日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか

著者 :
  • 集英社インターナショナル
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797672893

作品紹介・あらすじ

戦後70年経つのに、なぜ米軍基地が日本中を支配しているのか。未曾有の大事故を起こした原発を、なぜ止められないのか。米国公文書の資料などの実証をもとに、戦後日本の「謎」を解きあかす。

感想・レビュー・書評

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  • 戦後、GHQの占領下から連綿と続く日本の闇を多くの資料から解き明かしてくれる。
    アメリカによって作られた憲法の上にさらに日米安保条約が存在し、未だアメリカの占領下にある日本。
    何も言えないどころか積極的に尻尾を振る政治家たち。
    泊原発での少女の言葉に耳を傾けろ。そろそろ日本は自立する時期にきたのではないか。

  • いや実に読みやすくて分かりやすい内容/文章です。

    法律関連のお話が割りと沢山出てくるのですが、著者の巧みな文章、というか会話調ですね、この会話調が読んでいて実に心地よいです。

    この本を紹介してくれた有名ミュージシャンの佐久間順平さんがおっしゃってました。「なんだそういうことだったのか!と目からうろこが何枚も落ちる本です」

    その通りです。

    わたしの読書感想文はいつもの様に本の内容には触れませんが、今後たくさんの政治的経済的国際的事象を考える際に、この本で読んだ知識?をベースに考えを巡らせて行くことになりそうです。

    そのことは今までの自分なりの考へを170度くらいはひっくり返す事になるので、どうやらこの先がかなり楽しみです。うひひ。順平さんありがとう!

  • 【憲法九条と米軍基地はワンセットだった!】
    書名「日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか?」の答えは、「原子力村」をその一部とする「日米安保村」があるから。政官産学の巨大で強力な「安保村」の対米従属が戦後日本を一貫して支配してきた。その証拠が次々と突きつけられる。
    首都圏の上空全域を独占する米軍横田基地管空圏。米軍基地の治外法権によるCIAの日本への自由な出入国。冷戦時代の沖縄への核ミサイル1,300発配備。安保などの高度な政治決定には憲法判断をしないという「砂川裁判」最高裁判決。それによる、日米地位協定・日米原子力協定の絶対化。鳩山政権の「辺野古の県外移設」政策の圧殺。民主党政権の「原発稼働ゼロ」政策の挫折。有事の際、自衛隊は在日米軍の指揮下に入るという密約、原子力村の経済規模は年間2兆円だが、安保村の経済規模は年間530兆円など。
    こうした「安保村」は、敗戦時に昭和天皇(+側近グループ)とマッカーサーの間で萌芽が作られた。「安保村」を打破する方策はあるのだろうか? (門倉/本土に沖縄の米軍基地を引き取る福岡の会)

  • 2015年21冊目。満足度★★★★★ これは必読

  • 米軍は日本の好きなところを飛べる。治外法権もある。CIAも自由に出入りできる。
    これは日米安保条約や密約にてそのように定められているからであるが、違憲であることを裁判にかけても、司法は複雑な問題は違憲かどうか判断しないという砂川裁判の判例というものがあり、すでに憲法では米軍を撤退させることができない。どうように日米原子力協定なるものもあり、脱原発は無理。
    日本国憲法は日本人が書いたものではないことの自覚。
    敗戦国として国連憲章に今も記載されている。

  • この本は、一度は読んでおく価値があると思います。

    現在の安倍総理は改憲を望んでいます。
    あくまでも日本が戦争を主体的に行うという意味ではなく、国際貢献の義務(集団的自衛権)を果たす事が目的であり、それには現行の憲法では不都合がある、という説明かと思います。

    「なぜ、法令整備や日米安保条約の改正をすっ飛ばして、国家権力の砦となる憲法での制限解除が必要なのか?」
    「なぜ、国際連盟配下の「国連軍への貢献」ではなく、「集団的自衛権の行使」が必要なのか?」
    「なぜ、GHQは9条を認めていたのに、「アメリカの軍事力(基地)」が日本に存在するのか?」
    「なぜ、独立国家である日本が他国であるアメリカに「新たに国土を明け渡して」軍事基地を提供しなくてはならないのか?」

    このような今までは我々が(積極的には)触れてこなかった不合理に対し、公開されている公文書の事実で謎を解き明かしていくので、その語り口はやや扇動的ではありましたが、説得力があるものでした。
    多くの方に手に取ってもらい、今後の改憲の議論を、ただTVの中で流れているものを眺めるのではなく、自身で一度考えてみる材料にして欲しいと思いました。

  • 『戦後史の正体』『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」
    『検証・法治国家崩壊』』の、創元社の「<戦後再発見>双書」を
    手掛けた編集者が本書の著者である。

    第一弾だった『戦後史の正体』はがっかりだったが、あとの2冊は
    非常に興味深く読んだし、勉強にもなった。

    なので、本書にも期待した。だって、タイトルに「基地」と「原発」が
    入っているのだもの。私の期待はいい方に裏切られた。

    現政権が在日米軍基地と原子力発電所をどう考えているのかの
    分析かと思ったのだ。そうではなかった。これは日本国憲法の
    成り立ちと、その問題点を戦後70年の経緯から解説・分析した
    書だった。

    『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』を読んでいたので、
    在日米軍基地の問題は割に分かりやすかった。それにしてもだ。
    アメリカ国内では住民の生活環境や自然環境に配慮して、低空
    飛行訓練が禁止されている地域があるって言うのに、日本国内は
    どこでもOKってなんだよ。

    あ、一部、禁止区域があったわ。沖縄の在日米軍の住宅地上空。
    お~いっ、日本人の住宅上空なら墜落の危険性は無視していい
    のかよっ。

    建前上、日本にアメリカ軍が駐留しているのは東アジアの平和と
    秩序維持の為…なんだが、実は日本がまかり間違って再武装した
    時の抑止力でもあるって話に目からうろこが落ちる思いだったわ。
    危うくコンタクトレンズを落とすくらいに。

    万が一、日本がアメリカに刃向ったらひとたまりもなく制圧される
    のだろうな。常に共同訓練をやっている自衛隊の能力だって全部
    把握しているんだろうし。

    そして、もうひとつの驚愕の事実。国連憲章では日本は未だに
    「敵国」であるということ。この「敵国」にはドイツも含まれていたの
    だが、英米の影響を受けることの少ないフランスの法学者の説
    だと、既にドイツは「敵国」から除外されているそうだ。

    それは、先の大戦後に日本とドイツが自国の犯した過ちにどのよう
    に対処して来たかの違いだそうだ。

    ホロコーストの碑の前で跪いた首相がいたドイツ。歴史と向き合う
    ことを説いた大統領のいたドイツ。では、我が日本は…ってこと
    なんだなぁ。

    もうひとつおまけ。実はアメリカは日本からの完全撤退を考えていた
    ということ。発案はアメリカ国務省。でも、軍部に押し切られちゃった。
    あれ?湾岸戦争もイラク戦争も国務省vs国防総省だったよな。

    アメリカ内部も先の大戦後から国内の対立構造が変わってないのか。

    民主党の鳩山政権を持ち上げている部分は気に入らないが、全体と
    してよくまとまっている。あとはタイトルに「原発」と入っているのだから、
    もう少し原発関連の記述があってもよかったんじゃないかな。

    自民党が憲法改正案なんてのを作っていたな。権力者がこんなもんを
    考えること自体おかしいじゃないか・・・と感じた人なら読んで欲しい。

  • 日本はなぜ基地と原発を止められないのか 矢部宏治 集英社

    素晴らしい読みがいのある本である
編集者が研究者となって書いた本
    内容も深いし論文に近いが読みやすい
    311の福島原発事故以来大きな疑問に目覚めた日本人
    矢部さんは沖縄問題から地位協定を本格的に調べだし
    2011年の地震と原発事件で日米合同委員会の存在にのめり込んで行く
    明治維新と名付けられた前後の時代から紐解き始め
    戦後の不平等条約に引き続き平和憲法問題へと研究が深まっていく

    2006年アメリカでの公文書開示によって明らかになった
    形式だけの独立に伴う安保条約の日本国民に対する嘘と秘密が表面化した
    そこには砂川裁判が日本政府・検察・最高裁などの全ての官僚組織が
    アメリカ軍の方針のもとに働くという
    日本の憲法をも凌ぐ権利を与えている日米合同委員会の支配状況を
    この本が暴き出している

    ここで統治行為論と言う筋の通らない支配的で依存搾取的な話が
    民主主義を掲げる社会でまかり通っている現実
    アメリカでもフランスでもありえない現実
    国連における敵国条項も戦勝国の五カ国のみが持つ決定権も
    国連が掲げている趣旨と真っ向から対立している事実を無視したままである
    そのくせ国連の経費を賄う最大の国はニホンである

    日本は未だに占領当時の実態のままで米に対する国境もなく治外法権であり
    基地を通して出入り自由である上に
    日本の上空に対する航空権のほとんどを握ったままである
    現状では独立国であるための領土も主権もないし国民という範疇も曖昧である

    原子力村と呼ばれる日米原子力協定しかり
    安保村となる日米安全保障条約しかり
    全てはアメリカ政府を抜きにした日米合同委員会というアメリカ軍が
    全て英語による会議と文書によって日本の官僚を支配することで政府を骨抜きにし
    国民を蚊帳の外に囲い込んでいるという仕組がバレてきたわけだ

    国土の一部でも占拠されている状況下で憲法を変更してはならない
    国際的には《占領者は占領地の現行法律を尊重》というハーグ陸戦条約がある
    がニホンにおけるアメリカ軍は日本人が望んでいるという理由でこれに違反している

    現状のニホンでは憲法を人権保護から人権放棄へと後退させたい勢力と
    それはならじと現状維持をとなえる二派しかおらず
    更に良い憲法を目指そうとする派がいないのが問題なのだけれど
    実質占領状態なのだから現状維持しか選択しがないのである

    民主主義世界のリーダーから基地帝国へと変貌したアメリカ
    皮肉なことに70年前に自ら提唱して国連理念を今や自ら破壊している
    最大の原因は国連憲章への集団的自衛権の追加にある
これは事実上の侵略行為となる

    ニホンが主権の制限に同意した上で時刻の法の一部として取り入れる必要があったのは
    アメリカとの軍事協定でなく国連憲章における国際法の原則にするべきだった

  • 米国の許可を貰わないと何もできないという事実は承知しているつもりだったが、その現実を改めて見つめさせられ、言いようのない虚脱感を覚えた。

  • ★批判的に読んでも驚きがあった★この手の分野の知識が薄いので、一歩間違えば陰謀論に堕ちてしまうような話の正否の判断は全くつかない。それでも裁判所が何も決められない仕組みの裏側に憲法があるという指摘は新鮮だった。だからと言って、安倍政権の憲法改正で良いわけではないだろうが。
    国際連合と訳しているunited nationsは、第二次大戦中は連合国を指していた、つまりは戦時中の体制を引きずっているという内容も情けないが驚きだった。だから米軍の沖縄の基地は日本に対しても向けられていると。

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著者プロフィール

(やべ こうじ)1960年兵庫県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。株式会社博報堂マーケティング部を経て、1987年より書籍情報社代表。著書に『知ってはいけない――隠された日本支配の構造』(講談社現代新書)、『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』(以上、集英社インターナショナル)、『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること――沖縄・米軍基地観光ガイド』(書籍情報社)、共著書に『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』(創元社)。企画編集に「〈知の再発見〉双書」シリーズ、J・M・ロバーツ著「図説 世界の歴史」(全10巻)、「〈戦後再発見〉双書」シリーズ(以上、創元社)がある。

「2019年 『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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