どうしようもないのに、好き イタリア、15の恋愛物語
- 集英社インターナショナル (2014年9月26日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784797672787
作品紹介・あらすじ
明るく、情熱的に、人生を謳歌する人たちの国。
そんなステレオタイプのイメージでは決し捉えきれない、現実のイタリア人の恋愛。
秘められた恋、夢のような時、報われない愛……。イタリアには、恋愛のあらゆる形があった。
けれども、その本質は誰もが覚えのある普遍的な感情である。
この国に長らく暮らしてきたからこそ見ることのできたさまざまな恋愛模様と、そこから浮かび上がる、人間の純粋さと狡さ、滑稽と哀しみ。
『ジーノの家 イタリア10景』で数々のエッセイ賞に輝く内田洋子が、初めて恋愛をテーマに綴った心にしみるエッセイ集。
感想・レビュー・書評
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くっついたり、別れたり。
好みも性格も正反対の二人が、お互いの持ち合わせない部分をカバーするために、恋愛を抜きに結婚していたり。
沢山の女性と浮名を流しながらも、「僕は愛妻家だよ」と妻も大切にしていたり。
イタリアの恋愛はセオリーがない。
いくつになっても魅力的で、いくつになっても人への好奇心を失わない。
ここで描かれている15の恋愛物語は、燃え上がるような恋愛の後に別れがあるのだけれど、
でも、それで全てが終わったと感じないのは、きっとまた新しい恋愛をするのだろな…という予感があったり、終わってしまった恋愛の残り香を大切に持ち続けるんだろうなと思えるから。
直情的なイタリア恋愛を礼賛するわけではないけれど、いろんな恋愛のスタイルがあっても良いよな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2023年8月4日読了
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恋愛を軸にしたエッセイだけれど、ベタベタ甘々の話ではなく切ない物語が多かった。
でも決して喉が乾くような感じではなくなんとなく心がしっとりする感じ。
人間てなぁってしみじみ思う。
私は恋愛について語れるようなものは何も無いけど、、 -
著者のイタリアについてのエッセイを愛読している。
今回は「恋愛かあ」と、手に取るのを少しためらったのだけれど、いい意味で予想を裏切られ(?)、単純な恋愛にとどまらない、人間模様を描いたエッセイ集だった。 -
15の短編集。作中にも出てくるように、シャンパンのような小説達だった。「飲んでしまえば、それでおしまい。記憶に残るのは、ふわりとした酔い心地だけである」
が、個々のテイストがとても好みだった。空想とまで行かないが、現実離れした登場人物達。その人達が織り成す物語は、やっぱりどこかほろ酔い加減だ。
最終的に離婚もしくは破滅を示唆する話が大半を占めるものの、何故か読後感がいい。幸せの欠片だけが、手元に残るようなそんな感覚。
どれも良かったものの、特に良かったのは「4 目は口ほどに」。
妻子も友人の目も見ず、ひたすらに医学書の目だけを見つめつづけた眼科医の物語だ。
「人の目の奥までを、見抜くことを疎んじて、自分一人の世界に籠ったのである 」
「不思議な家には無数の生きた眼差しがあちこちに潜んでいる。
そして医師は、そのどの目も見ようとはしていないのだった。寂しくて、怖くて、見つめ返すことができないのかもしれなかった」 -
恋愛のありさまを見ていると、その人が何にとらわれているのかがわかるような気がする。
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ここ5年あたりでめぐりあった中で一番というよりも、読む機会を逸しなくて良かったと思っている内田洋子、本作はイタリアの恋愛にフォーカスした連載集。
すごいとしか形容する表現できないのがもどかしい。☆3つ評価なのは著者の他作品比較という観点から。 -
15の話からなる恋愛エッセイ集。
情熱的なイタリア人の恋愛模様は
愛情表現も豊かでバラの花束を抱えての愛の告白があったりする?
そこには色々な愛の形があった。
そして、好きな人を想う気持ちは全世界共通なのかも。
収録されている中の一篇「この世で一番美しい」で書かれている「守る母性の夫と闘う父性の妻」この一文が好き。内田さんのエッセイを読んでいると映像がパッパッと思い浮かぶ。
(あっ、この人はアンソニー・ホプキンスだ)とか。
女子高生の恋を書いた「赤い糸」が良かった -
あとがきの、粗相をした2歳の女の子を3歳の男の子が庇ったエピソードが一番心に残った。栴檀は双葉より芳し。