は「欠陥憲法」だった!/黒人奴隷を持っていた建国の父たち/ゴールド・ラッシュの恐るべき真相/アメリカには民主主義がなかった/なぜ、日本の憲法論議は不毛なのか/憲法死んで、国滅ぶ

    第2章 誰のために憲法はある 035
    法律とは何なのか/刑法は殺人や窃盗を禁じていない!/刑法違反ができるのは裁判官だけ/裁判で裁かれるのは誰か/「遠山の金さん」は暗黒裁判をしていた/「有罪率的パーセント」の恐怖/デュー・プロセスの原則/なぜ、疑わしきは罰せずなのか/法務大臣が死刑執行して、どこが悪い?/言論の自由は、家庭にも職場にもない/日本人傭兵は憲法違反か/十七条憲法と日本国憲法は、まったく

    第3章 すべては議会から始まった 061
    民主主義と憲法とは関係ない!/国王はいても、国家がなかったヨーロッパ/奴隷と農奴はどこが違う/王様は学級委員長/契約を守るのが「いい家臣」と言われるわけ/日本の武士に「武士道」はなかった/中世ヨーロッパ理解の2つのポイント/王様は中間管理職?/「永遠の昨日」が支配する中世/ペストと十字軍が封建領主を没落させた/国王の新しい「金づる」/常備軍、現わる/なぜ教会は堕落していったのか/議会が誕生した2つの理由/マグナ・カルタは「反民主主義の憲法」/多数決誕生の意外な舞台裏/南北戦争で多数決は定着した/教科書が教えない「憲法」、民主主義

    第4章 民主主義は神さまが作った!? 097
    絶対君主、現わる/かくしてリヴァイアサンは生まれた/十字架と聖書が怪獣退治をした?/腐敗しっぱなしだったローマ教会/世界史を変えた天才/聖書すら読ませなかったローマ教会/宗教改革とは原点回帰だった/近代科学と仏教の共通点/神はすべてを超越する/人間は2度死ぬ/ルールを変えられるのは神様だけ/善人が救われない理由/人間の努力も意志も意味がない!/預言者は「神のラウド・スピーカー」/神はこうやって現われる/預言者ほど、つらい仕事はない!/予定説の恐るべきパワー/救われる人は、どんな人?/なぜ、予定説を信じると熱心な信者になるのか/「新人類」が近代を作った

    【コラム】 かくして憲法は誕生した――イギリス憲法小史 134
    イギリスはなぜ議会を産み出したのか/ジェントリーとヨーマン/国王と手を組んだ「庶民」/「議会の中の王」/混乱するイギリス/ブラッディ・メアリとの対立/名君エリザベスが議会を育てた/王政復古から名誉革命

    第5章 民主主義と資本主義は双子だった 143
    人間は便器である!?/なぜ、神は人を救うのか/笑止千万「子どもの人権」/最初に特権ありき/王様も領主も神の奴隷/予定説は「革命のすすめ」/革命を起こした総理大臣の子孫/民主主義の扉を開いた「人民協約」とは/パトニーの大論争/資本主義の起爆剤/陶朱・掎頓の富/なぜ、中国やアラブでは資本主義が誕生しなかったか/資本否定の思想が資本主義を作る/利息を禁じたキリスト教/儒教と独占禁止法の共通点/世界の1割を所有したフッガー家/カルヴァンのルール/KGBをしのぐ秘密警察/予定説を信じれば、カネが貯まる/「天職」の誕生/働かざる者、食うべからず/受験勉強とキリスト教/隣人愛が定価販売を作った/エートスこそが、すべてのカギ/資本主義の精神とは/日本人に民主主義は理解で... 続きを読む

  • 船井幸雄氏の著書で紹介されていた本。分厚くて最初は読み切れないかも???って思っていたけれど、ぐいぐい読みました。あ~、学生の時に読んでいれば。。。
    でも、今この本を読んで良かった。政治への見方、遠いようで自分に染みついている憲法への考え方、自分では気づかない日本人観などなど。。。自分のものの見方考え方に幅が広がる本でした。

  • 民主主義や憲法の起源を、西洋思想の歴史から振り返った、貴重な一冊。
    とりわけ、以下の2点には注目すべきだろう。
    ①「予定説」が逆説的に民主主義や資本主義につながったこと。これは、ウェーバーが「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」で明かしていることでもあるのだが、人々が一心不乱に信仰に励む時、大きなパラダイムシフトが起こるという点は現代においても考慮されるべき社会学的な事実かと思われる。
    ②明治憲法制定時に、伊藤博文らがプロイセン憲法などを参酌し、当時としては相当立派な憲法を作り上げたのだが、西洋にあって日本人に足りないものが「宗教」であった。西洋においては、神から人権が与えられるため、人々は平等なのであるが、日本人にとっての神を「設定」する必要が生まれた。ここで、天皇を現人神とする思想を意図的に拡散したのが制定者の作戦。しかし、現人神が生きている以上、その権力を縛る必要が生まれるという日本独自の難題が生じた結果、政府が間接的に天皇の権力を縛るという考え方が生まれた。
    ここに日本人にとっての憲法が「国民→政府→天皇」(矢印は権力を縛るという意味)という権力抑止の構図となり、結果民主主義の基本的理念があまり根付かなかったという主張がなされる。

    他にも、ロックとホッブズの「リヴァイアサン観」の違い等、必見の内容が詰まった一書。おすすめ。

  • 目からウロコが落ちるとは正にこの事か。民主主義、資本主義の成り立ちから分かりやすく、そして理論的に説明されていて腹落ち感は十分。学校教育では全く教えられていないのはある種意図的と思わざるを得ない。

  • 本書は所謂憲法の条文を論じるような内容ではなく、日本では憲法が死んでしまっているという現状認識からスタートして、そもそも憲法とは、民主主義、それに関わるすべての事柄について歴史を踏まえて解説してくれます。憲法を議論する際は、ここまで掘り下げて理解がないとあるべき姿は見えてこないであろうと同意する。

    『日本はなぜ、「基地」と「原発」~』が日本と米国との関係性において憲法の問題点を説いた本であるとすると、本書はそれに至る世界の歴史、見方を踏まえた結果の日本国憲法の問題点を言い当てている本であると言えます。また、個人的には本書が現在第一線で活躍されている著名人の方々の主張のベースとなっている本ではないかとも思えるような箇所もあり、なるほど名著であるなと納得しました。

  • 痛快すぎて爽快。
    感心を通り越して感動。
    ここまで面白く憲法、経済、歴史、宗教、などを統一して分かりやすく本にできるのは小室直樹氏以外いないと思う。
    まさにカルヴァンの予定説のように人を変える力を持っている本。
    是非読むことをお勧めします。

  • 憲法とはそもそも国家権力を縛るもの。キリスト教という徹底的に資本主義を否定し絶対的な神が存在することで、民主主義が生まれる。
    民主主義こそが民主主義を殺す、日本における紙が天皇であったこと。本当に分かりやすく勉強になる憲法論。

  • 凄く分り易くて面白い。

  • 日本国憲法はすでに死んでいる。

    小難しい憲法解釈の話は一切なく、近代憲法の母体となった西洋史を軸に、憲法とは何なのかが根本的にわかる本。今の日本の問題点も、しっかりと見えてきます。

  • 憲法の完成過程を通じて人類の歴史を見る本。単なる憲法の解説書ではなく、憲法の本質に迫る内容です。憲法が気軽に知りたい人は一読あれ

  • 社会科学の入門書
    入門書といっても内容が軽いわけではなく
    核心を的確についていて、とても濃い。

    近代法は何を拘束するためのしすてむなのか。民主主義、資本主義とキリスト教の関係。プロテスタントのエートス(行為態度)のない日本がどのように近代化をんしとげたのかなどなど…
    自明に感じている社会のありようが、如何にして形作られてきたのか明らかにしてくれる良本。
    最初っから最後まで目から鱗が落ちっぱなし。

    日本人なら読んで欲しい本です。

  • 改憲論議の前にまずこういう本を皆が読んで話をしないと意味のない議論にしかならないだろう。
    それにしても、15年も前の本なのに、、、と思ってしまった。

  • 憲法の話と思いきや、
    "原論"なのでそのもととなる
    昔の世界各国の法律の歴史みたいな内容になっている。
    法律というより歴史本を読んでいるようだった。

  • 目から鱗の一冊でした。憲法というと、すぐに第9条とか基本的人権がとか、個別の内容を思い浮かべてしまいがちです。しかし本書では、欧州における国家、議会政治、民主主義の成り立ちや、資本主義を生んだプロテスタントの宗教観を紹介しながら、その中で権力を抑えるものとしての憲法の必要性をわかりやすく解説しています。

    憲法があるのに独裁者を生んだナチスドイツの例、太平洋戦争に走った日本の例は、憲法だけでは抑えきれない権力の力や民衆の空気の恐ろしさを伝える好例です。さらには戦後日本においては、官僚が国を動かし、マスコミが空気を醸成することで、民主主義が機能しなくなっていると警鐘を鳴らしています。

    分厚いけれど読みやすい。しかし、本書に含まれている内容は広く深いものがあります。ここまでハッキリと断言されると、なるほどなと思いつつ、考えさせられる内容も多い。何回も読むといいのでしょうし、また、憲法や民主主義を考える良いきっかけになる一冊だと思います。

  • 議会制、民主主義、平等などの概念が歴史的に生成されてきた経緯がこれでもかというくらい説明されています。
    小室先生の本はつねに興味深く読めます。
    解釈論を展開した本ではないので念のため。

  • 憲法とはそもそも何か、そして民主主義とは何か? こういった事を人類の歴史の観点から説明をして行き、日本が抱える問題点への提起をしている一冊。

    全体を通してわかりやすい。前半は、憲法のなんたるかとかの話に入る前に、先ずそもそもなんで民主主義って形が生まれ運用されるようになったのか、や資本主義の歴史的経緯なんかが説明される。

    なんてキリスト教、中でもカルヴァンの提唱した予定説の影響がデカイとか まぁ民主主義が根付くためには資本主義が大切で、そのためには神様と働く事の正しさが必要って話はわかったような気もする一方、それが資本主義が形づいた理由かと言われるとなんだかそれだけじゃねぇんじゃねぇの?となんとなく思ったりした

    しかし、歴史的経緯があるからこそ大きな流れがある訳で、それを一つの基本として学ぶには良い本かなとか思ったりしました

    つかケインズとかアダムスミスとかニューディール政策とか俺は本当に物を知らんなぁと読んでいて悲しくなった

  • 平和主義が戦争を呼び込むこともある。戦争も辞さないという覚悟が戦争を防ぐ。

    日本の憲法をテーマにした本なのに、ヨーロッパの歴史が良くわかる。

  • すごく面白かった。高校生に薦めたい。日本史、世界史、倫理、政治経済の科目の勉強が好きになりそう。生きた知識が得られる。

  • これは、素晴らしい本。内容の濃密さに比し、理解のし易い、小室直樹氏の大作。

  • 深い見識から、本質をズバッと突くところがすごい。
    憲法が生まれた背景、思想、宗教や経済との関係性など、勉強になるところが多い。
    憲法は、国家を縛るための法律である。国家権力は悪であるという概念だ。
    憲法は、宗教と関わりがある。それは「契約」という概念だ。神との契約、ルソーの社会契約説がバックボーンになっている。
    しかし、日本にはこの宗教的なバックボーンがなかった。そこで、天皇を神として生まれたのが、明治の大日本帝国憲法だった。
    民主主義、資本主義、憲法。形はあるが、精神が抜けている。
    いま必要なのは、新しい時代にマッチした深い哲学だ。
    主義を超え、形を超え、真の人間主義を取り戻す思想が求めれらている。

  • ――――――――――――――――――――――――――――――○
    日本の学校では教えてくれませんが、日本国憲法第9条の「国際紛争解決の手段としての戦争」という表現には実はお手本がある。(…)戦後の日本では、第9条が自衛戦争までを放棄しているか否かで大問題になりました。現在の政府見解は「憲法は国家の自衛権までを否定していない」ということになっていますが(…)こんなことは国際法を知っている人間から言わせれば、まったく無駄な議論です。その無駄な議論がなぜ起きたかといえば、日本人の多くが「戦争の放棄は、日本国憲法オリジナルなものである」と誤解してしまったからです。最初から、第9条第1項がケロッグ=ブリアン条約のコピーであることを知っていれば、憲法の規定が何を意味しているかは議論の余地がありません。314
    ――――――――――――――――――――――――――――――○
    仏教の教典に「優曇華」という花のことが記されています。インドの伝説によれば優曇華の花は、衆生を救う如来や転輪聖王という帝王の出現を告げるものだとされているのですが、悲しいことにこの花は3000年に1度しか咲かない。この伝説から「優曇華の花」とは、滅多に起こらないことのたとえとして使われます。デモクラシーとは、まさに優曇華の花。日本人はデモクラシーを当然のもの、当たり前の政治システムだと思っていますが、それは大間違いなのです。376
    ――――――――――――――――――――――――――――――○
    資本主義の大前提となっているのは、みなが自由に仕事を選ぶことができる社会です。「農民の子は農民、職人の子は職人」では、資本主義にはならない。そこで勤勉の精神と同時に必要になってくるのは、人間は平等であるという精神です。この精神がなければ、やはり資本主義は生まれてこない。ところがやっかいなことに、この平等の精神もまた、キリスト教があって初めて生まれてくる。(…)「神の前の平等」が転じて、やがて「法の前の平等」という近代デモクラシー思想が生まれてきたことはすでに述べたとおりですが、結局のところ、近代資本主義が生まれるのは、このデモクラシー思想がなくてはならないというわけです。384
    ――――――――――――――――――――――――――――――○
    日本は非白人国家で最初のデモクラシー国家に変貌できた。そのアイデアとは何か。それは国家元首たる天皇を、日本人にとって唯一絶対の神にすること。天皇をキリスト教の神と同じようにするというアイデアです。すなわち「神の前の平等」ならぬ、「天皇の前の平等」です。現人神である天皇から見れば、すべての日本人は平等である。この観念を普及させることによって、日本人に近代精神を植え付けようと考えた。386
    ――――――――――――――――――――――――――――――○
    戦後の歴史観では、しばしば「戦前の日本は国家神道であった」と言われますが、天皇教と国家神道はまったく別物です。(…)天皇教は、建国神話以来の神道がベースになってはいます。しかし、天皇教は神道とはちっとも似ていない。古くから伝わる神道のどこをどうひっくり返しても、キリスト教におけるイエスのように天皇が現人神であるという結論にはなりません。伝統的な神道の考えに従えば、天皇は皇祖神である天照大神直系の子孫であらせられても、現人神ではない。天皇とは、皇祖神のいわば斎主であって、それ以上のものではないのです。388
    ――――――――――――――――――――――――――――――○
    伝統主義をぶち壊し、日本を近代資本主義国家にするために、尊王思想を「天皇教」という形に変えたのが、かの伊藤博文です。伊藤はこの時代にあって、近代ヨーロッパ憲法思想の根幹となっているのが、他ならぬキリスト教であることを見抜いていた。... 続きを読む

  • すばらい一冊。憲法の歴史や背景がかかれている本だが、まさに目から鱗だった。

    ヨーロッパの憲法はプロテスタントの「予定説」を基軸に民主主義と資本主義がつくられたことによって発展した。日本のそれにあたるのが、天皇教であったが今はそれがないために日本国の憲法そして民主主義は危うい...

  • 目から鱗があり得ない位ボロボロ出ました。目薬さしてきます。

  • 2010/11/03 購入
    2010/11/09 読了 ★★★★
    2014/07/16 読了

全44件中 1 - 25件を表示

日本人のための憲法原論を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

日本人のための憲法原論の作品紹介

西洋文明が試行錯誤の末に産み出した英知「憲法の原理」を碩学が解き明かす。

ツイートする