日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか

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  • 集英社インターナショナル
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797672893

感想・レビュー・書評

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  • 原発の話よりも、沖縄の基地問題が衝撃だった。基地の面積以上に、空はほぼ米軍に支配されている。米兵の居住地域の上だけ保護されていたり。大学の構内に墜落した時も、日本の警察はそこに近づけなかったり。それはそもそもの憲法の成り立ちから問題があったとして、そこから話は憲法の話に終始していく。ちょっと興味が離れてしまった。。。

  • やな世界。安保村も基地もどう転べば、日本のためだったんだって言えるんだろうか。

    自衛官を犠牲にしていいなんて密約、よく結べたな。沖縄にはおそらく記事にならない事件がたくさんあって、泣き寝入りしてるひともいるんだろう。敗戦国って、そうなんだろ。

    歪んでる、日本。
    怖い、どう進もうとしてるんだ?

    真髄を国民に問えばいいのに。
    はっきり言わないとわからんよ。
    シアワセな民族なんだから。

  • 原発事故と日米安保条約、沖縄基地問題

  • 憲法、沖縄など、
    アメリカの従属国である日本

    ただの言いなりなのか、それすら戦略なのか

    戦後史の正体 と併せて読むと良さそう

  • 米軍基地と原発についての問題点の洗い出し。
    本書で書かれているのと全く同じ構図が、TPPにもみられると思う。

    各論については、バイアスがかかった意見だなとは思ったが、憲法より上位の概念として、条約、なかでも日米同盟および戦後政府自民党、および外務省がいろいろなかたちで結んできた密約があるという指摘は、なかなか面白かった。

    そして、それらを成立させるために、現在の日本国憲法にはいろいろな抜け道が残されている。
    戦後日本の政府、そして天皇、さらには占領軍が発出した法律、声明等の原文が日本語ではなく英(米)語で作られているのは、そのひとつの証拠。

    ここで思い出すのは、つい直近、某大臣が言い放ったTPP合意文書の原文は英語であるという言葉。
    これは、まさに、日本国憲法、そして、日米安保、日米原子力協定に共通しているポイントではないだろうか。
    原子力村、防衛利権村、そして、新たに作られようとしているTPP村。
    これらを結びつけているのは、すべてはアメリカのために という言葉になるのかな。

  • 著者は歴史や政治学者ではなく、「走れメロス」的怒りから今までそれほど興味がなかった日本の戦前戦後の歴史や政治について調べはじめて目からウロコの驚愕の事実を知ったという。私もこの本を読んで「え?!ウソ?!」と思うことがいっぱいでショックだった。本当に「無知は罪」だとおもう。だからこそ、この本に書かれていることを鵜呑みにしないで自分でいろんな意見の本を読んで勉強したいと強く思った。

  • お友達に勧められて読んだ本です。
    2014年の秋に出ている本ですね。
    かなり読み易く書かれていますし、視点として悪くない。
    特に、この手の本をあまり読まないような方々(って、普通の生活者はほぼそうだと思うんですけど)に、オススメな感じがします。
    こういう本がいろいろな興味関心への入り口になると素敵だと思いました。



    ざっくり言うと(ざっくり言えるなら長い本を書くことは無いので、ざっくり言っちゃいけないんですけどね)。

    ●沖縄の基地問題はなぜ解決できないのか
    ●なぜ3.11があったのに、原発が再稼働するのか

    ということについて書かれています。
    そして、それは、

    ●沖縄米軍基地=日米安保体制、に利益の軸足を置いている人たちが権力を持っているから(安保村)

    ●そしてそれと同じような構造が、原発でもある。(原子力村)



    目次で言いますと、
    PART1 沖縄の謎――基地と憲法
    PART2 福島の謎――日本はなぜ、原発を止められないのか
    PART3 安保村の謎(1)――昭和天皇と日本国憲法
    PART4 安保村の謎(2)――国連憲章と第2次大戦後の世界
    PART5 最後の謎――自発的隷従とその歴史的起源

    となっています。

    この本については、凄く自分の中でハッキリと
    「良かった部分と、物足りない部分」があります。

    良かった部分は、「どうして?」という部分を剥いている部分ですね。

    ●沖縄の基地問題にしても、原発の問題にしても、
    「そもそもはじめから曖昧にというか、米軍及びアメリカ従属的な日本政府に都合のいい法令に実はなっている」

    ●そもそも、「戦後日本と言う国作り」を紐解いたら、
    アメリカに従属することを前提にして国が作られている。

    ●特に、そのためには戦後直後のGHQ時代の出来事が大事だ、という方向性。
    (こういうところ、学校ではなぜか全く教えませんからね。というか、教えられる教員さんが少ないと思います)

    というようなことですね。

    その辺を、割と剥いていることは、「良いところ」です。






    一方で、

    ●で、結局具体的に誰と誰が「安保村」「原子力村」なのか、というコトは素通り。えー。
    これだと、「ただの無根拠な陰謀論」と、言われてしまうのでは…。

    ●安倍政権を批判しつつ、「憲法は原案は確実にアメリカ人が書いたものだから、自主憲法は必要だ」という持論を展開。
    その展開の仕方がちょっと…「こんな衝撃の事実があるんだ」という、やや品を欠く、煽情的な物言いが鼻につきます。
    ここら辺はちょっと「僕が発見したこの新事実はとっても大事」という、
    「誰でも自分が発見したことは、重大なことだと思いたい」シンドロームの感…。
    その結果として、理想論としては判るけど、「そんなこと高校生でも言える」レベルの理想論…。
    大江健三郎さんでも井上ひさしさんでも、「出自については希望的な曲解をしてでも、現行憲法を守ること」に価値と防衛線を見出して活動していたのでは、と、僕は思います。
    それに比べると、若干、「浅い」感があります。

    というようなところは、「物足りない」という感じもします。


    全般的に言うと、こういう指向の本としては、とっても「アリ」だし、特に「入口」として有効なのではないかなあ、と思います。


    ######


    正直に言うと、僕自身はかつて沖縄県民だった時代もありましたし(その間は商売として基地問題の現場と沖縄戦後史を現場も含めて勉強させてもらってましたし)、
    戦後(直後)史については、割と昔から本を読んできてしまっています。
    つまり、この本を読んで思ったんですけど、「この本の想定読者ではないようだな」ということです。
    だから、内容で言うとPART1、PART2 は、面白くどんどんと読んだんですが、PART3以降はちょこっと情熱を持ちづらかった、というのが感想ですね。

  • Facebookのニュースフィードを観ていてこの本の存在を知り、即座に取り寄せて読み始めたのに3日もかかってしまいました。

    ここからは本のレビューではなくて自分自身のことになってしまうわけだけれど、正直なところ、ものすごくショック。この歳(50歳)まで知らなかった自分のバカさ加減、不勉強さに呆れ果ててしまいました。読み進むにつれて力が抜けていく自分の無知、不勉強、馬鹿さかげんがとても情けない。

    だけど、呆然としていても仕方がないし、ただの小市民たる僕ができることなんてたかが知れているけれど、自分なりに勉強を続けていくことしか、この脱力感に対してできることはないのかもしれない。世の中を誰かが劇的に変えることができるわけではないだろうし、国の最高権力者になったとしても一人ではなんともならないものだということは、政権交代後に起ったことを見れば明らかだけど、深く学んだ上で思慮深く粘り強く先の展望を開いていこうという政治家があらわれた時に、正しく評価し、支持していくためには、僕ら一人一人がきちんと物事を考えていなければならないと思うのでした。

    そういう気付きがあっただけか?といえばそうかもしれないけれど、何も気づかずにただただ護憲を叫ぶだけではダメなのだということを考えさせてくれた一冊です。

著者プロフィール

(やべ こうじ)1960年兵庫県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。株式会社博報堂マーケティング部を経て、1987年より書籍情報社代表。著書に『知ってはいけない――隠された日本支配の構造』(講談社現代新書)、『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』(以上、集英社インターナショナル)、『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること――沖縄・米軍基地観光ガイド』(書籍情報社)、共著書に『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』(創元社)。企画編集に「〈知の再発見〉双書」シリーズ、J・M・ロバーツ著「図説 世界の歴史」(全10巻)、「〈戦後再発見〉双書」シリーズ(以上、創元社)がある。

「2019年 『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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