- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784797672190
作品紹介・あらすじ
自腹で中国人300人を雇ってわかった。なぜ彼らは平気でウソをつくのか?なぜ中国に進出した日本企業は連敗なのか?-。
感想・レビュー・書評
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1996年に出したノンフィクション作品
『中国てなもんや商社』文庫本を読んだのが15,6年前。
日本では考えられない非常識きわまりない現地での
やり取りをおもしろ可笑しく描いてて。。。
同じ作家谷崎光さんの近刊、
現在北京大学留学ののち、現地で暮らしている。
コストが安く中国に出た会社が多かったが
今では、中国人が入りたい会社ベストテンに入るのは
中国国有会社との合弁のトヨタ系の会社一社のみ!!
中国での実績も3%以下。
日本系の会社は中国ではほとんど失敗しているのが事実。
何が悪いのか?、、、本の中で説明されている。
本の中程に書いてある
日本企業の成功の秘訣22
(この違いを押さえておかねば成功は無いそうだ。。。)
1,大量雇用、大量解雇
中国ではホワイトカラーもこれをやる。日本企業は本国の習慣を
引きずって失敗。良ければ、契約続行、悪ければ契約終了。
これが当たり前の中国では、中国人も当たり前のように、
「じゃ、つぎ、、」となる。
2,優秀なホステスはいつも不足している。引き抜け!
中国では評判が立てば引き抜きは当たり前。会社に忠義もなければ、
自分の実力の評価に敏感な中国人は給料の多い方に当たり前に動く。
3,給与の額と美人度は比例する
中国人とは自分の査定をいつもしている国民。
「安くていいホテル(物、店etc、、、」そんな物は無い。
中国ではすべて比例する。
4,転職は当たり前と思え
大陸では人は流動するのが当たり前。日本のように年功序列は無し。
教育して、育てる意識は無い。より多い給与を出す所に移動するのが当たり前。自分の収入を増やしたいなら、人の客も奪って店を移動するしか無い。
5,日本語を話せる事にこだわらない
日本企業に語学、仕事能力共に一流の人材がきたのは15年前まで。
給料が仕事効率や能力に応じて支払われないと感じる中国人は
どんどん転職した。
狩猟民族である男脳中国人。
日本語を学ぼうと言う男子はアニメやゲームが好きなオタク系。
ファッションや芸能好きな女子の日本語学習者。
日本語学習者の男子は上昇志向にあわない日本企業には勤めず、
政府機関へ就職する。
女子の場合は大方の強い中国人よりも温和な場合が多く
語学修得者を選ぶなら女子が狙い目。
男子は、日本語ができないくらいの方がいい。
6,故郷ネットワークを活用せよ
作業現場チームは同郷のリーダーで固めると成果が上がる。
国も会社もアテにならない彼らにとって故郷は家族も同然。
7,プライドを尊重する
「会社もあなた達を選ぶが、あなた達も会社を選ぶ、
よく見て下さい」欧米外資に面接に行った中国人が言われて喜んでいた言葉である。彼らは超買い手市場なのだが、表向きは対等を演出する。日本の序列社会のように、下請けに言うように、あれしろ、これしろではホワイトカラー中国人は働かない。
8,給与、キャリアアップの明確化
中国人にとって会社は運命共同体ではない。
自分にどれだけ得を与えてくれるか、の利用関係である。
彼らにとって情緒的な関係を満たすのは家庭だけ。
日系企業に勤める中国人の不満
1出世できない
2給料が安い
3大事な仕事を任せてもらえない(実力がつかない)
どういう成果を上げたら、何年でどんな待遇が手に入るかを
数字で明確にしないと離れていく。
9,ルールの明確化、透明化
10,競ってこそ花。
頑張る中国人はメンツもあるが目当てナンバーワンは報奨金。
11,特別に優秀な社員には株式の分配
中国で一番不足してるのは優秀なマネージャー
中国民間や外資はみんなやっている。
12,アメとムチ
日本人になかなかできないのがアメとムチ
中国企業でも罰金が多用されている。無いとやらないのだ。
13,企業の従業員サービス、福利厚生を充実させよ
人気のある欧米外資系の職場に遊びのある演出は
中国人に好評。
工場でも、「欧米系は職工用ランチセットでもオレンジジュースがついてて日系とは雲泥の差」と見学した中国人が言っていたそうだ。
14,外国人(日本人)は実務をしない
某欧米系企業の在中アメリカ人曰く、
「私たちが成功できたのは漢字が読めなかったからかもしれない」
中国国内では契約書すら読めない欧米人がほとんど。
従って、現地採用の中国人幹部や自国の華僑などに、職務を
委譲せざるを得なかった。
中国の流通はバイヤーや個人のマージンなどが複雑で
外国人がやっても上手くいかない。
欧米企業は成果主義を上手く使い、
中国人に任せた部分の細部は不問にした。
一方、日本人は生半可漢字が読める為に、任せなかった。
清濁合わせ呑む、そんな実情の中国では日本人がやっても
上手く処理できる人はいない。
15,人格教育ではなく、技能のトレーニングをする。
16,日本からの駐在員も成果主義にする。
17,脱 集団決定
「日本人は数人で飛行機に乗ってやってきたが、何も決めずに帰った。アレはなぜだ?40~50代の日本人が小さな事まで本社に聞くのはなぜだ」
優秀ならば20代でも大きな決定権を与えるのが中国の会社員。良い年齢で決定権を持たない人は低く見られる。
そしてチャンスを逃がす
18,叱るにも余地を残せ
中国、韓国は男女共に派手に逆切れする。叱りかたに注意!
19,日本人の忍者コミュニケーションをやめる
曖昧なコミュニケーションは理解されない
推して知るべしや相手の気持ちにたって推測、、、などは無理
回りくどい言い回しは理解されない。
20,人は性悪である
情報漏洩、横流し、賄賂、訴訟、職場全員での不正、
工場などの大規模な進出の場合、地元政府に、してやられる事も多い
中国と合弁する場合、中央政府直轄の国有資産管理委員会などと組む方法と、省政府以下の地元政府と組む方法があるが、
後者はほぼ100%騙しと、言われている。
対策は相手が誰であれ、お任せしない。
任せたら相手にではなく自分に都合よくやって良いのだと思うのが
中国人。
自分で必ず現場を見る。
何でも文書で残す。
相手を選ぶ。
21,中国人のウソとエゴイズムを理解する
基本は個人差という前提で誤解を怖れずに言うなら
中国人一人が一生につくウソの数は平均日本人の100倍以上。
学歴や階層などは全く関係ない。
そしてすべての中国人が相手も嘘をつくと思っている。
22,蔑視(中国人、女性)は業務に百害あって一利無し
中国では農民に男尊女卑が多いので、男性に甘い日本と
同じようにやって失敗した駐在員は多い。
低い階級と見なされ低く見られるからだ。
これ以外にも多数文化、価値観の比較や、
性格の形成から見た、DNAのまじりあいの仮説などなど。
興味深い話題が多い。
結論から言うと谷崎さんは日本よりも、はっきりしてるバイタリティある中国の方が性に合うようだ。
日本の将来をかなり悲観的に予測している。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中国人は○○だ!と決めつける前に、
中国人とこれから仕事やなんやで関わっていく人に、
読んでもらいたい!
物事は捉え方次第なので、これはあくまでも著者の視点で観た中国人であるけど、私はとっても同感できた。
(後半の、それに対比した日本人についての記述は、まあ、賛否両論ありそうだけど、、、)
何故、日本人には思いも寄らない行動を彼らが取るのか。
国の成り立ちの歴史、風土、
そこで生き残って行くために必要とされてきた要素が、
日本とは全く異なるのだ。
いい、悪いではなくて。
中国滞在中、
何故?何故?何故?
とよくはてなマークがとびかった。
自分なりにおぼろげに考えてた答えが、より深まった気分。
赴任前にこの本に出会えていたらよかったなぁ、と思ったけど、
2012年3月31日第一刷発行。
中国で奮闘真っ只中の時期。
時期がかぶっているから、より一層頷ける内容も多かったのかもしれないけど、
ちょっとでも中国人と交流を持つ人は、読んでみて損はないんじゃないかなぁ、当面。
近頃、より一層中国関連の書籍もえらく増加してるけど、
何しろ変化の速い時代・国なので、
できるだけ新鮮な感覚のものを手に取ることをオススメします。 -
途中、タイトルの『男脳中国、女脳日本』を逸脱して日本人男子論的になりますが、独自の"中国人ものさし"や海老天に見立てた中国地図はとても分かりやすくかつ面白い。
中国でのビジネスをするにあたり、ちょっとした発想の転換になります。
特に本書の中でもっとも「おおっ!」と思ったのが、海老天のお話。
よく中国を語るときは、中国をひとつの国として見ずに、EUのように多数の国の集合体とみると良いと言われます。
海老天の発想もそれに通ずるところがあり、海老+ころも。さらに分けると、海老のシッポの方+頭の方+ころも、と分けるといままでモヤモヤしていたものが、何となくスッキリする気がします。
何と言っても海老天に見立てるところが秀逸としか言いようがありません。
そして日本男児について。
平和な時代が長かった日本。そう変われ変われと言われても、人も企業もすぐには変われないもの。
中国人が良いかどうかは別として、第八章「原発・島国・グローバル化 逃げられない日本人が生き残るには」は中国ビジネスに関わらない人、中国に興味のない人にも読んでもらいたい内容です! -
中国人は男女とも狩猟・遊牧民族(ノマド)、日本は農耕民族的性格?全員が当てはまるわけではないが、これで中国人の友人を少し理解できる部分もある。
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「てなもんや商社」で一世を風靡した?と谷崎光の新刊。神戸の中国系商社で中国人と商売をする苦労を関西娘のギャグセンス爆発で描いた「てなもんや」シリーズはいつしか終わり、当人も北京留学以来、北京に居ついて早10年。すっかり帰国する様子も無く、中国に骨を埋めるのか?谷崎光、と言う感じだ。
今回のエッセイは彼女が留学時代に培った中国人学生、そしてその後の彼らの就職活動や転職を見たり市井のオバちゃん達との付き合いを通じて見聞きした行動をベースに中国人の行動原理を説明しようとするものだ。
我々からするとやや勝手に過ぎるとか、嘘をつく事が日常化しているという感じのする中国人の行動の背景には狩猟民族の血と歴史があるのでは、と狩猟=男性に例えている。すなわち「中国人は狩猟民と日本にはいない遊牧民、それと農耕民の複雑な混合体である。狩猟民にとって罠やウソは肯定されるものであり、結果のためならウソ―獲物を欺くことは善である。罠にかかる動物のほうが愚かなのである。」と聞くと確かに納得できるところである。
また中国人は政府(お上)を信用しないと言われるが、その象徴的な逸話が紹介されている。共産党発足当時、毛沢東は字の読めない農民兵士を徴用したが軍の規律を歌で教えたという。三大規律と言われるものだが「一、行動は指揮に従え、二、農民のものは盗むな、三、地主から奪ったものはみんなのものに」というものだそうだ。つまり地主からは奪っても良いと言っているのだ。こういう行動原理で生きてきた世代がまだ沢山居る事を考えると、政府を信用しないのも判るし、また権力闘争は熾烈だし、また一端、権力についた場合にはとことん地位を利用するというのも判るものだ。
まあ明治維新政府も似たようなものと言えば言えるのだが、現在の中国は明治維新と戦後デモクラシー、グローバル経済が玉石混交になっているだけに更に始末が悪いのかも知れない。
と、云う訳で中国を理解するにはなかなかの書である。唯一の欠点は谷崎のキャッチ・フレーズである「てなもんや」路線のギャグ満載で無いのが何とも寂しいことだ。