へるん先生の汽車旅行 小泉八雲、旅に暮らす

著者 :
  • 集英社インターナショナル
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本棚登録 : 62
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797672671

作品紹介・あらすじ

小泉八雲は元祖バックパッカーだった。明治23年、一人の食い詰めたジャーナリストが、大陸横断鉄道でカナダを横断、横浜を経て松江までやってくる。八雲の人生を変えた鉄道旅を、紀行作家が辿る。

感想・レビュー・書評

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  • 出雲生まれの私にとって、「へるん先生」ラフカディオ・ハーンはたいそう近しく感じられる人だ。松江城近くのヘルン旧居へ初めて行ったのは、小学校の遠足だったような記憶がある。この三月にも帰省のついでに、大学生の息子と一緒に行ってきた。ハーンが住んだ家はごく小さな日本家屋で、畳の上に、目の悪かったハーンが使った特注の机(ここにあるのはレプリカで、本物はすぐそばの資料館にある)が置いてある。質素だがなんともいい雰囲気の家で、ちょっと住んでみたくなる。

    本書は、「旅人」であったハーンの足跡を、鉄道旅で追ってみようというもの。薄幸な生い立ちや、決してエリート外人の物見遊山ではなかった日本行きのいきさつなども詳しく書かれている。ハーンは松江で妻を得ているし、この美しい町を愛していくつもの文章に残していることからも意外に思われるが、松江に住んだのはわずか一年ほどだ。それでも、松江やその周辺の人たちは、いまだに「へるん先生」を特別に大事にしている。そういう気持ちもよく理解された好著だと思った。

  • ラフカディオハーンはお雇い 雇い外国人ではなかった。
    アングロサクソンではない ギリシャ人つまり市アジア人であったのでキリスト教を頂点とした世界観による日本を蔑視する 考えがなかった。 チェンバレンとは違う。しかし最後に夏目漱石の後の東京大学教授になっていた。 アメリカでは大学も卒業していないのに。

  • 面白かった。

    小泉八雲の足跡を自分も辿ってみたい。

  • 日本名・小泉八雲の名で知られるラフカディオ・ハーンの足跡を辿る汽車の旅。ラフカディオ・ハーンは、イギリス人の父とギリシア人の母を持ち、幼少の頃はイギリスで育った。父は軍人で海外生活が長く、ほどなく離婚して失踪する。母は彼をイギリスに残したまま故郷に帰り、彼は親戚に育てられる。不遇の環境だったが、叔母の援助でなんとか学校を卒業しアメリカへ渡る。アメリカではいくつかの街を放浪し、シンシナティで新聞記者となり、遠い異国・日本に渡って、ここが自分の故郷となる。
    この本では、アメリカを基点に大陸横断鉄道や日本の旧東海道線等を使ってハーンの足跡を辿りながら、彼の人生の紹介と日本での生活を考察している。また旅の途中で、自分の祖父とハーンが同じ世代で縁があったことを知り、それがこの本を書くきっかけになったと云う。
    文章が大変読みやすく、ハーンの人生と著者の行動を織り交ぜた構成や背景知識なども豊富で、読んでみてとても楽しめた。ハーンが日本に来た理由のひとつとして、パーシヴァル・ローエルの「極東の魂」などの著作に触発されたのではないかと推測している。ローエルは「火星の運河」の発見や冥王星の存在を予言した天文学者でもある。ローエルも日本に魅せられた人物の一人だが、ハーンとは全く違うスタンスで日本の風俗を見ていたという考察は面白かった。小泉八雲として帰化したが、八雲というのはハーンの当て字「ハ・ウン」という説もあるが、これは俗説と言われている。でもこの本で紹介しているハーンは、ジョーク好きであり、この説も間違いではないようにも思える。ある人物の足跡を辿る汽車の旅も面白そうだ。老後の楽しみとして、このような旅を企画してみるのも悪くないと思う。

  • 著者が実際に汽車を乗り継ぎ、へるん先生の跡を訪ねる本。

  • 小泉八雲のことを知りたくて読んだが、『へるん先生の(汽車旅行をたどる私の)汽車旅行』でした。私の期待していたものと違うという意味で★3つ(失礼)。八雲のことを詳しく知りたいなら他の本を読んだ方が良さそうです。ざっと足跡をたどるにはいいかも。

  • 20140420AS

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著者プロフィール

1946年生まれ。ノンフィクションライター、紀行作家。北海道大学文学部卒業。1972年鉄道ジャーナル社入社。「旅と鉄道」誌創刊期デスク。2007年、出版社「天夢人Temjin」設立。代表取締役社長等を経て2019年退職。日本文藝家協会、日本ペンクラブ、日本旅行作家協会会員。著書に『被災鉄道――復興への道』(講談社、第40回交通図書賞受賞)、『へるん先生の汽車旅行』(集英社、第10回開高健ノンフィクション賞最終候補作品)、『60歳からの青春18きっぷ』(新潮新書)、『鉄道エッセイコレクション(編)』(ちくま文庫)、『新にっぽん奥地紀行――イザベラ・バードを鉄道でゆく』(天夢人)、『ラストカムイ――砂澤ビッキの木彫』(白水社)ほか多数。

「2022年 『北海道廃線紀行 草原の記憶をたどって』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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