どうしようもないのに、好き イタリア、15の恋愛物語
- 集英社インターナショナル (2014年9月26日発売)
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感想 : 10件
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- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784797672787
感想・レビュー・書評
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15の短編集。作中にも出てくるように、シャンパンのような小説達だった。「飲んでしまえば、それでおしまい。記憶に残るのは、ふわりとした酔い心地だけである」
が、個々のテイストがとても好みだった。空想とまで行かないが、現実離れした登場人物達。その人達が織り成す物語は、やっぱりどこかほろ酔い加減だ。
最終的に離婚もしくは破滅を示唆する話が大半を占めるものの、何故か読後感がいい。幸せの欠片だけが、手元に残るようなそんな感覚。
どれも良かったものの、特に良かったのは「4 目は口ほどに」。
妻子も友人の目も見ず、ひたすらに医学書の目だけを見つめつづけた眼科医の物語だ。
「人の目の奥までを、見抜くことを疎んじて、自分一人の世界に籠ったのである 」
「不思議な家には無数の生きた眼差しがあちこちに潜んでいる。
そして医師は、そのどの目も見ようとはしていないのだった。寂しくて、怖くて、見つめ返すことができないのかもしれなかった」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ここ5年あたりでめぐりあった中で一番というよりも、読む機会を逸しなくて良かったと思っている内田洋子、本作はイタリアの恋愛にフォーカスした連載集。
すごいとしか形容する表現できないのがもどかしい。☆3つ評価なのは著者の他作品比較という観点から。