驚くべき日本語 (知のトレッキング叢書)

  • 集英社インターナショナル
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797672657

作品紹介・あらすじ

英・露・ポーランド・日本語。全く異なる文化的背景から生まれた4ヶ国語を完璧にマスターした外国人作家が、比較言語論的な視点や自らの体験をもとに、世界に誇る日本語独自の魅力と可能性を説く!

感想・レビュー・書評

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  • 2014.05―読了

  • 再読。いま私自身が「客観的」に日本語とはどんな言語かを学び始めて、数年前の初読ではピンとこなかったけれど、なるほど、そうなんだ、と頷けることがたくさんあった。
    「ほんとうのところ、日本語は非日本人にとって、話すだけならとてもやさしい言語です」と述べ、少ない語彙であらゆるニュアンスが表現できる柔軟性に富んだ日本語の特徴を、いくつかの例を挙げて教えてくれる。
    比較的むずかしいところを引き受けていると習った動詞でさえ、彼の母語である英語や、大人になってから身に付けたロシア語、ポーランド語と比較すれば、変化や時制はきわめてシンプルだという(これは想像できる)。
    まず日本人自身が日本語の本質を真に理解し、日本語は特殊な言語で、外国人には習得がむずかしいはずだという思い込みを外すことが必要で、そこから、リンガ・フランカ(世界共通語)としての日本語の可能性が見えてくる、という、まことに興味深い内容。

  • 作家であり、演出家でもある著者が、日本人でも気づかない日本語の魅力を語った一冊だと思う。著者は作家ということだが、言語学者と言っても良いような知識や経験を備えているのではないか。
    僕は日本人であるので、やはり日本で育ち、日本語を日常使いながら生活してきたが、著者の言うように日本語を母国語としない人々に、日本語が理解できるのかと言う偏見があった。でも、よく考えると自分も日本語について知らないことはたくさんあり、必ずしも外国語は理解不能なものではないことが読んでいて共感できた。また、その国にはそれぞれの独自の文化があり、日本語だけが特別に習得の困難な言語でもないことに納得させられた。

    吉本ばななさんが、著者と同分野の研究者が日本語で会話しているのを聞いて、妙な感覚になったと言うくだりは印象的である。偏見だとは思うが、西洋的な顔立ちの人が、日本語を流暢に話すのを不思議な感じに思う日本人は多いのではないだろうか。

    内容はとにかく面白い。こんな言語を自由に操れる著者に憧れる。

  • 前の本に続いて日本語に関する本。日本語はとても便利で簡単だ、というあたりは理解が深まった。海外の人も、共感の言葉として日本語を話したらいいなと思う。あと宮沢賢治読もうかなと思った。

  • ☆文法の柔軟性、美しい響き、世界言語まで高めた宮沢賢治

  • 驚くべき日本語

    190111読了。
    今年2冊目今月2冊目。
    #読了
    #ロジャーパルバース
    #驚くべき日本語

    日本語と他国語特に英語ロシア語との差異を浮き彫りにし、日本語が話し言葉においては修得しやすく、世界語リンガフランカたり得ると述べる。
    切り口が面白く、日本語を愛しているのが伝わる。オノマトペ、動詞膠着etc.
    言葉が仕事道具だ、大事にしよう。

    他国語修得のメカニズムをもっと知りたいな。

  • 『日本語教育に役立つ心理学入門』(くろしお出版)第11章「文化的差異と異文化コミュニケーション」参考文献

    「日本語は曖昧でも難しい言語でもない」

  • 世界観や歴史観がやや朝日新聞っぽいが外から眺めた日本語という言語。使ってみてどう思ったのかとか日本人にはわかりにくい部分なので内容は面白い。又、朝日っぽいけれど、耳を傾けることが可能なレベルなので、鬱陶しくはない。認識の差異として読むことが出来る。言語に対するまたちょっと違った印象を持つのにいいような気がする。

  • インターネットで見かけて。

    母国語が日本語ではない人が書いたとは思えない、
    普通の日本語で書かれていた。
    つるつると読みやすい。

    ということは、
    主張することがはっきりくっきりしないということだ。
    何せ日本語なので。

    日本人が、
    非日本人には日本語または日本文化が理解が難しいとい思っているのは間違いだ、
    という意見には賛成だ。
    日本文化が特殊という考え方には傲慢さを感じるので。

    また、
    日本語は柔軟性が高いため、語彙数が少なくても表現が豊かになるという点、
    とくに擬態語の自由度の高さはより表現を豊かにすると言う点や、
    とくに聞く話すは簡単だという点は賛成できる。

    だが、日本が世界言語になりえるために必要なのは、
    いや、どんな言語においても世界言語に必要なのは、
    単に支配力または軍事力であって、
    言語そのものの特徴ではないと思う。
    そうでなければ、
    文法的には難解ではないが、
    例外だらけの英語が限りなく世界言語に近くなるわけがない。

    そして、宮沢賢治がそんなにすごい詩人だということが、
    私にはよくわからないし。
    まとめて言うと、期待したほど面白くなかった。

  • ほんとに日本語のこと、日本のこと、よく分かってるなと、感心します。と同時に、これだけの人でも、ちょっと違うんだよなっていう誤解もあって驚きます。結局、言葉や文化ってそういうもんかと。

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著者プロフィール

作家、翻訳家、演出家、映画監督。東京工業大学名誉教授。1944 年、ニューヨーク生まれ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校 (UCLA) を卒業後、65 年ハーバード大学大学院に入学。ロシア地域研究所で修士号を取得。ワルシャワ大学とパリ大学に留学後、67 年に初来日。長編小説や戯曲、短編集、随筆集など多くの著作を出版、上演している。76 年オーストラリア国籍取得。『英語で読む銀河鉄道の夜』(ちくま文庫)など宮沢賢治作品の英訳のほか、映画『戦場のメリークリスマス』で大島渚の助監督を務めたことでも有名。

「2023年 『『風の又三郎』を英語で読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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